2018年に向けて調剤薬局の抱える大問題(3)
「かかりつけ薬剤師」のインフォームド・コンセント(説明と同意)と調剤報酬
2018-02-14
導入可能性が高い「かかりつけ」同意取得の基本様式

2018年度調剤報酬改定に関し、中医協で「後発品使用促進策」や「門前薬局の評価見直し」等と共に重要なポイントとして議論されてきたのは、「対人業務の評価の見直し」です。これは「かかりつけ薬剤師」と患者との関係性に係る事柄でもあり、今回は「かかりつけ薬剤師」の業務や“お薬手帳”の活用を巡る「インフォームド・コンセント(説明と同意)」、要するに「対人業務の評価」の主たる改正点を見て行きたいと思います。

さて2017年12月8日に中医協での議論をまとめた「調剤その2」の資料が厚生労働省の資料で公表されました。その中で「かかりつけ薬剤師」(同薬剤師に略)の患者からの同意について言及され、「同薬剤師が積極的に同意・算定を取るようにしている」患者の属性「以前から自薬局に通っている患者」が75.5%と最も多く、「複数の医療機関を受診している患者に対して」(74.1%)が続きます。(図表1)

「特に決めていない」は4.3%と最も低く、「小児とその家族に対して」が12.5%と、「その他」(7.4%)に次ぐ低さであることが分かります。この結果から、同薬剤師は来院する患者へ無制限に「かかりつけ薬剤師指導料」(以後、同指導料に略)の同意や算定を求めているわけではなく、主に慢性疾患を抱え頻繁に医療機関を受診、あるいは当該薬局に来院する高齢者や中高年の患者にターゲットを絞り、同意等を求めていることが窺えます。

(図表1)


同指導料の算定要件では、(1)患者が選択した保険薬剤師が患者の同意を得た上で、同意を得た次の来局時以降に算定出来る(2)同意に対しては、当該患者の署名付きの同意書を作成した上で保管し、その旨を薬剤服用歴に記載する(3)手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称及び連絡先を記載する-となっています。(図表2)

同意の必要性は重要であるものの混雑した店舗内で、限られた時間で患者に「説明と同意」を求めるのが簡単ではないことは、容易に想像出来ます。

そして、同指導料の現場での運用に関しては、同意の取得についての複数の疑義解釈が発生する等、複雑化しているとの課題が出てきているのです。

(図表2)


具体的には、同薬剤師が同意取得のためにアンケート用紙を準備し、アンケート調査に署名しただけで同意が得られたことになるのか? 同薬剤師を変更するケースや、変更手続きに関しても、その「説明と同意」を得る方法に関して、薬局現場での運用上の迷いが表面化しているわけです。そうした課題を解決するために次回の報酬改定では、同指導料を算定する薬局に対して、厚生労働省は「同意の必要性を患者及び薬剤師の双方で確認するために、同指導料等に関する基本様式」を明示し、公的な様式に則った同意書に基づいて、制度を運用していくことになりそうです。


“お薬手帳”持参が少ない場合「薬剤服用歴管理指導料」引き下げか

もう一つ、注目したいデータとして、利用する調剤薬局に“お薬手帳”を持参した場合に、「支払額が安くなる」ことを、どの位の割合の患者が認識しているのかと言うと、「知っていた」が約67.5%で、「知らなかった」が31.5%でした(図表3)。

厚生労働省や薬剤師会等は、このことを国民に周知させるために積極的な広報活動を実施してきました。しかし、それを知らない患者が3割以上を占めることに対し、同省が「忸怩たる思い」に陥ったのは間違いないでしょう。現実に、“お薬手帳”を保有する患者は9割以上を占めるのに、そのメリットが十分に理解されていないのです。

(図表3)

一方で、「薬剤服用歴への記録の記載や、同一患者に対して全ての記録が参照出来るよう保存・管理をしている」等の薬局の取り組みを評価する「薬剤服用歴管理指導料」について、算定する薬局の中に“お薬手帳”の持参が少ない薬局も一定程度、存在することが分かりました。服薬アドヒアランス向上のために、同省は「薬剤服用歴」と“お薬手帳”の活用は連動させるべきとの考え方に基づき、調剤報酬の改定では、こうした、患者の“お薬手帳”持参が少ない薬局に対して、一定の基準を設けて、ペナルティ(薬剤服用歴管理指導料の引き下げ)を導入することを考えています。更に、「薬剤服用歴」の記載項目も患者の継続的な薬学的管理で必要な事項、例えば「次回の服薬指導の計画」等を追加する形へと改正されることになりそうです。

*2018年1月24日時点での見解です。
(医療ジャーナリスト:冨井 淑夫)

 

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