「地域支援体制加算」に注目
「地域包括ケアシステム」における「かかりつけ薬剤師」の貢献度を評価
2018-05-16
「地域医療に貢献する」薬剤師の実績値を明示

2年前の2016年度改定での「かかりつけ薬剤師指導料」(出来高・70点)、「かかりつけ薬剤師包括管理料」(包括・270点)〔以下、同指導料・管理料に略〕新設により、「かかりつけ薬局」の普及や、各地域における「かかりつけ薬剤師」の活躍が促されたのは、薬局関係者の方々にとっては、言うまでもないことでしょう。

2018年度報酬改定でも、「かかりつけ薬剤師」の「同意の取得」様式の整備や、当該薬局の勤務経験が「半年以上」から「1年以上」に見直される等、「かかりつけ薬剤師」の質を更に補強するような改正が実施されました。更に前出の同指導料・管理料を算定する薬局に対しては、通常「週に32時間以上勤務」が必要だったのが、「育児・介護休業法」に定める例外規定により、「週24時間以上かつ週4日以上勤務」でも常勤として扱われる等、「かかりつけ薬剤師」の労働環境にも配慮した内容となっています。

厚生労働省は将来的に「かかりつけ薬局」を全国で約2万件に集約させ、地域包括ケアシステムの日常生活圏域に1件ずつの割合で整備することを目指しているようです。その点では、「かかりつけ薬局」推進は、調剤薬局の総量規制という側面もあると考えられます。

さて、今回の調剤報酬改定では、「かかりつけ薬剤師」が各地域で本来の役割を発揮し、地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局を評価する報酬が誕生しました。「基準調剤加算」廃止に伴って新設された「地域支援体制加算」(35点)で、「かかりつけ薬剤師」に関連した新機軸の目玉と言えるものです(図表1)。「かかりつけ薬局」が「地域医療に貢献する体制」について明確な「実績値」を明示したという意味では、画期的な新設項目と言えるでしょう。

(図表1)


施設基準に初めて明記されたプレアボイドへの取り組み

「地域支援体制加算」の施設基準では一部、従来の「基準調剤加算」の内容と重複はしてはいますが、大きく異なる点は前述の詳細な実績値が示されたこと。「調剤基本料1」算定以外の薬局が対象になり、「1年間・常勤薬剤師1人当たり」(1)「夜間・休日等の対応実績400回」(2)「麻薬指導管理加算の実績10回」(3)「重複投薬・相互作用等防止加算等の実績40回」(4)「かかりつけ薬剤師指導料等の実績40回」等、8項目の調剤報酬に係る実績が具体的に明示されており、届出には、これら全てをクリアしなければなりません(図表2)。

(図表2)

一方、調剤基本料では最高位ランクの同1算定薬局に対しては、(1)麻薬小売業者の免許を受けていること(2)在宅患者薬剤管理の実績を有している(3)かかりつけ指導料等に係る届出を行っていること‐の3つの基準を満たしていれば「地域支援体制加算」の算定は可能になります。厚生労働省は要件のハードルが高い同1算定薬局に対し「一定の質を担保している」とみなしているのだと思います。付け加えると、3段階に再編された「調剤基本料」も今後の改定では、同1だけに適用される加算の拡充等、「薬局の質」に応じた重点評価が、更に推し進められると予想します。

「地域支援体制加算」の要件として、更に着目したいのは(6)「在宅に係る情報提供」、(11)「集中率85%超の薬局は後発品の調剤割合50%以上」という従来の「基準調剤加算」にはなかった厳格な施設基準が設定されていること。特に(10)「医療安全に資する取り組み実績の報告」は今回、調剤報酬の施設基準に初めてプレアボイド(副作用、相互作用、治療効果不十分等を回避・軽減実績)が織りこまれたという点で高く評価出来るものです。

「かかりつけ薬局」である以上は、安全管理に最善の努力をすべきとのメッセージとして受け取ることが出来ます。

廃止された基準調剤加算でも開局時間や備蓄品目、在宅の業務実績等についての実績要件が導入されていましたが、「地域支援体制加算」は更にバージョン・アップされた「薬局の質」に係る指標が示されているようにも感じます。
しかし、報酬的には従来の「基準調剤加算」(32点)よりも3点高く設定されているだけですから、ハードルが高い割には、地域医療に貢献出来る「かかりつけ薬局」に相応しい評価か否かは疑問です。今改定は全体的に調剤薬局へ“向かい風”だったことは否定出来ませんが、重要な新設項目であるだけに、より高い点数設定が行なわれるべきではなかったか。厚生労働省には苦言を呈しておきます。

(医療ジャーナリスト:冨井 淑夫)

 

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