第67回 ARNIの血管浮腫はなぜ起こるの?
Tags:GooCo 2024-11-28
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引き続き、副作用機序別分類の具体例をご紹介していきます。
“副作用の起こる発生機序 3つの分類” 薬理作用・薬物過敏症・薬物毒性のどれに分類されるのか?どのような事に活用できるか?具体的に紹介していきます!
今回はアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)の血管浮腫についてご紹介します。
まずは、結論から!
ARNIによる血管浮腫は、【副次的な薬理作用による副作用】です。
作用機序から確認してみましょう。
ARNIであるサクビトリルバルサルタンナトリウム水和物製剤は、ネプリライシン(NEP)阻害作用をもつサクビトリルと、アンジオテンシンⅡタイプ1(AT1)受容体拮抗作用をもつバルサルタンの複合体です。
サクビトリルは体内で活性体に変換され活性体がネプリライシンを阻害します。ネプリライシンはナトリウム利尿ペプチドの作用亢進に寄与し、アルドステロン分泌抑制作用、利尿作用、心肥大抑制作用、抗線維化作用、血管拡張作用などの多面的に働き、心臓刺激因子への作用に加えて、心保護因子との両方に作用します。バルサルタンのAT1受容体拮抗作用は、血管収縮、腎ナトリウム・体液貯留、心筋肥大、及び心血管リモデリング異常に対する抑制作用をもたらします。
また、バルサルタンには別の役割もあります。
ネプリライシンはアンジオテンシンⅡも分解します。ネプリライシンだけを阻害すると、アンジオテンシンⅡの分解が抑制され、レニン・アンジオテンシン(RA)系が亢進し、血圧上昇や血管収縮などを引き起こしてしまいます。AT1受容体拮抗作用をもつバルサルタンを併用することでRA系を抑制することができます。
血管浮腫は、サクビトリルの副次的な薬理作用によって起こります。
ネプリライシンは、ナトリウム利尿ペプチドやアンジオテンシンⅡ以外に、ブラジキニンなどの物質も分解する酵素です。サクビトリルのネプリライシン阻害作用により、ブラジキニンの分解が阻害され、血管浮腫が発現すると考えられます。
【服薬指導/フォローアップのポイント】
☑既往歴の確認を!
血管浮腫の既往がある患者さんには禁忌です。
☑併用薬の確認も忘れずに!
アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)は、併用により相加的にブラジキニンの分解を抑制し、血管浮腫のリスクを増加させる可能性があるため併用禁忌です。
☑さらに注意!!
血管浮腫があらわれるおそれがあるため、ACE阻害薬からの切り替え時には、投与開始の少なくとも36時間前にはACE阻害薬の投与を中止する必要があります。
また、ARNI投与終了後にACE阻害薬を投与する場合も、ARNI最終投与から36時間後まで投与しないこととなっています。
☑事前の説明をしっかりしよう(RMP資材の有効活用を!!)
それほど頻度の高くない副作用ですが、血管浮腫は重大な副作用です。重症化すると呼吸困難等を引き起こし、生命を脅かす可能性があります。
顔や唇、舌、のどの腫れなど、患者さんに分かりやすく自覚症状を伝え早期発見につなげられるようにしましょう!
2024-11-28
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