特集 今すぐ病院がすべきこと(前半)
取り組みのポイント
2019-05-13
2019年4月1日に働き方改革関連法が施行された。「医師の働き方改革」には5年の猶予があると油断してはいないだろうか。医師以外の職員は、この日から「新たな働き方」となっている。業務効率化をはじめとした具体的な取り組み策を紹介する。


■総論

取り組みのポイント
~病院がしなければならない5つができているかをチェックする

病院スタッフの勤務やシフトなどに直接大きく影響する法律である働き方改革関連法。その概要および法施行に伴い、病院がチェックすべき項目とすぐに取りかからなければならないポイントを、浅見社会保険労務士法人の浅見浩代表社員に挙げてもらった。


意外とハードルが高い年5日の有休取得

「働き方改革関連法」は、雇用対策法、労働基準法、労働時間等設定改善法、労働安全衛生法、じん肺法、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の改正に係る法律となる。改革の柱として掲げられたのは、▽働き方改革の総合的かつ継続的な推進、▽長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等、▽雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保-の3つだ(表1)。


4月1日からの働き方改革関連法の施行に伴い、病院がしなければならないことは、概ね5つに絞られる(表2)。現状でできているかどうかを、まずは確認してみよう。


浅見社会保険労務士法人の浅見浩代表社員は、「病院が取り組むうえで意外とハードルが高いのは年5日の有休取得です。特に医師や看護師長など管理職は休日出勤しているケースが多く、振り替え休暇を先に消化することになります。そうすると有休の消化がゼロという人は見受けられます」と指摘する。

有休が年10日以上付与される労働者に対し、年5日の取得が義務付けられた。しかも罰則が付く。新規採用の場合、労働基準法により勤続6カ月となった段階で、10日の有休が生じて年5日の取得義務付けの対象となる。10日以上の有休が付与された日が基準日で、入職時期によって変わってくるので注意が必要だ(表3)。


自ら取得している労働者には時季を指定して取得させる必要はない。時季指定にあたっては、労働者の意見を聴取し、尊重しなければならないとしている。「多忙により取得が見込めない医師の場合は、たとえば有休を使って学会に出席してもらうことも考えます。ただし、有休を取得できる環境を病院がつくることが基本なので、代わりの医師を立てて診療できる体制を整備しましょう」(浅見代表社員)

全スタッフが有休を取得するための準備として、部門ごとに人員の補てんがどれぐらい必要なのかを試算しておくといい。前年度の実績、今年度取得見込みなどのデータから、取得日数が5日未満の人数および各取得日数を抽出。全員が5日取得するために必要な延べ休日数を計算したうえで、常勤職員の何人分に相当するかを出しておけば計画的な人の手当てが可能となる。


自己研さんと時間外労働を病院で規定しておく

医師には5年間の適用猶予期間が与えられている時間外労働だが、医師以外の全職種には4月から上限が設けられ、罰則付きの規制となっている。臨時的な特別の事情があり、なおかつ労使が合意した場合は年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働含む)とし、月100時間未満(同)を超えることはできない。月45時間を超えるのは年6カ月までだ。

「今回、労働時間の把握が義務づけられ、しかもタイムカードやパソコンのログなどの客観的な方法を用いるとしています。まずは全スタッフの労働時間を確認し、残業が多い部門、人については業務の棚卸を行います。その際、自己研さんと時間外労働の線引きを病院として規定しておくことが必要です」と浅見代表社員はアドバイスする。

時間外労働の上限規制への対応については、表4にまとめた。「特に救急医療や緊急手術などに対応している高度急性期病院では基準をつくり、院内ルールとして今からしっかりと運用していかなければ5年後に上限規制の対象となりかねません。タスクシフティング、ワークシェアリングは院内だけでなく、地域の開業医と協力体制をつくりながら進めていくこともできます」(浅見代表社員)



(後半)につづく

 

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