【Report】[診療報酬] 材料費を踏まえた増点など
次期診療報酬改定へ外保連が要望
2019-08-01
外科系学会社会保険委員会連合(外保連)は9日、2020年度診療報酬改定に向けた各学会の要望を発表した。加盟83学会からの要望を合わせると、新設が164項目、改正が207項目、材料が34項目である。今後、厚生労働省のヒヤリングを受けて議論を重ねていく。

地域医療機関の疲弊を防ぐ手術の評価見直し

外保連の岩中督会長(埼玉県病院事業管理者)は、主な要望ポイントに①医療材料費の上昇を考慮した手術への増点②地域医療機関の疲弊防止に向けた普遍的な手術の評価見直し③手術・処置の休日・時間外・深夜加算の施設基準緩和④同一病院内での複数手術の評価―の4点を挙げた。「回復期と慢性期の比率が高まっているが、医療の入口はあくまで急性期だ」と強調する。

瀬戸泰之実務委員長(東京大学大学院教授)は、保険適応ロボット支援下内視鏡手術への加算を求めている。

「加算がないとロボット手術の普及が抑制されてしまう。ロボット手術のメリットについてエビデンスが必要なので、データを集積中である」

そのほか、各学会の主な要望と理由は以下の通りである。

▽日本ペインクリニック学会は高周波パルス療法の保険収載を要望。
「鎮痛方法に神経ブロックがあり、その手技には局所麻酔薬による神経ブロックと神経破壊を伴う神経ブロックがある。次回改定では、神経ブロックの保険収載手技に、神経破壊を伴わずに長期間の効果が期待できる高周波パルス療法を加えてほしい」

▽日本小児外科学会はスペーサー挿入術の保険収載を要望。
「現在、消化管や性腺などを守るために腹腔内にスペーサーを挿入する術式が保険術式にないが、成人領域においても仙骨部脊索腫などの骨軟部腫瘍にスペーサー挿入術が適応し、適応症例が少なくない。腹部・骨盤内悪性腫瘍に対する治療成績向上のためにスペーサー挿入術の保険収載が必要である」

ロボット腎盂形成術の保険収載で医療費抑制へ

▽日本周産期・新生児医学会は胎児貧血を対象とした胎児輸血を28,700点での保険収載を要望。
「胎児輸血は欧米では1960年代に確立している治療法で、輸血後には90%以上で正常に神経が発達している。胎児輸血には医師3人・協力看護師2人が必要で、所要時間は3時間。人件費と償還できない費用の合計は287,070円である」

▽日本泌尿器内視鏡学会は、水腎症を対象とした腎盂形成術を含む腎盂尿管吻合術の保険収載を要望。
「ロボット腎盂形成術は、従来の開腹・腹腔鏡手術に比べて同等以上の治療成績を有し、術後の鎮痛剤使用が減少して入院期間が短縮する。

手術時間も短縮され、術後合併症が少ないので患者の社会復帰が早まり、QOL向上につながる。この技術で腎機能障害の進行を防げることは医療費全体の抑制につながる」

▽日本てんかん学会は、難治性てんかんを対象にしたロボット支援下頭蓋内電極植込術を95,500点~122,500点で保険収載を要望。
「日本では難治性てんかん患者の7.3%にしか外科治療が実施されていない。侵襲性と精度の限界から外科治療が見送られているケースが多いが、ロボット支援下頭蓋内電極植込術による脳深部電極法が保険収載されれば、難治性てんかん患者の治療が向上し、発達障害や知的障害などの軽減、発作抑制による自動車運転や就労など社会的メリットは計り知れない」

院内迅速対応システムで集中治療室在籍日数を減少

▽日本集中治療医学会は、院内迅速対応システムの加算を要望。
「迅速対応システムの効果は、予期せぬ院内心停止の減少、予期せぬ集中治療室入室の減少、集中治療室在籍日数の減少である。入院患者すべてに対して院内迅速対応システムを整備すれば、入院1回に対して医療安全対策加算1を130点、医療安全対策加算2を60点にする。院内迅速対応システムによって集中治療室に入室した場合には、入室期間中は1日につき特定集中治療室管理料に150点を加算することを要望する」

外保連の要望採用率は、14年度改定で新規23.2%、改正26.6%、16年度改定で25.2%、33.2%、18年度改定で35.8%、49.6%と新規、改正とも改定のたびに伸びてきた。この伸びを20年度改定でも持続できるかどうか。

今年11月には内科系学会社会保険連合、看護系学会等社会保険連合と合同シンポジウムを開いて、議論を深めていく。

(医療タイムス)

 

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