[特集] 解説 地域医療連携推進法人(後編)―制度の概要とメリット―
特集 地域医療連携推進法人 (6/16)《厚生政策情報センター》
2017-06-16
地域医療連携推進法人(以下、連携法人)には、病床過剰地域での病床の融通や医薬品・医療機器の共同購入など、いくつかのメリットが設けられている。特集の後編は、連携法人制度の概要や設立のメリットなどについて解説する。
 
 
◆参加法人になれるのは、病院、介護事業所などを開設・管理する非営利法人
 
都道府県知事から連携法人の認定を受けるには、(1)病院、診療所、介護老人保健施設のいずれかを運営する法人が2以上参加、(2)医療を受ける者、関係団体、学識経験者で構成する「地域医療連携推進評議会」の設置を定款で規定、(3)医療連携推進区域を定款で規定、(4)医療機関を開設する参加法人の議決権の合計が介護事業などを行う参加法人の議決権の合計よりも多い、(5)連携法人が行う医療連携推進業務の事業比率が50%超―などの基準を満たすことが求められる。
 
連携法人の参加法人になれるのは、病院などを開設する法人、介護事業などを行う施設や事業所を開設・管理する法人。この場合の法人は、医療法人、社会福祉法人、公益法人、NPO法人、学校法人などの非営利法人に限られる。薬局や見守りなどの生活支援事業者も参加法人になれるが、非営利が原則のため株式会社立の薬局が参加法人になることはできない。企業が従業員とその家族の福利厚生のために設立した株式会社立の病院は参加法人になれるが、その場合は株式会社本体と分離した病院単独の財務諸表を都道府県に提出し、病院と株式会社本体が経理上切り離されていることや、剰余金が医業の範囲内で再投資される仕組みになっていることについて、確認を受ける必要がある。
 
 
◆参加法人は社員として社員総会を運営、個人立病院、診療所も社員に
 
参加法人は連携法人の社員として経営に参画し、連携法人の最高意思決定機関である、社員総会の運営にあたる。これとは別に地域の医師会や歯科医師会、患者団体の代表、自治体の関係者などで構成する「地域医療連携推進評議会」を法人内に設置。評議会は社員総会に意見具申でき、総会はその意見を尊重することが求められる。
法人格を持たない個人立の病院や診療所は参加法人にはなれないが、社員として議決権を持って連携法人の経営に関与することはできる。ただし、この場合は、参加法人も含めた社員の総議決権に占める参加法人の議決権の割合が半数を超えていることが条件になる。
 
都道府県知事の認定を受けるまでには、(1)中心メンバーの集合、(2)定款を作成して役員を選出、(3)一般社団法人の設立・登記、(4)医療連携推進区域や参加法人の役割分担と業務連携、運営方針などを定める「医療連携推進方針」を作成、(5)都道府県知事への認定申請―という一連の手続きが必要で、都道府県・医療審議会の審議を経た後、知事の認定が下りて初めて連携法人としての登記が可能になる。
 
 
◆病床過剰地域での病床の融通、医薬品・医療機器の共同購入などが可能
 
設立に際して煩雑な手続きが求められる連携法人だが、連携法人ならではのメリットも存在する。その1つとして、まずあげられるのは、病床の融通だろう。連携法人は通常は認められない病床過剰地域での参加法人間の病床の融通が例外的に認められる。前回の特集で説明したように、2025年がゴールの地域医療構想の必要病床数から見れば、現在の急性期病床数は過剰、回復期病床数は不足傾向にあり、今後、急性期病床の多くは、回復期病床への転換を迫られることになる。そうした病床を抱える病院にとって、法人経営に大きなダメージを受けることなく病床転換することが可能な連携法人は魅力的な制度と言えるだろう。
医療従事者の融通も認められており、例えば、救急や産科の病床や人員を特定の参加法人に集約してセンター機能を持たせることなどにより、連携法人内における医療資源の適正配分と経営効率化を図ることもできる。医薬品・医療機器等の共同購入が可能なことも同じように経営効率化という点で大きな強みとなるが、その場合、連携法人が担うのは共同購入の調整のみで、購入契約は参加法人が個別に締結することと定められている。
 
 
◆参加法人間の転院は原則、入院期間通算の必要はなし
 
このほか、診療報酬上の取り扱いで留意が必要な点もある。入院基本料やその加算の要件である入院期間を計算する際、転院元と転院先の病院の代表者が同じなど「特別の関係」にある場合は、転院があっても一続きの入院とみなされ、最初の入院日(転院元病院の入院日)を入院初日として入院期間を通算しなければならない。参加法人間の転院の取り扱いが気になるところだが、連携法人のガイドライン通知は、「単に同じ連携法人の参加法人同士というだけでは“特別の関係”には該当しない」との解釈を示しており、入院期間の通算対象にはならない。ただし、参加法人同士であっても代表者が同じ場合は、特別の関係として入院期間を通算することになるので、注意が必要になる。 

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