特集 オンライン診療の胎動(1)
クリニクスサミット2018から
2018-06-04
厚生労働省は2015年8月に事実上の「遠隔診療解禁通知」を発出。さらには2018年度診療報酬改定ではオンライン診療料、オンライン医学管理料が新設された。オンライン診療サプリ「クリニクス」を展開する株式会社メドレーは4月29日、「クリニクスサミット2018」を開催。オンライン診療に先進的に取り組む医療機関が事例を報告した。医師偏在の解消、働き方改革まで見据えたオンライン診療は、国の施策とあいまって確かに動き始めていた。


【あいさつ】
今回の診療報酬改定でオンライン診療に大きな動き

オンライン診療の適切な普及に向けて研究会を発足

株式会社メドレーが展開するオンライン診療アプリ「クリニクス」は、オンライン診療の活用により、患者の通院負担を軽減。治療継続の支援を行う。

また導入した医療機関は、予約管理やビデオ診察、必要に応じたアフターフォローまでオンラインで行うことができる。

4月29日に開催された「クリニクスサミット2018」では、実際にオンライン診療を活用する医療機関から事例報告があった。

冒頭、あいさつに立った同社代表取締役医師の豊田剛一郎氏は、クリニクスを2016年2月にリリースした以降、2年余の間でさまざまに学ぶことができたと紹介。

1つは日本の医療の未来のためになると信じ、患者のためになると信じていることを推進していくと、大きなうねり、きっかけを作ることができることだという。2015年8月に厚生労働省から事実上の「遠隔診療解禁通知」が発出された。環境は整いつつあったが、豊田氏がオンライン診療を始めたときには、多くの医師が怪訝に思っていた。しかし今回の診療報酬改定で「オンライン診療料」「オンライン医学管理料」が新設され、大きな動きとなっていることを実感したという。

その原動力になったのが、これまでもオンライン診療を実施してきた多くの医師の存在だと豊田氏は強調した。その上で豊田氏は、「私たちも微力ではあるがオンライン診療が臨床現場でどういう意味があるかを考え訴えてきた」と述べた。それゆえに、自らの信念を持って動けば、大きなうねりを作れるということを実感できたというのだ。

豊田氏は、自分たちがどんなに声を上げても、医師が活用していかなければ広がらないことを指摘。今後、多くの現場の医師に参加、協力をいただきながらオンライン診療研究会を発足し、オンライン診療の適切な普及に向けて臨床現場の知見の共有や情報発信を目指していくと明らかにした。


地域医療・へき地医療改革と医師の働き方改革を同時に解決

続いて、東北大学病院てんかん科科長の中里信和教授が登壇した。東北大学では2010年にてんかん科を全国で初めて発足。その後2012年に東日本大震災への被災地支援からオンライン診療を始め、6年が経った。

中里氏によれば、てんかんはMRI検査などが大事と思われるが、実際は病歴が一番だという。事実、1人の患者に1時間かけて病歴を開くことによって3割の患者がてんかんではないことが判明したという。さらには4割の患者が薬を少し変えただけで症状が激変することも経験した。
被災地支援を実施しながら、九州や沖縄、東京、北海道の患者を診てきたが、今回の診療報酬改定を受けて、正式にオンライン診療を実施することとした。当面は自由診療という形になる。新患へのセカンドオピニオンとして1時間~1時間30分程度の診療を行う予定だということだ。

中里教授は厚労省の担当者と懇談した際、地域医療・へき地医療改革と医師の働き方改革を同時に解決していくための1つの手段としてオンライン診療があることで意見が一致したという。

最後に、「それぞれの診療科にあったオンライン診療のスタイルが生まれて発展していくと思う。」と述び、話を結んだ。


(2)につづく

 

twitter

facebook

ページトップへ戻る