「薬剤の適正使用」を目指した調剤報酬・改定項目の内容
国が「かかりつけ薬局・薬剤師」推進と並ぶ重要課題
2018-06-04
調剤の「適正化」が意味するのは「減薬」

ほぼ1年前の2017年6月2日、政府は経済財政諮問会議を実施し、「経済財政運営と改革の基本方針2017」(以下通称、骨太の方針に略)を発表しました。「骨太の方針」は自民党政権下で毎年、発表される経済・財政に関する基本方針です。わが国が示す経済・財政政策の骨格と言えるものですが、その中の社会保障制度改革の中では、7番目に「薬価制度の抜本改革、患者本位の医薬分業の実現に向けた調剤報酬の見直し、薬剤の適正使用等」に言及されています。

そこで、調剤報酬に関しては、最初に「薬剤の調製等、対物業務に係る評価の適正化」と共に「在宅訪問や残薬解消等の対人業務を重視した薬局の機能分化の在り方を含めて検討する」としていますが、これは正に「かかりつけ薬局・薬剤師」推進を目指した調剤報酬の拡充です。これに関しては、これまでに述べたように、今改定で相当、前進したと言えますが、もう一つ国が進めたい重要なポイントは「薬剤の適正使用」に関して‐です。

骨太の方針の中でも、適正使用に関しては、「リフィル処方の推進」等、未だ実現していない案件も含まれていましたが、多剤投与や重複投与の是正等については重点項目として語られています。それを踏まえて、2018年度調剤報酬改定では、「多剤・重複投与を適正化する」視点からの新機軸が幾つか見られます。この「適正化」の意味は、言うまでもなく「減薬」です。今回は薬剤の適正使用に関連した調剤報酬項目を検証してみましょう。


「減薬」を評価する「服用薬剤調整支援料」薬剤師の資質向上にも貢献?

今改定で新設された「服用薬剤調整支援料」(125点・月1回)〔以下、同支援料に略〕は患者の意向を踏まえて「患者の服薬アドヒアランス及び副作用の可能性等を検討した上で、処方医に減薬の提案を実施し、その結果、処方される内服薬が減少した」場合に評価されるもの。「保険薬剤師が文書を用いて提案し、6種類以上の内服薬が2種類以上に減少した場合に月1回算定出来る」との要件を見れば、正に「減薬の実績評価」が実際に導入されたわけです。

従来から「薬の受け渡し時における疑義照会」により、減薬等、処方に変更が行なわれた場合の評価として「(在宅患者)重複投薬・相互作用等防止加算」(以下、同防止加算に略)がありましたが、提案の取り扱いをいま一度、整理しました。つまり、「薬の受け渡し時以外の多剤投与の適正化」に係る提案を同支援料として区別し、別建てに新設したのです。同防止加算が「40点または30点」の評価であるのに対して、先述・同支援料は薬局薬剤師に求められる機能や役割等が特段に大きいことから、125点の高い点数設定が行なわれています。「多剤処方による弊害防止」だけでなく薬剤師の資質向上にも貢献する新設項目として、前回に紹介した「かかりつけ薬剤師」のあるべき機能を示した「地域支援体制加算」と同様に、今回の調剤報酬の「目玉」として捉えられるでしょう。

この他、医療機関においても先んじて、2016年度診療報酬改定で「多種類の服薬を行っている患者の処方薬剤を総合的に調整する取り組みを行って、処方薬剤数を減少させた場合」の実績評価として、「薬剤総合評価調整加算」(250点・退院時1回)、及び「薬剤総合評価調整管理料」(250点・月1回)が新設されています。いずれも「6種類以上の内服薬を2種類以上に減少させた」場合の評価であり、調剤報酬でも同様の制度設計による新機軸が誕生したことになります。

今回の診療報酬改定では、地域包括ケア病棟においては「薬剤総合評価調整加算」が包括範囲から除外され、出来高算定が可能になりました。これも、医療機関が減薬へのインセンティブを高めるための誘導です。この他、向精神薬に関して、「処方料・処方箋料が減算となる多剤処方の範囲が拡大される」と共に、「向精神薬の多剤投与の状態にある患者に対し、医師が薬剤師等と連携して減薬に取り組んだ」場合の評価として、処方料に対する「向精神薬調整連携加算」(12点)及び処方箋料に対する「向精神薬調整連携加算」(12点)が各々、新設されたことを付け加えておきます。

今年も6月になると2018年度の「骨太の方針」が発表される予定ですが、「減薬」に関して、どのような言及がされているのかが注目されます。「減薬」を誘導する診療報酬・調剤報酬は今後、更に拡充されていくことが予想されます。

(医療ジャーナリスト:冨井淑夫)

 

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