特集 進む訪日外国人の医療受入れ(2)
地域の病院に期待が集まる
2018-07-04
訪日外国人の73%が旅行保険に加入


また昨年度、観光庁は「訪日外国人旅行者の医療に関する実態調査」(右表参照)で、訪日中の不慮のけがや病気の医療費をカバーする保険の加入状況、実際に不慮のけが・病気になった人の日本の医療機関における受診実態についてアンケートを実施した。

その調査結果によると、訪日外国人旅行者の73%が訪日旅行中、医療費をカバーする旅行保険に加入しており、その保険の加入方法は、旅行代理店などで加入した割合が最も多い(54%)。訪日旅行中にけが・病気になり、医療機関に行く必要性を感じた訪日外国人旅行者は全体の1.5%だった。

もう少し詳しく調査結果を見ていくと、加入していた海外旅行保険のうち、通訳などの追加サービスが付帯していたものは約半数にとどまった。追加サービスの中でも医療機関が気になる、病院での支払いや帰国後の保険金請求の手続きが不要となる「キャッシュレス診療サービス」が付帯しているのは全体の34%だった。

また海外旅行保険の未加入理由は「加入する理由がないから」が46%でもっとも多く、次に「保険加入の意識がなかった」が23%だった。

「加入意識を高めるような取り組みが必要だ。また海外旅行の経験回数が増えると加入率が低下する傾向も分かった」(原田氏)

旅行中にけがや病気になったとき、「必要な医療機関を見つけるための情報提供で便利だと思えるものはないか」という設問では、宿泊先のスタッフが47%でもっとも多かった。次に保険会社(35%)、観光案内所(32%)と多い。さらにウェブサイト・アプリ(22%)、旅行ガイドブック(15%)、病院のウェブサイト(14%)、旅行会社(14%)と続く。

病院のウェブサイトへの期待は、現在ではそれほど多くない。実際のところ、相談を受けた宿泊先のスタッフが検索したとき、医療機関の多言語・文化への対応状況の情報が得られると受診がスムーズになるので、そうしたことからもウェブサイトでの情報提供が重要だ。

また受診することができなかった理由では「日本の医療機関について、必要な情報が得られなかった」の割合が50%でもっとも多かった。また「初めから行くのをあきらめていた」(32%)も多い。

この調査では必要な情報を得られなかった人に、医療機関をどのように探したか尋ねている。その回答は以下の通りだ。

「見渡したが、見つからなかった」(34%)、「人に聞いたが、見つからなかった」(31%)、「ウェブサイト・アプリを検索したが見つからなかった」(25%)

また「初めから行くのをあきらめていた」ケースの理由では「言語に不安があった」「行く時間がなかった」がそれぞれ23%でもっとも多かった。


規模や立地にかかわらず多言語・文化への対応は想定

年間の訪日外国人旅行者数が4,000万人になると、60万人の医療ニーズに対応しなければならない。現在、「訪日旅行者受入れ医療機関」として登録されているのは病院だ。しかし、風邪や軽傷のけがなどであれば、観光地や宿泊施設の近隣にある診療所へのアクセスが現実的であろう。この調査からは、簡単にアクセスできる医療機関が見つからなかったから、体調に不安を抱えながらも短期旅行だから我慢していたケースが多そうだ。そのことからも訪日外国人旅行者が全国で増えていくことが見込まれ、どのような規模や立地の医療機関であっても、多言語・文化への対応は想定しておくべきニーズといえる。

観光庁では医療機関の利用ガイド「具合が悪くなったときに役立つガイドブック」を作成している。日本医師会、東京都医師会の監修で外国人旅行者が日本滞在時に受診するときを想定。この中にある「病状・病状説明のための指差し会話シート」は受付時の問診でも活用できそうだ。以下のサイトからダウンロードすることができる。

■観光庁「日本を安心して旅していただくために具合が悪くなったときに役立つガイドブック」

(3)へつづく

 

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