[特集] 2018年度診療報酬改定を振り返って(3) 日本病院会・相澤会長
日本病院会 相澤孝夫会長インタビュー(6/7)《厚生政策情報センター》
2018-06-07
  日本病院会の相澤孝夫会長はこのほど、MC plus編集部の取材に応じ、2018年度の診療報酬改定について、「将来に向かっての方向性がかなり打ち出されたのではないかと感じている。(入院料の見直しなどで)どういう医療を提供するかで切り分けたのは大きなことだと思う」と分析した。医療提供体制のあり方では、最大の問題は医療需要と供給のミスマッチが生じていることにあるとして、今後の人口構造の変化に合わせて急性期病床を一定程度集約化していく必要性を指摘。とくに高度で専門的な治療を必要としない、比較的軽症の急性期医療を地域の医療機関でどのように分担していくのかが、重要な課題になると見通した。
 
2018年度診療報酬改定では、入院料を病期で「急性期医療」(【急性期一般入院基本料】)、「急性期医療~長期療養」(【地域一般入院基本料】、【地域包括ケア病棟入院料】、【回復期リハビリテーション病棟入院料】)、「長期療養」(【療養病棟入院基本料】)の大きく3つに再編。診療実績に応じた評価も組み込まれた。相澤会長は、病棟で提供される医療の内容と報酬を結びつけた体系に大きく舵を切った点を、高く評価。また、かかりつけ医機能の評価の充実、病院における【入院時支援加算】の創設、療養病床からの転換先としての介護医療院の創設-などで、医療と介護の連携の素地はある程度できたとの見方を示した。
 
次回改定に向けては、「軽症で頻度の高い急性期をどうしていくのかという点に議論が移っていくのではないか」とし、地域における医療機関の機能分化・連携にも関連し、主要論点になると予測した。現在の急性期の病床に、治療を終えた後も投薬、食事、入院料の算定だけで入院を続けている高齢者が一定数存在することにも触れ、医療資源と医療財源を効率的に配分する観点から、高度医療や専門性の高い医療を担う一部の病床を残して、急性期病床の集約化を進める必要性を強調。「こうした高齢者のマーケットは拡大しており、本来はマーケットに対応するべきであるのに、現在は需要に供給が見合っていない。需要に合わせて供給を変えることがマネジメントであり、地域の需要にマッチした病院を作っていけば、経営も困らないと思う」などと述べた。
 
 
◆病院単位での機能分化と連携を、病棟の機能は診療報酬で明確化
 
その上で、医療提供体制の見直しでは、病床機能報告や地域医療構想のように、病棟単位で4つの機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)に細分化していくことに疑義を表明。地域の事情に応じた柔軟な運用を可能にするためにも、高度急性期を担う病院と、それ以外の幅広い医療に対応する地域密着型の病院の2つの病院類型を軸に、病院単位での機能分化を進めていくことを提案した。
 
病棟が担う機能は、病棟で算定される診療報酬で明確化する。その結果、地域密着型病院は、個々の病院の機能を、その病院がどの報酬を算定する病棟で構成されているのかという「病棟の組み合わせ」で容易に確認できるようになり、連携先を探す医療・介護施設にとっても、地域の住民にとってもわかりやすく、シンプルな仕組みになると説明。「病院同士の機能分化がきちんとできると、そこに連携と協働が生まれる。病棟単位で病院内の機能分化をしようとするから、中々進まないのだと思う」と話した。
 
高度急性期病院は診療報酬での評価を厚くし、それ以外の急性期病院は地域密着型病院への転換を促す。ただし、急性期であっても肺炎や虫垂炎、高齢者の尿路感染症による発熱などの軽微な治療は地域密着型病院が担うことを想定しており、「地域密着型の病院でどこまでの急性期医療を担うかは、地域の事情によって違ってくるはずで、そこを話し合って決めていくことこそが、『地域医療構想』だと思う」と話した。高度急性期病院に財源を配分した分、地域密着型病院の診療報酬単価は下がるが、幅広い病期の患者の受け入れや、高度急性期病院の在院日数短縮化で患者の早期受け入れが可能になれば、病床稼働率が上がり、病院経営を十分維持できるとした。
 
 
◆2次医療圏に固執していては人口・疾病構造の変化に対応できない
 
関連して、2次医療圏(構想区域)単位で医療提供体制を考える現在の手法にも、疑問を投げかけた。患者の流動性が高まり、総人口の減少で人口が10万人を切る2次医療圏の増加が見込まれるなかで、医療圏を細かく区切るほど、医師数や特定の機能の診療科や病床数は不足することになると懸念。「例えば、人口2~3万人の医療圏で1年間にいったい何例の心筋梗塞が発生するのか。医療圏が小さくなればなるほど固定的になり、人口の変化、疾病構造の変化に対応できなくなる。2次医療圏に固執することは、これからの時代の変化に柔軟に対応することを拒否していることになると思う」と述べ、2次医療圏で症例数が限られる専門的な医療や分娩施設などについては、広域での設置を検討することを提案した。
 

 

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