第33回 フロセミドによる聴覚障害はなぜ起こるの?
Tags:GooCo 2021-10-28
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引き続き、副作用機序別分類の具体例をご紹介していきます。
“副作用の起こる発生機序 3つの分類”薬理作用・薬物過敏症・薬物毒性の分類されるのか?
どのような事に活用できるか?具体的に紹介していきます!
今回は、フロセミドによる聴覚障害についてご紹介します。聴覚障害は「難聴」として、添付文書“重大な副作用”の項にも記載されている副作用です。
まずは、結論から!フロセミドによる聴覚障害は、【副次的な薬理作用による副作用】です。
ループ利尿薬であるフロセミドは、ヘンレループ(ヘンレ係蹄の上行脚)のNa+-K+-2Cl–共輸送体を阻害し、Naの再吸収を阻害します。Naの再吸収が抑制されることにより、尿浸透圧が上昇し水分の再吸収も抑えられる結果、利用作用・降圧作用を示します。
聴覚系末梢である内耳のラセン器の外有毛細胞周囲のコルチリンパは、外リンパと同じようにNaが高濃度で、外有毛細胞の細胞膜には能動輸送が働いており、細胞内の高Kイオン環境を維持していると考えられています。
フロセミドによる聴覚障害は、外有毛細胞の膜能動輸送に関係するATPaseが、フロセミドで傷害され、Naや水が細胞内に流れ込み、細胞が膨隆するためと考えられます。
聴覚障害は、注射で短時間に大量投与した場合に聴覚末梢で高濃度になるため、発症しやすく、静注後10~20分で一過性に発症することが多いとされています。
内服では、消失半減期が0.35時間と短いため、薬剤蓄積による副作用発現の可能性は考えにくいですが、脱水などにより一過性に薬物濃度が上昇し、聴力障害が引き起こされる可能性があります。
フロセミドによる聴覚障害は投与を中止するとほとんどが正常に回復します。しかし、アミノグリコシド系抗生物質やシスプラチンなど聴覚毒性のある薬剤と併用すると、これらの薬剤の濃度を高め、外有毛細胞が壊死し、不可逆的な難聴を引き起こす可能性があるので注意が必要です。(添付文書:併用注意)
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