特集 緩和ケアの現在(2)
がんとの共生を目指して
2017-10-11
【現場からの緩和ケア】
がんとの共生における緩和ケアの役割とは何か

増える緩和ケア病棟質への担保の不安も

7月に行われた日本ホスピス緩和ケア協会2017年度年次大会では、実際に緩和ケアの現場を担う医療者、さらには患者団体代表によるパネルディスカッションが開かれた。

淀川キリスト教病院緩和医療内科主任部長の池永昌之氏は、緩和ケア病棟について言及。病院において、緩和ケア病棟を所管する部署はどこなのかあいまいになっているとともに、ある意味、診療報酬によって立ち位置が左右されてしまっていると指摘した。

そんな緩和ケア病棟だが、最近では、数自体は増えてきているという。国が進める病床再編の中で、緩和ケア病棟、もしくは地域包括ケア病棟への転棟が経営的判断でなされているというのだ。

池永氏は、「緩和ケア病棟が増える中で、人員の手当てや質の担保が本当に追いついているのかという不安がある」と吐露。協会としても、今後考えなければならない課題だとした。

ケアを行う患者の状況は、抗がん剤の進歩などにより、ぎりぎりまで治療を続け、治療が終了して亡くなるまでは2カ月、3カ月という短いスパンとなってきた。そのため池永氏は、緩和ケア病棟の役割もおのずと変化してきているのではないかと考えている。その一方で長く入院しなければならない患者もおり、在院日数の二方向性が形としてでてきているとも指摘した。

緩和ケア病棟が増える中で、十分に人員配置ができるところ、急性期病院と一緒にあるところ、人員が不足しているところなど、さまざまな形が見えてきている。今後は緩和ケアの情報を公開し、機能分化していくことも必要だろう。

「厚生労働省は診断時からの緩和ケアを大事にしているが、診断時だけが大事なのではなくて、やはり看取り時の緩和ケアも大事」と池永氏は語るが、その一方で、がん対策がそこまで手が回っていないと感じているという。むしろ看取り時の緩和ケアを大事にしなければならないからこそ、早い時期からの緩和ケアが必要となってくると指摘した。


つなげていくことががん共生の看護師の役割

国立がん研究センター東病院で副看護部長を務める関本翌子氏は、緩和ケアのキーワードを「つなぐ」と表現した。

関本氏は、2013年までがん専門病院の看護ケア病棟に勤務。その中で、急性期の緩和ケア病棟から近隣の緩和ケア病棟への転院を可能にしてくれた施設があり、さらにそこから在宅に返すこともできた。それが「つなぐ」だ。

現在一般病棟、外来はもちろん、1日に150人の通院患者がやってくる化学療法の場がある。それらを俯瞰的に見ると、例えば外来の患者をどうつないでいくのか、そのためにソーシャルワーカーに聞いたり、患者の介護者と連携したりとの心配りが必要となる。関本氏は、そのことを「がんへの共生における、私たち看護師の役割なのだと思っている」と述べた。

一方、現在認定看護師を育てているが、緩和ケアのスペシャリストからジェネラリストに育ってほしいと思っているという。つまり遺伝子治療に関すること、放射線治療に関することなどがん化学治療にも強い緩和ケア看護師にならないと、患者の相談に応じられない。また医療者のコミュニケーションスキルの向上が求められる現在、聞いて、感情を受け止めて、意思決定の支援をしていくという姿勢がなければ「多くの患者のサポートはできないだろう」と考えている。

そのための看護師の育成が喫緊の課題だと強調した。

(3)につづく

 

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