【NEWS】[診療報酬] DPC対象病院に線引きは必要か?
2020年度診療報酬改定に向け検討始まる
2019-08-05
厚生労働省の診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」で、いよいよ2020年度診療報酬改定に向けた検討が始まりました。DPC対象病院の要件については、「平均在院日数」や「診療密度」「DPC病床の構成割合」で線引きを行うかどうかを検討するとの方針が早くも示されています。

同分科会は、これまでの入院医療とDPCに関する分科会を再編・統合して新たに設置されたものです。DPC病院の診療実態の分析や要件の見直しなどは「DPC/PDPS等作業グループ」で実施していくことになっています。


DPC対象病院には急性期以外を多く行う病院も

DPC制度(DPC/PDPS:診断群分類に戻づく1日あたり定額報酬算定制度)は、2003年に導入された、急性期入院医療を対象とした診療報酬の包括評価制度です。国立病院など10病院での試行も含めると、その歴史は20年以上に及びます。

制度導入後、対象病院は段階的に拡大され、2018年4月1日時点では1,730病院・約49万床となり、急性期一般入院基本料等に該当する病床の約8割を占めるに至っています。

一方、厚労省が個々のDPC対象病院について全許可病床数に占めるDPC算定病床数の割合を調べた結果では、病院全体として主に急性期入院医療を行う病院もある一方で、急性期以外の入院医療を多く行う病院も含まれることが分かっています。



平均的な診療実態から大きく外れる病院の存在

急性期以外の病床の保有状況としては、回復期リハビリテーション病床を有する病院が約400施設、地域包括ケア病棟・病床を有する病院が約800施設あり、それらの中にはDPC対象病床の割合が小さい病院も含まれています。


このような現状を受けて、厚労省が今後の検討課題に挙げたのが、平均的な診療実態から外れて①平均在院日数が長い病院②診療密度が低い(医療資源投入量が少ない)病院③DPC病床の割合が小さく急性期以外の入院医療を多く行っている病院が存在することを、DPC病院の要件という観点からどう考えるかという点です。

厚労省の2018年度DPCデータによると、平均在院日数については、DPC病院ごとに各診断群分類の入院日数を相対化して比較した場合、平均の1.5倍超となる病院もある状況です。


上記①②については、2018年度改定における議論でも取り上げられ、該当する病院を制度から退出させるなどの対応が検討されましたが、実施には至らず、次回改定への宿題となっていました。


努力する病院が報われず収入も減る状況に

そもそも、DPC制度が導入されたのは、急性期医療の質の向上と標準化、およびそのための努力に見合う診療報酬を提供することが目的でした。そのため、それまで慢性期が中心だった入院医療の包括評価を拡大し、2003年に大学病院から順次導入が進められてきた経緯があります。

診断群分類に基づく1日あたり包括払いといっても、実際に病院が受け取る診療報酬には、診療内容や病院機能によって差が生じます。その主な要因となるのが、「在院日数」です。各診断群分類には、ガイドラインなどに沿った治療を行うことを前提に、入院期間の長さに応じて逓減するよう診療報酬点数が設定されており、標準治療の普及を促す仕組みとなっています。


設定された点数は、診断群分類ごとに全DPC対象から集めた診療データを基に、2年に一度の診療報酬改定ごとに見直されます。入院期間が短いほど点数は高くなるので、当然、病院側には標準的な治療を行いつつ、入院期間を短くする、つまり効率化を図るインセンティブが働きます。

ここで問題になるのが、上記①「平均から大きく外れて入院期間の長い病院」の存在です。入院期間は「平均日数」を基準に前後3段階で設定されていますが、このような病院があると、各設定期間が延長し、効率化に取り組む病院の努力が正しく評価されなくなってしまいます。

また、上記②の「平均から大きく外れて診療密度が低い病院」とは、検査や投薬などが他院に比べ少ない病院を意味しますから、このような病院の存在は点数を引き下げる方向に作用を及ぼしてしまうのです。

2018年度改定で暫定調整係数(包括部分を出来高払い換算した場合の前年度収入を保証するもの)が廃止され、成熟期に入ったといわれるDPC制度ですが、今後も安定した制度運用を確保していくためには、平均的な診療実態から大きく外れる病院に退出を求めることは合理的といえます。

一方で、DPC病床の割合だけで線引きすることについては、地域医療構想における病床機能再編の動向も踏まえつつ、慎重に検討していく必要がありそうです。

 

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