第56回 抗ヒスタミン薬の痙攣はなぜ起こるの?
Tags:GooCo 2023-11-24
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引き続き、副作用機序別分類の具体例をご紹介していきます。
“副作用の起こる発生機序 3つの分類”薬理作用・薬物過敏症・薬物毒性のどれに分類されるのか?どのような事に活用できるか?具体的に紹介していきます!
今回は抗ヒスタミン薬の痙攣についてご紹介します。
まずは、結論から!抗ヒスタミン薬の痙攣は、【副次的な薬理作用による副作用】です。
抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンH1受容体と競合的に拮抗して、アレルギーの原因であるヒスタミンの作用を抑制することで、抗アレルギー作用を示します。また、マスト細胞(肥満細胞)に存在するヒスタミンH1受容体にも作用することで、ケミカルメディエーターの脱顆粒を抑制することで、抗アレルギー作用を示します。
H1受容体は中枢神経にも存在しています。中枢神経に存在するヒスタミンH1受容体は、痙攣の抑制系に関わっています。抗ヒスタミン薬服用でH1受容体の遮断作用が強く発現する事により、痙攣の抑制系が抑えられなくなり、見かけ上の興奮を起こしてしまう(痙攣を引き起こす閾値を下げる)ことで痙攣が起こりやすくなると考えられています。
【服薬指導/フォローアップのポイント】
抗ヒスタミン薬が処方された場合は、患者さんの既往歴などから痙攣誘発リスクを確認し、処方薬の適正を判断するようにしましょう。
☑てんかん又はその既往歴のある患者に注意
痙攣閾値を低下させるため注意が必要です。
☑小児等への使用に注意
GABA(γ-アミノ酪酸)などによる中枢神経の抑制系が十分に発達していない乳幼児では、ヒスタミン系が神経の抑制系として働いており、抗ヒスタミン薬によりもともと低いけいれん閾値がさらに低くなってしまいます。特にてんかん素因のある小児や脳内の神経細胞の未熟な乳幼児ではけいれん等を誘発するため注意が必要です。
☑熱性けいれんの既往のある小児にも注意
熱性けいれん診療ガイドラインにて「熱性けいれんの既往のある小児に対しては発熱性疾患罹患中における鎮静性抗ヒスタミン剤使用は熱性けいれんの持続時間を長くする可能性があり注意を要する」と記載されています。
☑年齢、基礎疾患、脳内移行性などから処方薬の適正を判断しよう!
抗ヒスタミン薬の中でも、第一世代のH1受容体拮抗薬は脂溶性が高く血液脳関門を通過しやすい(脳内占有率が高い)ため、痙攣誘発のリスクが高いです。ケトチフェンを除く第二世代のH1受容体拮抗薬は、カルボキシル基など親水性官能基が導入された結果、中枢への移行性が低下し痙攣誘発のリスクは低くなっています。
⇒フェキソフェナジンは、脳内占拠率3%未満と抗ヒスタミン薬の中では最も血液脳関門を通過しにくく6ヵ月以上から使用できる薬剤です。
⇒ケトチフェン(脳内占拠率約75%)は、添付文書の禁忌の項にてんかん又はその既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下さ せることがある〕 、使用上の注意の項にも、てんかんを除く痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させることがある〕と記載されています。
【参考資料】
熱性けいれん診療ガイドライン2023
第2部 各論 7注意すべき薬剤
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001426/4/febrile_seizures.pdf
重篤副作用疾患別対応マニュアル 小児の急性脳症
http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm1104007.pdf
2024-11-05
2024-09-25
2024-08-28
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