“患者本位”の考え方を更に強化した「かかりつけ薬剤師」の評価
2018年度診療報酬改定
2018-03-12
患者への丁寧な説明・確認と「同意取得」の様式を整備

中医協ではなく内閣府・経済財政諮問会議での「診療報酬・薬価のあり方等」の議論では、数年前から調剤技術料の適正化に向け「患者本位の医薬分業の実現」が謳われ、服用薬等の患者情報の一元管理、在宅訪問服薬指導等が行なえる「かかりつけ薬局」を増やし、門前薬局からの移行を推進。それが患者の薬物療法の安全性・有効性の向上に繋がるだけでなく、医療費の適正化にも繋がるとの考え方が打ち出されていました。

このコンセプトに基づき、2016年度診療報酬改定で「かかりつけ薬剤師・薬局」の診療報酬「かかりつけ薬剤師指導料(70点/出来高)」、「かかりつけ薬剤師包括管理料(270点/包括)」が創設。これが、一つのエポックメーキングになり調剤薬局の多くが門前薬局から脱皮して、「かかりつけ薬局」を目指すようになりました。

2017年2月段階(中医協資料)で前出「かかりつけ薬剤師指導料(以下 同指導料)」及び「かかりつけ薬剤師包括管理料(以下 同包括管理料)」の施設基準を届出している薬局は50.7%と半数を超えており、1年後の現段階では、その割合は更に高くなっていると思われます。同指導料の算定薬局や算定回数は増加傾向で推移しており、2017年3月は約2万件の薬局が算定し、全処方せん枚数7,629万枚の1.28%にも相当しています。但し、1カ月当たりの算定状況(2017年6月)は「1回~9回」が最も多く、34.3%を占めており、「0回」との回答も24.9%と約4分の1にも及んでいました。厚生労働省にとっては、半数を超える(施設基準を満たしている)薬局の算定回数を、いかに増やしていくのかが、今後の課題と考えられます。

前置きが長くなりましたが、2018年度診療報酬改定の「かかりつけ薬剤師」に係る大きな改正ポイントは前述の同指導料・同包括管理料に関して、従来の要件「患者が選択した保険薬剤師が患者の同意を得て、署名付きの同意書を作成した上で保管し、その旨を薬剤服用歴に記載する」等に加えて、「患者の状態等を踏まえた「かかりつけ薬剤師」の必要性や、かかりつけ薬剤師に対する要望等を確認する」ことが新たな要件として追加されることになりました。言うなれば、「かかりつけ薬剤師」の機能や役割に関する「インフォームド・コンセント」(説明と同意)の強化が、義務付けられるようになるのです。

この場合、かかりつけ薬剤師に対するニーズ等も患者から直接、聴き、要望に応えなければなりませんから、かかりつけの患者さんに対して、今以上に丁寧な対応が求められることは言うまでもありません。来局患者への「1分間説明」ではとても足りません。

この他、施設基準で「かかりつけ薬剤師」の当該薬局における在籍期間が従来は「半年以上」だったのが、「1年以上」に見直されました。同指導料・同包括管理料を算定可能な「かかりつけ薬剤師」はその「かかりつけ薬局」に1年以上、勤務した人でないと認められず、薬剤師の離職率が高い薬局さんは「要注意!」です。厚生労働省は、担当する薬剤師が短期間でコロコロ変わるのは、「かかりつけ」として相応しくないとの見方をしているのでしょう。

加えて、これまで患者との同意取得の方法に関して、複数の疑義解釈が出され、複雑化して薬局現場では、その運用に困るケースも散見されました。前述したように当該患者の多様なニーズの確認を求められることもあり、患者の「同意取得の様式」を厚生労働省は新たに整備することになりました。

もう一つの大きな改正ポイントは、グループ全体で月4万件を超える薬局グループに属する保険薬局を対象に特例として、特定の医療機関等の処方せん受付回数・集中率、医療機関との不動産賃貸関係にある薬局の調剤基本料を引下げる等の大型門前薬局に対する評価の適正化が推進されて来ました。(図表1)

ただ2016年度改定でかかりつけ薬剤師に係る報酬評価が導入されたことから、前述の理由で「調剤基本料2・3算定等に留まっている薬局が、かかりつけ薬剤師が一人当たり月100件以上算定(自己負担のない患者は除く)していると同基本料1を算定可能」との特例対象から除外するルールが設けられていました。今改定で、この取り扱いが廃止されることが決定しました。この廃止に関しては、大手門前薬局グループにとって「大打撃」が予想されます。

(図表1)


*2018年1月24日時点での見解です。
(医療ジャーナリスト:冨井 淑夫)

 

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