[DPC] 後発品割合を機能評価係数IIに盛込む提案、一部「二重評価」と反論も
診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会(平成25年度 第6回 8/28)《厚生労働省》
2013-08-28
厚生労働省は8月28日に、診療報酬調査専門組織の「DPC評価分科会」を開催した。この日は「機能評価係数IIの見直し」を中心に議論を行った。

DPC制度では、診断群分類ごとに、入院基本料や検査、投薬、1000点未満の処置などを包括した1日あたり包括点数が設定されている(手術等は出来高で算定する)。この包括点数には、病院の機能や、患者の重症度などが勘案されていないことから、重症患者を多く受入れている病院などに配慮するために『医療機関別係数』が設定されている。

つまり、1日あたり包括点数に、病院ごとの『医療機関別係数』を掛け、さらに在院日数を掛け合わせることで、ある患者の包括部分の請求点数を計算するのである。
この『医療機関別係数』は、【機能評価係数I】+【機能評価係数II】+【基礎係数】+【暫定調整係数】として算出される。

各係数の内容を大雑把に示すと、機能評価係数Iは「診療報酬点数表(出来高点数表)の各種加算などを係数化したもの」、基礎係数と暫定調整係数は「医療機関が実際に投下したコストを評価するもの」と言えよう。

そして機能評価係数IIは、「DPC病院としてあるべき姿に近づいてもらうために設定されたインセンティブ」ということができる。

機能評価係数IIの具体的な中身を見てみると、現在は次の6つの要素で構成されている(p18~p21参照)。
(1)厚労省への適切なデータ提出を評価する【データ提出指数】
(2)平均在院日数短縮への努力を評価する【効率性指数】
(3)複雑・高度な医療提供を行っていることを評価する【複雑性指数】
(4)さまざまな疾患に対応する体制を整えていることを評価する【カバー率指数】
(5)救急患者受入れ実績を評価する【救急医療指数】
(6)地域医療への貢献度合いを評価する【地域医療指数】

これまで分科会では、機能評価係数IIに関する26年度改定での見直しについて、「24年度改定のような大幅な見直しは行わず、細部の調整にとどめる」方向で議論が進められてきた(p10~p17参照)。

この日は、これまでの議論を踏まえて、厚労省当局から「見直し」案が提示された。そこでは、(1)の【データ提出指数】、(2)の【効率性指数】、(6)の【地域医療指数】について見直しを行い、他の指数は現行どおりとしてはどうかとの考え方が示されている(p4~p9参照)。

厚労省提案と、それに関する議論の内容を紹介しよう。

まず(1)の【データ提出指数】について、厚労省当局は(i)副傷病の記載が著しく少ない(ゼロあるいは、ほとんどない)病院は減点する(ii)同じ患者について、性別、生年月日、郵便番号等が異なるデータが一定以上ある場合は減点する(iii)DPCデータ(EFファイルと様式1など(p22~p34参照))間で矛盾がある場合には減点する―ことを提案している(p5~p6参照)。

このうち(i)の副傷病は、診断群分類を決定する重要要素の1つであることから正確な記載が求められるが、「副傷病の記載が著しく少ない」「支払に関係する副傷病名しか記載しない」という病院もあるという。

そのため、適切な記載を促す意味で、記載が著しく少ない病院にはペナルティを課してはどうかとの考え方による見直し案が提示されたものだ。

この点、伏見委員(東京医科歯科大大学院教授)からは「レセプト病名のように、副傷病名を羅列する弊害が出はしないだろうか。重要なのはデータの質である。データの質を高めるためには、『支払に関係ある副傷病名』と『支払に関係のない副傷病名』の比率等を見て、時間をかけて是正していくべきであろう」と、厚労省の示した「ペナルティ方式」に異論を唱えている。

なお、井原委員(支払基金医科専門役)は「DPC病院においては、適切なデータ提出はもはや施設基準といえる。将来的には、データ提出だけではなく、日本の保険診療全般の向上に貢献する【保険診療指数】などに改組し、たとえば国の要請に応じて医師派遣等を行うことまでも評価するという具合に発展させていくべき」との提言を行っている。

(2)の【効率性指数】に関しては、現在の平均在院日数の要素に加えて、『後発医薬品の使用割合』を要素としてはどうかとの提案が行われた。

これまでにあがってこなかったテーマだが、厚労省が「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」(p35~p37参照)を定めたことなどをうけ、今般の提案に至ったものだ。

ロードマップでは、新たな後発品使用割合目標を60%としており、今般の提案では「DPC入院医療にかかる後発品使用割合60%を満点とする」ことが打出された(p6参照)。

