特集 衝撃の診療報酬改定 危機回避のポイントはここだ!(2)
知らない診療所は危ない!!
2018-05-16
在宅医療は質と効率性から診療科別の分業の時代に

‐在宅医療に関しては今回、在宅患者に対して複数の医療機関が訪問診療に入れるよう「在宅患者訪問診療料Ⅰ」が見直されました。これも全員参加の在宅医療に向けた取り組みの一環と考えればいいのでしょうか。

小松 そうですね。これまで在宅医療に縁遠かった、たとえば皮膚科や耳鼻咽喉科などの診療科の医師に対する「少しでもいいからやりましょう」というメッセージでしょう。主治医は別にいるので夜間呼び出されることもなく、参加しやすくなると思います。

中村 在宅患者さんの側から見た場合、複数診療科の先生に来てもらえるのはベストです。在宅医療の現場では、「疥癬を皮膚科に診てほしい」「耳が聞こえにくいので耳鼻科に来てほしい」といった単発的なニーズが結構多くあります。しかし、自前で抱えるのは経営的リスクが高い。

規模が大きければ別でしょうが、一般的には皮膚科や耳鼻科の開業医の先生方に「昼休みや休診日にスポットで少しだけ診てほしい」と連携を依頼するほうが得策かもしれません。診療報酬が新設されたことでアプローチしやすくなるでしょう。整形外科や眼科、泌尿器科など大抵の診療科はニーズがありますし、こうした専門科の診療所の先生は重宝されると思います。この機会にぜひ、在宅医療に参入していただきたいと思います。

小松 在支診以外の診療所による訪問診療に対する評価として「継続診療加算」が新設されましたが、これも診療所を巻き込む、もっと言うと、先ほども出ました全員参加の在宅医療への誘導と捉えることもできます。

中村 地域に今ある医療資源をフル活用して、今後の高齢者増、看取り増を乗り切ろうという発想ですね。

小松 そうです。そのシェアするという発想が今後の地域医療のポイントになるように思います。

たとえば、在支診として訪問診療に取り組もうという場合、医師や同行する事務職などの人件費、それに自動車の購入および維持費などの固定費を考慮する必要があります。この経営的リスクも在宅医療参入のハードルの1つです。

一方、多くの診療所が少しずつ在宅医療に参画した場合はどうでしょうか。週2、3回程度の訪問診療であれば、自動車を新たに購入せずに通勤用のものをそのまま使えるし、同行する事務職を雇用する必要もないでしょう。新たな固定費はかからないので、すぐに採算ベースに乗ると考えられます。

これまで在宅医療は機能強化型の点数をベースに、多くの診療所に参入を呼びかけてきましたが、それでは難しいということが明らかになってきたのでしょう。全員参加の在宅医療の背景には、コストや負担を地域の医療機関にシェアさせるという意味もあるように感じます。家庭医やプライマリ・ケア医などの医師が1人ですべてを診るのではなく、複数の医師が協力しながら診ていこうというメッセージだと思いますよ。

‐かかりつけ医とかかりつけ歯科医との連携を評価する「診療情報連携共有料」など、連携に対する評価も増えています。これについてはいかがでしょうか。

中村 歯科医の先生方とは今も情報提供書のやりとりはしていますが、密な連携はあまり進んでいないというのが正直な感想です。たとえば、サービス付き高齢者向け住宅に訪問診療に行ったとき、歯科医が来ていても「今日は歯科医が入っているんだ」という程度のところは多いと思います。一方、歯科医の先生のアクションも薄い感じがあります。今のところ、「一緒にやりませんか」といったアプローチはありませんね。ただ、医科歯科連携と言うと口腔ケアがクローズアップされますが、それぞれの使用している薬を把握しておかなければ事故を起こす危険性があるので情報共有だけでも意味はあると思いますよ。

1つ補足しておくと、在宅時医学総合管理料および施設入居時等医学総合管理料が100点下がった一方で、「包括的支援加算」が新設されました。同加算の対象となる患者さんを診ている診療所は、50点プラスになります。同加算の対象者こそが本来在宅で診るべき患者さんだと言えると思います。

(3)につづく

 

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