特集 ここからはじまるエンドオブライフ・ケア 超高齢少子化多死時代における“つながり”(上)
エンドオブライフ・ケア協会設立2周年シンポジウム
2017-06-12
4月22日、東京・虎の門でエンドオブライフ・ケア協会設立2周年シンポジウムが開催された。従来機能していたコミュニティは高齢化などにより、つながりが希薄化し、孤立する人が増えていく。超高齢少子化多死時代を迎えようとする現在、エンドオブライフにおける「人のつながり」がテーマとなった。


【講演1】
社会環境が変動する中で急性期病院とどう付き合うか
みその生活支援クリニック院長 小野沢 滋 氏(エンドオブライフ・ケア協会理事)

みその生活支援クリニック院長の小野沢滋氏は、まず自らが勤務していた病院のある市町村の、年齢別人口当たりで受診回数を割った数を紹介した。例えばゼロ歳児は急性期病院を年に100回受診する。これは歳を経るごとに減っていくが、女性の場合では9~10歳が一番受診をしない年齢となる。男性は20歳前後が受診をしない年齢だが、「一般的に、女性は結構大病院にかかる」(小野沢氏)。

120年前も、死亡率の高い年齢はゼロ歳児だった。若年層の死亡率、さらには若い女性の死亡率も高かった。女性の場合は出産に伴うリスクで命を落としていたが、現在ではほとんど死ぬようなことはない。つまり急性期病院というのは、若い世代の安全を担保する社会的資源であり、大きな役割を果たしてきた。

その上で小野沢氏は、「若い女性は病院にかかるが、高齢の女性は病院にかかることはない」と指摘。それは、「自動車免許がなく、病院に行かれないことが原因ではないのか」と推測する。例えば85歳の女性は、8割が配偶者を失っている。逆に85歳の男性は、7割に配偶者がいる。配偶者を失った妻は、外出がしづらいというわけだ。

ここで小野沢氏は、ある急性期病院に入院する診療科ベスト10を示した。それによると、1位は眼科で、その要因は白内障だ。この病院の平均在院日数は10日。だが実際に病棟で入院患者に、「あなたはこの病院で1カ月以上入院しているか」と聞くと、約4割が該当したという。つまり、眼科・白内障というのは経済効果が高い上、回転率が速いため平均在院日数を圧縮させているというのだ。ここからは急性期病院の真の姿は見えてこない。また小野沢氏によれば、在院日数30日以上患者が病床当たりに占める割合が一番高い診療科は、51.7%の救急科だった。つまり2人に1人が30日以上の入院患者となる。この3次救急は原則全ての患者を受け入れる、「社会の最後の砦」だ。小野沢氏は、「救急医療で入院しても、できるだけ早く退院をする算段を立てることが必要だろう」と述べた。

今後急性期病院はどうなるのか。例えば1,000床の急性期病院に、年間何人が入院できるかというと、36万5,000床で、平均在院日数が10日なら3万6,500人となるが、救急の重症患者の在院日数がもっと長いために、全体を見ていくと1万人がいいところだという。結局、「より重症な人が入院しにくくなっている状況が生まれている」

今後高齢者が増加する一方で、病床数を減らそうとしている。そうすると、われわれの行き先は必然的に在宅を思い浮かべるが、甘くはない。小野沢氏によれば在宅で家族に看取られるのは、東京では5%程度の割合しかない。しかも3%は孤独死で、4日間以上経ってから見つかることになる。

さらに先に言った通りに高齢者の外来受診数は減少するので、2020年代の半ばで外来のピークアウトが始まると見込まれている。それは1,000床を超える大病院でも同じことであり、「今から経営の体質改善を図らなければならないだろう」と訴えた。

(中)につづく

 

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