この提案には多くの委員が賛意を示したが、三上委員(日医常任理事)は「DPCは包括評価であり、安価な後発品を使用すれば利益率が高くなるというインセンティブ付与の仕組みすでに組込まれている。そこに新たな後発品使用の評価を設定するのは二重評価である」と反対している。

三上委員の意見には、藤森分科会長代理(北大病院地域医療指導医支援センター長)も一定の理解を示し「退院時処方や手術における医薬品使用に限定し、後発品使用割合を指数化するという手法もある」との見解を述べている。

一方、伏見委員は、後発品使用割合を評価すること自体には賛成したものの、「平均在院日数の短縮化とは性質が異なる。【効率性指数】とは別に評価すべきではないか」との考え方を示している。

なお、厚労省保険局医療課の担当者は「100施設程度のDPC病院を抽出し、包括評価対象患者の後発品使用割合を見たところ、包括評価部分については約45%、出来高評価部分(退院時処方や手術など)については約24%となっており、全体では約41%だ。厚労省ロードマップの目標値60%には達しておらず、DPCでも後発品使用促進を図る必要がある」と説明し、今回提案の重要性を強調している。

一方、地域医療に関しては、医療計画における4疾病5事業が、精神科医療と在宅医療を加味した「5疾病5事業および在宅医療」に改組されている(p38~p194参照)。

こうした動き等を受け、厚労省は(3)の【地域医療指数】について、次のような見直し案を提示した(p7~p8参照)。
(i)「5疾病5事業および在宅医療」のうち、急性期入院医療が担う役割に係るもので、客観的な評価が可能なものを評価項目とする
(ii)各疾病・事業について、「体制評価」に加えて「定量評価」を導入する
(iii)I群・II群は3次医療圏単位、III群は2次医療圏単位の評価を基本とする

このうち(i)については、美原委員(脳血管研究所附属美原記念病院院長)や金田委員(社会医療法人緑壮会理事長)らから「DPC病院は急性期医療を担う役割を持っており、在宅医療支援を行うべきだろうか」との疑問が出されている。

また「5事業」のうち精神科医療について、三上委員は「精神科をもつ総合病院では、精神科救急患者を多く受入れており、そこを手厚く評価すべきであろう」と要望している。


さらに「5疾病」のうち心筋梗塞について、工藤委員(結核予防会複十字病院長)は「脳卒中についてはさまざまな評価が行われ、死因順位も肺炎に次ぐ4位に下がった。しかし死因順位第2位の心筋梗塞についは評価が十分とは言えない。【地域医療指数】での評価をすべきであろう」と要望している。

ただし、福岡委員(倉敷中央病院総合診療科主任部長)は「重症度の差などをどう評価すべきかといった課題もあり、現時点で指数化は困難ではないか」との見解を示している。

(ii)の定量評価とは、「医療圏の中で、どれだけの患者をシェアしているか」などを見るもの。患者シェアの高さは「どれだけ患者に支持されているか」を意味し、すなわち「地域への貢献度合い」を評価する指標となる。

この点について池田委員(国際医療福祉大教授)や伏見委員は、「たとえば、がん医療でも、もはや2次医療圏では完結しない。疾病や事業ごとに定量評価を行うことは好ましくないのではないか」と述べ、現状の「全体の患者シェアを評価する」手法を継続すべきとの見解を示している。

なお、機能評価係数IIに関連して厚労省は、「外来EFファイル(外来診療データ)の提出をIII群にも義務付ける(現在はI群、II群のみ)」方針を提示した(p9参照)。

これは、任意提出のIII群でも、9割以上が外来データ提出を行っている実態を踏まえた提案だ。この提案には委員から特段の反対意見は出されていない。

このように機能評価係数IIの見直し案に対して、委員からは賛否両論が出されており、現時点で見直し方向は確定していない。厚労省では、この日の議論を踏まえて見直し案を修正し、次回会合(9月下旬予定)に中間報告書案を提示する構えだ。

この日の分科会では、「平成25年度特別調査(病院指標の作成と公開に関する調査)」も議論になった(p195~p210参照)。

これは、藤森分科会長代理による「DPC病院が、ホームページ等で自院の状況など(病院指標)を患者・市民に分かりやすく提供することを、機能評価係数IIで新たに評価してはどうか」との提案(28年度改定以後の導入を射程)を受けたものだ(p211~p222参照)。

藤森分科会長代理の提案する「ホームページでの病院指標公開」について、機能評価係数IIに落とし込めるかどうか、不利益はないか、現場の医療機関はどう考えているのか、などを調べることになる。
調査内容については、若干の意見(全DPC病院への調査をする前に、あるいは並行してサンプリング調査を行ってはどうかなど)があったものの概ね了承されている。

 

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