訪問・通所リハビリを通じて高齢者の継続的ケアを行う
きくち整形外科(東京都調布市)
2018-03-16
POINT
(1)デイケアで継続的なリハビリを実現
診療報酬の算定制限があるため、経営上、150日を超える患者への医療保険での運動器リハは困難だが、介護保険のリハビリを併設し継続性を確保している。

(2)アウトカムの“見える化”で意欲を高める
ICカードで利用者のリハビリのデータと活動量の変化などのアウトカムはすべて“見える化”しており、これがリハビリへの意欲の向上につながっている。

(3)働きがいのある環境づくりで優秀な人材を集める
多様なリハビリを学べることは専門職にとって魅力的な環境。菊地院長は現場とコミュニケーションを深めながら、働きやすい職場づくりにも取り組んでいる。


リハビリ難民の受け皿として通所リハビリを開設

医療法人社団晃啓会きくち整形外科は2006年の開業以来、都心のベッドタウンである東京都調布市の住宅街で地域密着型の整形外科として地域医療を支えてきた。現在は、菊地淑人院長の専門である手外科領域のほか、リウマチやリハビリなど、1日約230人の外来患者を診ており、整形外科領域におけるかかりつけ医として、地域から高い支持を受けている。

高度成長期にベッドタウンとして発展してきた地域のため、高齢患者も多い。このニーズを受けて、同院では2007年にPTを採用し運動器リハビリを開始。毎年1~2人ずつPTを増やしながら体制を強化し、10年からは訪問リハビリに着手、さらに16年10月には通所リハビリも開設した。現在は診療所と介護事業所を合わせて、医師1人、事務6人、看護師6人、PT7人、OT3人、リハビリ助手7人、放射線技師1人、柔道整復師1人、介護職4人、ドライバー3人の総勢39人体制となっている。

訪問および通所リハビリに乗り出した目的は、運動器リハビリの継続性の確保と、高齢患者のADLやQOLの向上だ。現在の制度上、運動器リハビリは診療報酬の算定上限が150日で、介護保険対象者に医療保険でのリハビリを続けると“持ち出し”となる可能性が高く、経営上継続させるのが困難だ。もちろん、介護事業者との連携という方法もあるが、菊地院長は「当院として継続的にかかわりたいというのが、主治医としての心情です。また、当院周辺には通所リハビリが少なかったため、患者さんの利便性も考えて自ら乗り出すことにしました」と説明する。

通所リハビリは当初、3~4時間・10人定員で、午前と午後の2クールで開始。約6カ月で10人の定員は埋まったため、人員体制を強化し定員を20人に増やしたものの、利用者は右肩上がりで増えている。現在は契約待ちの人もおり、来春にはPTを採用し30人定員にまで拡大する予定だ。


状態の“見える化”で利用者の意欲を高める

同院の通所リハビリが短期間でこれだけの実績を出している背景には、長年培ってきた身体機能の改善に効果的なリハビリプログラムの提供と、それを支える専門職、そしてICカードを使ったアウトカムの“見える化”がある。

特筆したいのは“見える化”だ。これは利用者一人ひとりのリハビリの成果を記録したICカードを使って行う。利用者はICカードを専用の機器に挿入すると、リハビリのデータは自動的に蓄積されていき、活動量などを時系列で見ることができる。リハビリを行うことで身体機能が向上することが実感できれば、当然、利用者のモチベーションは上がり、さらに前向きにリハビリに取り組むようになる。また、仮に問題があるような場合、この数字をもとにPTが専門的なアドバイスを送ることも可能。その結果、身体機能は改善し、さらに努力するようになるという好循環を生んでいるのだ。

「リハビリは人が行うものなので、最も重要なのはやはり人材です。優秀な人材を集めるには“働きがい”や“生きがい”を持てる環境づくりが重要。さまざまなリハビリを学べる環境はその1つかもしれません。そのほか、職場環境づくりについては現場スタッフとコミュニケーションを深めながら、一緒に進めている段階です」(菊地院長)


●医療法人社団晃啓会きくち整形外科
東京都調布市深大寺東町2-23-5
深大寺メディカルビル101
TEL:042-440-3200
診療内容:整形外科、リウマチ科、リハビリテーション科、手外科

(クリニックばんぶう 2017年12月号)

 

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