特集 今日から始める病院の働き方改革(後編)
「制度」「業務」「意識」の3つを変える!
2019-01-09
働き方改革の議論ポイント

2019年3月の最終的な取りまとめに向けて、厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」の議論が本格化している。宿日直や自己研鑽など、長時間勤務にかかわる内容が議題の上っており、議論の行方は今後の医師の働き方を決めるものだ。同検討会の構成員であるハイズ株式会社の英洙代表取締役社長に、働き方改革の議論のポイントを聞いた。


応召義務は倫理規定違反者を処罰するものでない

医療現場における過重労働や超過勤務の問題を受けて2016年10月、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が設置され、2017年4月に同検討会は提言書を公表した。時間外労働の上限時間の設定、医師法に基づく応召義務などの対応などについて具体的な議論を行うために2018年8月から「医師の働き方改革に関する検討会」がスタートした。

9月3日に開催された第9回検討会では、最終的な取りまとめまでの議論のスケジュールが示された(図)。9月にはタスク・シフティングや応召義務、宿日直・自己研鑽に関する議論を実施。10月以降は医療の特性を整理し、めざす医療提供の方向性や時間外労働の上限時間数の制度上の議論を行っていく予定だ。



応召義務の取り扱いについては、9月19日に開催された第10回検討会のなかで、研究班の主任研究者である上智大学法学部の岩田太教授が中間報告を行った。構成員として参加した英洙代表取締役社長は、「訓示的規定と呼ばれる性格の医師の倫理規定的なものであり、原則として違反した医師を処罰する性質のものではないといった見解が示されました。これまでの行政通知等に基づく解釈は、現在の医療提供体制に合わなくなっている部分が出てきている」と説明した。

応召義務の新たな解釈を含め引き続き議論は進み、さらに、国民側の医療にかかり方についても新たに懇談会を設置して議論を行っていく。「医師を疲弊させないためにも働き方改革には住民の理解が必要。コンビニ受診や所定時間外の病状説明を求めないといったお願いをしていかなければならないと思います」

代表取締役社長は医師側の意識改革についても言及。(1)だらだらと業務を行い残業が常態化するのを見直すべき、(2)1人で対応できないときは仕事を他職種に積極的にお願いすべき、(3)ボランタリー精神で患者の要求に何でも応じないようにし、自ら患者に対し、適正な受診の仕方を啓発すべき-とした。


制度、業務、意識改革をそれぞれ進めていく

働き方改革をどう捉えればいいか。代表取締役社長は、(1)制度改革、(2)業務改革、(3)意識改革-の3つの因子に分解できると指摘する。

院内の制度改革としては勤務シフトの融通、女性医師支援の推進などを、院内資源を見ながら導入する。「例えば女性医師の支援は保育所をつくって終わりではなく、フレックスタイムの導入や複数主治医制など、多様な働き方ができるような環境をつくることです」

業務改革はタスクシェア、タスクシフトが主だが、医師がどれだけ業務を抱えているかは見えないので、他職種に任せられる業務は何かを聞いて進める。その際、タスクをシェア、シフトされる側のことを考えることが重要。医師の雑用係ではモチベーションが下がるので、医師が仕事を渡したほうがより効率的にチームとして動けるという考え方が基本だ。看護師についても看護師の補助、イコール介護士ではなく介護の仕事を尊重すべきだとした。

意識改革については経営者、医師、患者それぞれに対して必要。それぞれの人の心情の機微を察し、文脈に応じた意識改革を行っていく。それには他職種の仕事内容、スタンスを知ることだ。

院内で改革を進めるにあたっては、組織を変えていこうという意識はあるが方法がわからないという層に優先的に知識を授けるといったアプローチするのが一番効果的。「優先順位をつけるのが経営上の鉄則。それにより、意識も知識も高い人を組織で増やすことができます」(代表取締役社長)


(フェーズ3 2018年11月号)

 

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