外来からサービス付き高齢者向け住宅まで持続可能な医療介護体制を整備
クリニック内藤・コンスウェル(兵庫県伊丹市)
2019-01-11
POINT
(1)持続可能な診療体制を整える
先代院長から継承後、患者数が増えても質の高い診療を持続できる体制を目指し、医師を増員。神経内科専門医や皮膚科医も迎え、診療の幅も広げる。

(2)地域と連携しながら地域包括ケアシステムを推進
介護保険制度開始以前から訪問診療をはじめ、開始後も地域ニーズに応え、訪問介護、訪問看護、居宅介護支援事業所、サ高住なども展開。

(3)「患者第一」のため、まず「職員第一」の環境づくりへ
職員が患者のことを第一に考えて働き続けられるように、あえて「職員第一」をモットーに掲げ、勤務体制改善に着手。


診療所継承を機に持続可能な診療体制を構築

医療法人社団温新会は1988年に、先代の内藤正院長がクリニック内藤を開院。翌年から兵庫県伊丹市周辺で在宅看取りを開始し、2000年、介護保険事業拠点「コンスウェル」も開設した。さらに2012年には、サービス付き高齢者向け住宅を開設するなど、地域包括ケアの流れを独自に整備し、地域住民のニーズに応えた診療を行ってきた歴史を持つ。

そして2015年6月、娘婿である川内超矢医師が法人を継承し、理事長に就任。地域に貢献する一方、多忙を極めていた先代院長を見ていた川内理事長は、就任以来、持続可能な診療体制を目指し、環境整備を行ってきた。

「先代院長は、常勤医師1人で外来と在宅医療を行い、年間約40~60人を自宅で看取る超人的な方でした。しかし、1人で24時間・365日地域医療にかかわることは誰しもができるわけではなく、継続的に事業を行うには分担をしていくしかないと考えました。継承直後は、内科医である妻との2人体制でしたが、今年9月には、継承時から非常勤医として支援してくれていた神経内科専門医が常勤医に加わり、3人体制で再出発しました」

継承を機に皮膚科医も非常勤医として加わり、神経難病、皮膚難病の患者を積極的に受け入れられるようになった。在宅での褥瘡処置だけではなく、クラウド型電子カルテで情報を共有し、皮膚画像から診断・治療方針決定を行うなど、診療の幅が広がっている。

また、訪問車専任ドライバーや補助スタッフが同行するようにして、より効率的・迅速な訪問診療を展開。補助スタッフに介護士、看護師、管理栄養士を適宜同行することで、現場で適切な助言・指導ができる環境を整えた。

在宅患者には、神経難病や末期がんの患者も多く、人工呼吸器、在宅酸素、胃ろう、中心静脈カテーテル、麻薬などの管理が必要な患者も多い。輸血療法、胸腔穿刺、腹腔穿刺を患者宅で行うなど、重症度の高い患者も多いため、日々の情報共有が不可欠だ。クラウド型電子カルテや訪問看護記録システムにより、医師を含めた訪問診療スタッフ、訪問看護師・作業療法士、ケアマネジャーなどが随時情報を共有している。

また、法人外事業所との合同カンファレンスも定期的に行っており、地域連携強化のため、伊丹市医師会が採用した、クラウド型患者情報共有システムも導入・活用しているという。


「職員第一」を考慮した人事制度や福利厚生の見直し

診療所以外にも訪問看護、訪問介護、居宅介護支援事業所、障害者自立支援センター、サ高住と、幅広い事業を展開する同法人。全体の職員数は総勢60人を超える。経営者としての経験がないなか、組織の舵取りを任された川内理事長は、経営面でもチーム力を重視した体制づくりを強化した。

「継承直後は、目の前の診療をこなすだけで精一杯。経営面でもやらなければならないことが山積しているのに、1人で抱え込んで何も進みませんでした。そこで、私の考えを理解し、職員とのコミュニケーションを円滑に進められる右腕となる人材が必要だと思い、中学時代からの友人で、他業種で経理経験のあった今の事務長を採用しました」

事務長に各部門とのやり取りを一任し、川内理事長の方針や考えを伝えてもらうほか、特定の人に負担が偏らないように人員配置や採用を見直すなど、ともにチーム力強化に取り組んできた。さらに、看護師長を含めた管理者にも経営参加を求め、診療報酬や介護報酬の誤請求や請求漏れがないかなども改めて見直し、得た報酬はなるべく職員に還元できるよう、賃金体系や評価制度の見直しも進める。

「医療、看護、介護機関の使命は、患者さんや利用者さんを第一に考えること。当法人スタッフは、継承前からすでにそれを実施してくれていました。そんなスタッフが一緒に働いてくれるからこそ、継続的に質の高いサービスを提供できる。そう考え、理事長としては職員第一主義者となり、福利厚生の充実や給与体系の改善進めていこうと思いました」と川内理事長。継承して約3年が経過し、外来患者数や在宅患者数は徐々に増えていることから、「今後も地域連携強化と地域の信頼を得られる診療に尽力したい」と、今後の展望を語る。



●医療法人社団温新会クリニック内藤・コンスウェル
[所在地]兵庫県伊丹市中野西2丁目207号
[TEL]072-777-7700
[診療科]内科、呼吸器内科、消化器内科、アレルギー科、神経内科、血液膠原病内科

(クリニックばんぶう2018年11月号)

 

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