地域のあらゆる健康の悩みに応えるよろず相談所を目指す
トータルファミリーケア北西医院(静岡県富士市)
2018-12-07
POINT
(1)産婦人科から在宅医療も担う、かかりつけ診療所に転換
約70年の歴史を持つ産婦人科診療所だったが、少子高齢化などに伴い、現院長の代から内科、小児科を中心とした外来診療と在宅医療の二本柱へ転換。

(2)看護師が患者に深くかかわり、悩みを拾い上げる
看護師が予診を行うほか、診療にも同席し患者の様子や話から気になる点を随時医師へフィードバックし、より早期から患者の異変や悩みをキャッチする。

(3)診療以外でも地域のニーズや悩みに応える
病児保育室「おんぷ」や地域多職種交流会「ケアカフェふじ」など、診療以外での活動も積極的に推進。常に地域ニーズの掘り起こしに注力している。


老舗の産婦人科がかかりつけ診療所へ転身

トータルファミリーケア北西医院は、前身の北西医院が1935年に産婦人科診療所として開院。約70年間地域の親子を支え、三代目の北西史直院長が継承した2007年からは、内科、小児科、婦人科などの外来診療と在宅医療の二本柱を掲げる、かかりつけ診療所としてリニューアルした。

北西院長は、「私が産婦人科医ではなかったこともありますが、少子高齢化がますます進み、単科の産婦人科診療所の需要は減っていくだろうと考え、子どもから高齢者まで、家族全体を診る方向にシフトしました」と話す。

現在は、1日60~100人が受診し、6~7割は3歳未満の小児だ。また在宅では、常時20人前後を診ている。

目指す診療所像について北西院長は、「医療や健康のことで悩む人のための、よろず相談所」を掲げる。

「病院や診療所が『診察して薬を出したら終わり』という時代はもうすでに終わりました。これからは、患者さんの抱える悩みを引き出し、それに応じて家族への教育を含めた生活指導を行ったり、行政のサービスや支援にもつなげられるような存在になれればと思っています」

同院では、患者の不安や悩みを引き出すために、看護師が患者とより密接にかかわり、診療をサポートできる体制づくりに取り組んでいる。

たとえば、診察前は看護師が必ず予診する。症状や生活に関する情報を事前に北西院長と共有し、実際の診察にも立ち会う。診察後も、患者の様子で気になる点などを医師にフィードバックするほか、特に気になる患者については、週1回のミーティングで、職員全員で共有している。

「医師には相談しづらいことも、看護師には言いやすいという場合もありますし、医師が見逃してしまった患者さんの小さな異変を看護師が拾い上げることで、より質の高いプライマリ・ケアを実践できるはずです。また、看護師自身も、患者さんと1対1で向き合い考える機会を増やすことで、技量の底上げにつながると考えています」と、北西院長は説明する。


病児保育やケアカフェなど診療以外の活動にも注力

さらに同院では、診療以外にも地域の医療・介護の課題を解決するため、さまざまな活動に注力する。

その1つが、承継後に開始した病児保育室「おんぷ」だ。これは、産婦人科の閉鎖に伴い空きスペースになった2階の入院フロアを、「地域のために有効活用できないか」と考えたのがきっかけだという。保育士3人が常駐し、最大6人の病児の受け入れが可能だ。

「部屋は子どもの疾患ごとに分け、おもちゃや内装で子どもたちが『楽しそう』と思えるような雰囲気を心がけています。病児保育室での思い出が子どもたちにとって楽しいものになれば、預けるお母さんの不安や罪悪感も減らすことができます」と北西院長は話す。

季節によっても変動するが、現在は毎日平均3~4人が利用しているという。

地域の多職種との関係を深め、それぞれの現場が抱える課題や地域ニーズを掘り起こすことを目的に、富士市内の訪問看護師やケアマネジャーなどを中心に呼びかけ、15年より地域多職種交流会「ケアカフェふじ」を開始している。

会場は同院の待合スペースで、毎回現場の課題や利用者からのニーズなどを、ワールドカフェ形式でざっくばらんに話し合っている。北西院長による疾患などのショートレクチャーや自己紹介などのアイスブレイクもはさみ、メリハリのある進行を心がけているという。現在まで10回以上開催、毎回20人前後の多職種が参加している。

地域の健康や病気の悩みに寄り添い続ける同院。今後はさらに、医療的ケア児の外来・在宅でのケアにも取り組んでいきたいという。「現在は静岡県立こども病院が医療的ケア児や重症心身障害児のケアを一手に担っているため、そうした子どもたちを地元で支えられる体制をつくりたいと思っています」と、北西院長はやる気を見せる。

スタッフの研修はもちろん、通常のケアカフェに特別支援学校の教諭などの関係者も招いた「キッズケアカフェ」の開催や、富士市の自立支援協議会とのカンファレンスなど、子育てをしやすい地域づくりに向けて動き始めている。



●トータルファミリーケア北西医院
[所在地]静岡県富士市本市場148-1
[TEL]0545-61-0119
[診療科]内科、小児科、婦人科、在宅医療

(クリニックばんぶう2018年10月号)

 

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