2018年度介護報酬の改定の方向を探る
在宅サービスの介護報酬の方向性は?
2018-01-09
在宅サービスの介護報酬の方向性は、いったいどうなるのでしょうか?訪問サービスについては、生活援助に関する人員基準が緩和されるとともに報酬が大幅に引き下げられ、通所サービスについては、通所介護と通所リハビリテーションとの役割が明確に区分されるように加算で調整されます。その背景には、一億総活躍社会構想の実現に向けた取り組みがあると思われます。


一億総活躍社会構想と介護報酬

一億総活躍社会とは、日本人の誰もが、家庭、職場、地域で生きがいをもって充実した生活を送ることができる社会をいいます。その実現に向けて、経済の強化、子育て支援の充実、社会保障の充実を三本の矢として掲げています。第三の矢とされる社会保障の充実では、介護離職者をゼロにする(図1)、多様な介護基盤の整備、介護休業等を利用しやすい職場環境の整備、生涯現役社会の構築を課題として提起しています。

・「介護離職者をゼロにする」ために通所介護でのレスパイト機能が強化され、長時間預かりの報酬区分新設が検討されています。

・「多様な介護基盤整備」の一環で、訪問介護のうち生活援助の提供者の多様化が図られ、それに伴って報酬が削減されます。

・「生涯現役社会の構築」として、通所リハビリテーションの専門性を活かした早期の卒業促進を図るための加算が充実していきます。



訪問介護:生活援助の報酬減額

訪問介護サービスのうち、調理・洗濯・掃除などを主たる内容とする生活援助については、人員基準の緩和と介護報酬の引き下げが検討されています。地域の元気な高齢者、学生、主婦など、人件費の安い人材への切り替えが求められます。

地域住民から介護従事者を確保するため、2015年度に90億円の予算が組まれました。その内容は、「高齢者など地域の住民による生活支援の担い手の養成」「介護未経験者に対する研修支援」など、生活支援業務への地域ボランティア参入の促進、有資格者は身体介護に専念するなど、要支援者が日常生活総合支援事業へ移行するのと同じ流れが、要介護者に対しても要求されていることが伺えます(図2)。



通所介護:レスパイト機能の強化

仕事と介護の両立を図るために通所介護に求められるのは、長時間・長期の預かりができる、レスパイト機能の強化です。通所介護の利用時間帯を保育所と同程度に延長し、夜間帯の加算措置を充実させることが検討されています。

そのきっかけは、働き方改革実現会議での白河桃子氏の「デイサービスの預かり時間は保育園より短い」という指摘(図3)です。つまり、通所介護利用後のケアのために家族が早退、退職することを防ごうという政策です。



通所リハビリテーション:専門性の強化

通所介護と通所リハビリテーションの違いを問われて戸惑う方も多いと思います。正解は医師の配置です。その目安には、15年度の改正で新設された「リハビリテーションマネジメント加算(II)」があります。この加算を取るためには、リハビリテーション会議への医師の出席と、利用者および家族に対する医師からの説明が必要です。この加算を届け出ている事業所は全体の38%に過ぎません。医師の多忙などを理由に医師を配置しない事業所が多く、通所介護との違いが曖昧になっているのでしょう。

さらに、卒業加算といわれる社会参加支援加算の届け出を行っている事業所は全体の11%です。この加算は、社会参加への移行状況や、利用者の回転率を算定要件としています。算定しない理由としては、利用者や家族からの継続希望が強いことを挙げる事業所が多いようです。

今後、通所リハビリテーションは、通所介護との役割分担と専門職の配置を促進し、通所介護とは逆に短時間サービスの充実と短期利用での社会復帰を進めることで、効果的・効率的な実施が促され、「生涯現役社会の構築」の一翼を担うことが期待されます。


これからの報酬改定:まとめにかえて

逼迫する国家財政のなかで、基本報酬は削減されます。しかし、加算などで誘導しながら、「お世話型」から「自立支援型」の介護報酬への切り替えや財政的インセンティブの導入を進め、一億総活躍社会実現に向けた課題を解決することが、これからの介護報酬改定の基本的な考え方になっていくでしょう。

(C-MAS 介護事業経営研究会岐阜中支部 各務克郎 介護ビジョン 2017年11月号)

 

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