特集 人生100年時代の未病ライフと健康リテラシー(下)
日本健康生活推進協会設立2周年記念シンポジウム
2018-07-11
【パネルディスカッション】
行政も含めてリテラシーの向上が必要

シンポジウムの最後には、順天堂大学准教授の福田洋氏、女優・タレントの杉田かおるさんを交えてパネルディスカッションが行われた。杉田さんは、この3月日本健康マスター検定に合格。健康マスターの伝道師として、「健康マスター名誉リーダー」に委嘱・任命された。


生きがいを持って住める街づくりを

大谷 人生100年時代の中で未病とどう付き合っていくべきか。

今村 個人的な話になるが、100年時代の3分の2を過ぎた。正直この年齢になると薬を飲むこともあるが、私の中で一番大事に思っていることは社会参加で、体の変調はあったとしても、できる限り社会とかかわっていければと思う。

久野 4~5年前、台湾で行われた国際老年学会の会合に呼ばれた。私の前に米国の研究者が基調報告をしていたが、どうしても聞き取れない英単語があった。後で分かったのは、「IKIGAI(生きがい)」という言葉だった。これまでの高齢者の健康状態は、QOLを維持することにあった。しかし現在では、日本の高齢者の元気な姿を見て、それは生きがいを持っているからだと欧米の研究者も気づき始めている。

人生100年の中で病気にならないことはまれで、たとえ病気になったとしても生きがいを持って住める街づくりが大事ではないかと思う。

杉田 4年半の間、母を介護し医療にもお世話になった。そこで知識も必要であり、介護する意欲も必要だと感じ、健康マスター検定の受験を決意した。

これからはしっかり健康リテラシーを向上させて、情報を見極めて活用できるようにしたい。

福田 現在は格差を意識しなければならないときだと思う。内科の外来をしていると、元気な高齢者とそうでない高齢者が多くいる。企業も恵まれた体制のところもあれば、そうでないところもある。短い人生ならわずかな差はわずかなままで終わるかもしれないが、人生100年時代となると、小さな差がどんどん開いていくのかなと思っている。


心臓疾患患者もスポーツができるエビデンスの存在

- 福田先生は健康リテラシーを研究されているが。

福田 リテラシーとは、単に知識の問題ではなく、コミュニケーションの問題であり、知識がどう生かされていくかということだと思う。1万人規模の調査をしてみると、情報を収集できる割合は7割いたが、それを他人に伝え実際に行動できるのは3割程度しかいない。また日本の健康リテラシーは、欧米はおろかアジアの中でも低いという結果がでている。それはコミュニケーションという問題につながっていくのではないか。

久野 ドイツでは心臓疾患を患った患者は、医療者の監視のもとでスポーツをやっている。スポーツをやったほうがいいとのエビデンスがあるのだ。日本でそうならないのは、行政も含めリテラシーが低いからだろう。その向上が必要だ。

杉田 介護と医療は別々のアプローチがされていて、母の介護を急にするとなったとき、延命はどうするかなど次々と判断しなければならない事態となった。人間は誰でも死ぬが、それまでにやるべきことの情報収集も必要だと感じた。

(取材 ● 田川丈二郎 / 医療タイムス No.2356)

 

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