精神科受診の抵抗感を和らげる地域に開かれた診療所づくり
石束クリニック(東京都世田谷区)
2017-11-30
POINT
(1)専門外来を掲げて、患者の選択を助ける
一般外来のほか、ものわすれ外来、睡眠外来、リエゾン外来を掲げる。自分の症状に合った受診が可能。
(2)ホームページでの細やかな情報発信
院長自ら文章を手がける。院長がどのような人物か、本診療所がどのようなところかが事前に伝わり、患者が来やすくなる。
(3)地域住民を対象にセミナー開催
疾患に対する知識を広め、精神科を受診しやすくする試み。医学用語をできるだけ使わず、わかりやすい説明に努める。


院長のプロフィールが見える情報発信の工夫

石束クリニックは、精神疾患やこころの悩みについて、地域住民が気軽に相談できる「町のこころのかかりつけ医」を目指して2016年8月に開院した。「精神科は受診しにくい」と感じる患者が少なくないなか、地域住民が受診しやすい診療所づくりに尽力している。

そのための工夫の1つが、ものわすれ外来、睡眠外来、リエゾン外来の3つの専門外来の開設だ。専門外来と提示することで、これらの疾患の治療を希望する患者が来院しやすいようにしている。

情報発信にも同様の姿勢が見て取れる。それをよく表しているのが、ホームページにおける石束嘉和院長の文章だ。病院で担当した外来の内容やこれまで務めてきた公職はもとより、研究論文や所属学会、医師になった動機や医療に対する思いなど、人となりが伝わる情報をふんだんに掲載。たとえば、趣味の落語鑑賞について石束院長は以下のように書いている。

「高校時代は落語研究部に所属。大学時代は関東医科学生落語連盟に参加(創設者は現在内科医・プロの落語家として活躍中の立川らく朝師匠)。京都生まれで関西なまりがとれないのでもっぱら上方落語をやっていました。東京で上方落語を演じる桂小南師匠の高座には足しげく通いました。今では自分の下手さ加減に嫌気がさして自分では全くやりません。もっぱら鑑賞するだけです」

石束院長は、「精神科医は『得体の知れない存在』と思われがちなのが、受診のハードルを上げる一因になっていると考えています。私がどのような人間なのか、等身大の私を積極的に発信して、身近に感じてもらえたらと思います」と説明する。このような考えのもと、フェイスブックでは、観た映画の感想などを綴った日記風の記事もアップしている。


無料セミナーを月1回開催精神疾患の知識を平易に伝える

精神科受診に対する抵抗感を和らげるための取り組みの一環として、同院では地域住民を対象に、「街角セミナー・だいだいの知恵の和」と題したセミナーも開催している。セミナーは毎月中旬の土曜日、午後2時から1時間で講師は石束院長が担当する。会場は同院の待合室に設け、参加費は無料だ。毎回10人程度が参加している。

「より多くの人に関心をもってもらうために、テーマ案や企画はアンケート調査をもとに考えているほか、セミナーでは医学用語をなるべく使わないよう心がけています。最も好評だったのは、認知症を解説した回でした」(石束院長)

セミナーの告知は、院内でのポスターの掲示やホームページへの掲載に加え、チラシを近隣のスーパーや院外調剤薬局に置いてもらうほか、地域の町内会長にも配布している。

精神科には、いまだに「受診しづらい」という見方が根強いうえ、精神科で扱っているようなこころの症状を日々目にすることは少ないため、どの段階で受診すればよいのかがわかりにくい。それだけに「町のこころのかかりつけ医」による、患者が受診しやすい環境づくりを推進する同院の取り組みには注目が集まる。開院から約1年、来院者数はもちろん、セミナーへの参加数も増加するなかで、着実に成果が現れてきているという。


●石束クリニック
東京都世田谷区喜多見8-18-12 コーポ真木4階
TEL:03-6411-8739
診療内容:精神科、心療内科

(クリニックばんぶう 2017年9月号)

 

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