特集 オンライン診療の胎動(2)
クリニクスサミット2018から
2018-06-06
【事例報告】
着実に広がるオンライン診療外来、入院、在宅に続く第4のスタイルに


頭痛・生活習慣病診療におけるオンライン診療
大林クリニック院長大林 克巳 氏

大林克巳氏は、自らが実践するオンライン診療の現状と課題を報告した。

大林氏は脳外科医として2007年にクリニックを開業。主に頭痛外来を行っている。患者は1日80人から100人で、オンライン診療は1日10人に限定して行っている。

導入の背景には、頭痛学会に参加した際ブースでオンライン診療のデモを行っていたことにある。大林氏は、以前からネット販売のように販売店=クリニック、消費者=患者という関係が築けないかと考えていた。ブースで見たオンライン診療ならそれが可能だと直感したのだ。

もちろん懸念はあった。患者がこのようなシステムを本当に望んでいるのか。クリニックとして保険診療が成り立つのかどうか。ところが実際に始めてみると、患者にオンライン診療のシステムを話すと多くが興味を持ったという。ネット環境も、自院のある栃木県宇都宮市ではほぼ問題がない。当初は電話再診として行っていたが、それだと外来管理加算が算定できないので、クリニックとしては減収になる。そこで予約料を算定し、電話再診と組み合わせることで経営を維持した。

患者の反応は「ぜひやりたい」「ネットは詳しくないのでやりたくない」の2パターンしかなく、「外来を楽しみにしているのに、来るなというのか」と怒る患者もいる。そのために、大林氏は患者との信頼関係を得られていることが大切と強調した。

患者は、症状を薬でコントロールできていることが不可欠で、現状では70~80人が利用。通院の時間がない患者にとっては、自宅や車の中からも受診できるために、助かるという声が多い。今後は電子処方や銀行引き落としなどのシステムが完備されればと夢を語った。


痛風・高尿酸血症に対するオンライン診療
医療法人社団つばさ両国東口クリニック理事長大山 博司 氏

痛風と高尿酸血症が専門分野である大山博司氏は、年間約2万人の患者を診ている。外来患者は1日180人、人工透析、フィットネスも行っているという。

大山氏によれば痛風の患者数は年々増加しており、2013年段階で100万人を超えた。98%が男性で、その原因は高尿酸血症である。高尿酸血症は1000万人以上もの患者がいるといわれ、20~30歳代の男性が多い。「この年代の男性は4人に1人が高尿酸血症であり、痛風予備軍といわれている。その数は今後増加すると見込まれる」(大山氏)

本来、痛風や高尿酸血症はオンライン診療の特定疾患ではないが、これら患者は生活習慣病を合併していることが多いため、その管理・治療を行っていくためのオンライン診療料の算定も可能だ。また痛風や高尿酸血症だけであっても、電話再診により算定ができる。

年々増加傾向にある痛風・高尿酸血症だが、30歳代、40歳代の患者は仕事が忙しく、生活習慣の改善や通院がままならないという問題がある。例えば痛風などは発症すれば激痛が走るが、治まってしまえば無症状だ。多くの患者は、治療を中断し、生活習慣の改善をやめてしまう。そこで長期にわたって指導を行い、治療を継続するための仕組み作りが重要となる。また同院の場合、患者の居住地が東京はもちろん、全国に散在している。そこでオンライン診療となる。

同院のホームページには、スマート外来とのアイコンがあり、それがオンライン診療の入口となる。昨年7月から始めたが、現在の利用者は月10人程度だという。

定期的な通院が難しい患者には、オンライン診療が有用ではないかという手応えを感じている。


小児神経学専門クリニックにおけるオンライン診療
瀬川記念小児神経学クリニック理事長星野 恭子 氏

小児神経を専門とする星野恭子氏は、自身が実践するオンライン診療について報告した。

星野氏のクリニックには、全国から神経難病の子どもが訪れる。1回につき1時間から1時間30分の診療が行われるが、状況に応じて診療内容をアレンジするという。例えば遠方から来た場合、1日目、2日目にまとめて診療し、その上で地元の医師を紹介したり、紹介できる医師がいない場合には近くで連携できる医師を探す。さらには、数カ月後、半年後の再診を促すという。

しかし、患者の負担は非常に大きい。患者は子どもであるため、家族で来院することとなる。必然的に交通費、宿泊費もかさみ、家計が逼迫する。地元の医師を必ずしも紹介できるわけでもなく、探すのも大変だ。処方も専門的となる。患者家族から電話などで相談を受けることもあるが、様子が把握できず、患者・家族の心が分からないこともある。

そこでオンライン診療を導入した。そこには、患者の負担をとにかく減らしたい、さらには自分たちが主体となって専門性を維持した治療を行っていきたいという思いがあったという。

診療は1枠30分が原則。パソコン・スマフォを通して、患者を診療する。その頻度は患者の状況に応じて決めているという。それまでは1回の来院で数十万円という費用がかかっていたが、オンライン診療を行うことで負担が軽減。家族も喜ぶ。星野氏も、安心して継続的な治療ができると実感している。さらには、クリニックでは見られない患者の学校生活や日常生活の様子を知れることも大きな収穫だった。星野氏は、小児神経分野では、オンライン診療で患者の立場に立った診療ができると確信している。

(3)につづく

 

twitter

facebook

ページトップへ戻る