Q.電子版お薬手帳がなかなか普及しない理由はなんでしょうか?
2019-04-18
Q.
電子版お薬手帳がなかなか普及しない理由はなんでしょうか?

私たちは電子版お薬手帳の導入を検討していますが、東日本大震災の時に調剤薬局のコンピュータが機能不全に陥った際、紙媒体のお薬手帳が患者さんの支援に有益だったことを思い起こし、二の足を踏んでいます。実際に、導入に要するコストだけでなく、パスワードのやり取り等が非常に煩雑に思われ、常に時間に追われている調剤薬局の現場で、本当に上手に運用出来るのかは疑問に感じます。

ただ、厚生労働省の発信する情報等では、メリットばかりが強調され、役人にはマイナス面が余り実感されていないように思います。この他にも、電子版導入で危惧されることはありませんか?

(東北地方・調剤薬局グループ 本部総務部長・44歳)


A.
高齢者のスマホ利用率や、情報セキュリティなどの問題があります。

厚生労働省の「かかりつけ薬剤師・薬局機能調査・検討事業」かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書(2018年3月)によると、電子版を導入しない理由について一番多いのが、「希望する患者がいないため」(44.4%)でした。

現状、調剤薬局を定期的に利用するのは、大半が高齢の患者さんです。60歳代以降のスマホ利用率が4割程度の現状であり、電子版の活用が困難な高齢者が多くを占めることを考えると、厚生労働省が期待する程には、電子版に魅力を感じていない患者・家族が多いのです。それゆえに、「希望する患者がいない」と回答する薬局が多いわけです。

そして、調剤薬局視点からの最大の不安は、電子版導入に伴う情報セキュリティの問題です。近年、日本年金機構やJTB等の大組織でも起こり得た個人情報の流出や、外部のサイバー攻撃による情報漏えい、マルウェア感染によるセキュリティ事故の多発を振り返って下さい。

小規模事業所が多くを占め、情報セキュリティの専門家等が常駐していない調剤薬局が、外部からのサイバーリスクに対応出来るのか?電子版お薬手帳にセキュリティーホールが発見された場合など、外部からのサイバー攻撃に狙われることはないのか?厚生労働省が「問題がない」と強調されるのであれば、その具体的根拠を示す必要があります。


(2019年4月度編集)

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