まちのコンビニクリニックとして生活習慣病からがんまで幅広く診療を行う
たにぐちクリニック(大阪市旭区)
2018-05-11
POINT
(1)生活習慣病からがんまで幅広い診療を行う
開業医の仕事は「何でも屋のまちのコンビニのように診療すること」というポリシー、内科・外科・整形外科・皮膚科・心療内科まで幅広く初期診療を担当。

(2)患者のニーズに応えて診療を拡大
足腰の痛みを訴える後期高齢者患者が多く通うことから、リハビリテーション科を拡大。短時間型通所リハビリテーション(デイケア)も開始した。

(3)体だけではなく心も健康になるしかけを取り入れる
誕生日カードのプレゼントや記念撮影など、患者の笑顔を引き出す診療を実施。落語会やがん患者との沖縄旅行も定期的に企画している


リハビリ、デイケアなど後期高齢者向け医療を拡大

大阪市営地下鉄・千林大宮駅から京阪・千林駅の間を結ぶ「千林商店街」は、「日本一安い」と称されたこともある大阪を代表する商店街の1つだ。そんな下町風情が残る商店街近くの住宅街の一角に、たにぐちクリニックがある。

診療領域は生活習慣病から腰痛・膝関節痛、内視鏡検査やがんの早期発見、訪問診療と幅広い、まちのかかりつけ診療所だ。長年外科医としてがん治療や手術にかかわってきた谷口一則院長は、次のように語る。

「勤務医時代、多くの患者さんを看取りました。『死にたくない』と亡くなられた方も多くいました。人生の後半にさしかかり、1人でも多くの方に悔いのない人生を全うしてもらいたいと、2004年に開業しました」

現在、1日の患者数は130人超で、6割は75歳以上。通院歴の長い患者が多く、診療のための送迎や短時間型通所リハビリ、訪問診療やビワ温灸など、患者ニーズに合わせて機能も拡充してきた。2016年には、リハビリスペースを拡大するために移転も行った。

「これだけ高齢者が増えると、対症療法では追いつきません。自分で健康を維持するよう、運動指導をしたり、体を動かす習慣をつけたりすることもかかりつけ医の仕事と考え、柔道整復師や鍼灸師、理学療法士を採用し、リハビリ機能を充実させました」(谷口院長)

谷口院長は、NPO法人「21世紀の医療医学を考える会」理事としてがん患者支援活動も行っており、以前からがん患者一人ひとりからの求めに応じ、西洋医学はもちろん、食事療法や代替療法などを提案している。この姿勢はがん患者以外でも変わらないようだ。


スタッフ全員が診療所経営にかかわる体制を整備中

大阪の下町にある診療所とあって、診療にはユーモアや人情の温かさもにじみ出る。

「心も健康でいられる診療をしたいと思っています。たとえば、誕生日にはカードを渡したり、手づくりのお面をかぶって記念撮影をしたりすることもあります」と、谷口院長は話す。落語会や年1回がん患者と一緒に沖縄・久高島旅行も開催している。

「以前、旅行の前後に採血をして、免疫力の指数であるリンパ球値を測定したことがあります。旅行後の全員のリンパ球値が上昇したことに驚きました。楽しいと思えることをすると、心も体も元気になりますので、診療所外での活動もできる限り引き受けています」

現在の課題はスタッフの統一だ。機能を拡充させるに伴いスタッフ数は増え、事務や看護師、柔道整復師、鍼灸師、理学療法士など総勢25人になっている。年齢や職種、出身、入職した動機も違うこともあり、人数が増えるにつれて、仕事に対する思いなどに微妙な温度差が生じるようになってきた。

「それぞれプロ意識を持つ専門職なので、知識や経験の違いからぶつかることもあります。同じ方向を見て働くために、全員で診療所を運営しているのだという意識を持てる環境が必要だと思いました」

人生の最後まで笑って過ごせるように健康をサポートする。この診療方針を全員で共有し、これに則った行動を浸透させるには何が必要か。悩んだ末に行ったのが、診療所のクレド(経営理念)をスタッフ全員でつくり直すことだ。

「開業10年目に私がつくった10カ条のクレドを定期的に読み合わせしていましたが、スタッフが増えるにつれて『共感しづらい』という指摘や雰囲気を感じるようになりました。昨年から『クレド委員会』を開き、スタッフと一緒に新しいクレドをつくっています」

今年1月には、スタッフ全員参加の第1回「経営戦略会議」を開催。谷口院長が参加したセミナーや講演会で得た情報や知見を伝えるほか、「これからの世の中はどうなる?」など、時代に合う診療をするために全員で今後の方針や目標を話し合う場を設けた。全員で考え、自走する全員経営に向けて走り始めた同院。今後の抱負として、谷口院長は次のように語った。

「『競合診療所と比較されない診療所にするには』『仲間同士で戦わないために何が必要か』『患者といい関係を築くにはどうすればよいか』なども話し合いました。開業から15年。私が退いても続く診療所にするために、これからは、スタッフ全員に経営にかかわってもらいたいと思っています」


●たにぐちクリニック
[所在地]大阪市旭区森小路2-3-27 サンハイツ1階
[TEL]06-6951-1717
[診療科]内科、消化器内科、外科、整形外科、リハビリテーション科

(クリニックばんぶう 2018年3月号)

 

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