特集 衝撃の診療報酬改定 危機回避のポイントはここだ!(3)
知らない診療所は危ない!!
2018-05-17
『外来医療編』
患者数は確実に減っていく生き残りには新たな展開が必要

外来医療の最大の目玉は初診料機能強化加算の新設

‐次に外来をテーマに議論を進めていきたいと思います。まず紹介状なしの大病院受診時の定額負担の対象が特定機能病院と500床以上の地域医療支援病院となっていましたが、これが400床以上へと拡大されました。これの影響はありそうですか。

小松 ほとんどないでしょう。前回改定で導入されましたが、大病院の患者さんの多くが中小病院や診療所に流れたといったことは起きていませんから。

今改定の外来で最も大きなポイントは「初診料機能強化加算」でしょう。もう少し厳しい算定要件が課されるかと思いましたが、非常に緩いという印象を受けます。地域包括診療加算や在宅療養支援診療所および病院、在宅時医学管理料などを算定していれば全患者で算定できるのが大きい。シミュレーションしたところ、1日当たり初診患者が15人程度いる診療所だと、年間200~300万円の純利益増になると試算しています。

中村 確かに緩いですよね。在宅療養支援診療所および病院は届け出をしておけばいいわけですから。最もハードルが高いのは地域包括診療料でしょう。比較的、算定しやすいと言われるのが、地域包括診療加算ですが、これはかかりつけ医研修がネックじゃないですか。最後に行われたのが昨年の7月で、日本医師会のWEBサイトを見ても次回の研修スケジュールがわかりません。オンライン学習などはないですし、ある意味、高いハードルと言えますよ。

小松 そういう意味では要件として一番取り組みやすいのは在宅医療かもしれません。200床未満の病院は算定できるので、冒頭の話につながりますが在支病の届け出をして取り組む病院は増えると考えられます。地域包括ケア病棟入院料1+在宅療養支援病院+初診料機能強化加算というのが、200床未満の病院の1つの目指すべきモデルになるようにも思います。

‐地域包括診療料についてはかかりつけ医の機能を評価した点数と期待されてきましたが、なかなか進みませんね。

小松 かかりつけ医の定義としてはさまざまな意見があります。健康な段階からつき合いがあり、何か問題があれば対応するほか、必要に応じて専門医療や病院につなぐ。さらに病院での治療を終えた高齢者を在宅で看取るまで支える‐。こうした赤ひげ的なイメージもありますが、厚生労働省の考える、かかりつけ医の基本は、急変時を含めた夜間対応と、在宅医療とその先にある看取りだと感じます。本当は機能強化型在支診を中心にしたかったのでしょうが、増えるどころか減っています。

このままいくと2040年には36万人が看取り難民になると言われていますが、今看取りに力を入れている機能強化型在支診以外の診療所、全体の半分として5万件がそれぞれ地域で10人看取れば50万人。つまり看取りの問題を解消できるというわけです。全体的に制度設計は夜間や在宅、看取りに寄って進められているように思います。


オンライン診療は在宅医療やCPAPで期待

‐当初、目玉と言われていた「オンライン診療」についてはどうでしょうか。「企画倒れ」との声もあるようですが。

小松 算定要件を見ると、2つのことが考えられます。1つは「大きな事故を避けたい」という慎重論から小さくスタートさせた。もう1つは、このスタイルは日本に合わないのでこの程度にとどめた。このいずれかでしょう。

点数よりも算定要件が課題です。「オンライン診療料」も「オンライン医学管理料」にも6カ月以上毎月の対面診療が前提、3カ月連続で算定できないというのがきつい。

ただ、開業医の先生に聞いてみると、長年診てきた糖尿病を含めた生活習慣病のなかには3月に1回だと怖いという患者さんもいるようです。そうした患者さんの医学管理にははまるという意見もあります。

中村 「在宅時医学総合管理料オンライン在宅管理料」も新設されました。訪問診療2回のところを1回はこれで済ませるというのは負担軽減につながるでしょうが、遠隔診療を行う場合、電子処方せんとセットにならないとうまくいかない気がします。夜間何かあって「診てください」と言われて、遠隔診療しても結局、薬が届かない、処方せんが届かないということだと、病院や診療所まで来てほしいとなります。電子処方せん自体は解禁されたものの、メーカーの人に話を聞くと開発コストの問題もあってほとんど進んでいません。

小松 基本は様子見です。自由診療でどのようなルールをつくるかに注目しています。ただ、CPAP療法を実施している患者さんへの在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の遠隔モニタリング加算については、医療の質を高めるという観点からも非常に有効だと思います。


(4)につづく

 

twitter

facebook

ページトップへ戻る