自立支援介護が拓く未来(下)
介護の原点
2017-12-26
そのうえで、リハビリテーションにおいても機能回復のみならず、「ADL向上」「IADL向上」「役割の創出」など、心身機能・活動・参加に対してアプローチが求められると指摘している(図表2)。


一方の指標に関しては、「要介護度改善」というものが挙げられている。わかりやすい指標ではあるが、要介護度の高い利用者を抱える特養などでは「原則として中重度要介護者を受け入れる特別養護老人ホームにとって、利用者の要介護度が重くなることは自然の摂理」(公益社団法人全国老人福祉施設協議会による厚生労働大臣宛意見書より一部抜粋)といった声も挙がっている。介護報酬におけるインセンティブにおいても、「要介護度改善」だけを指標にしない、という点では参加者らの意見は一致している。


「自立支援」の指標は一つに限定されない?

厚労省では7月から8月にかけて「自立に資する介護に関する調査研究事業」を老人保健健康増進等事業の一つとして行った。これは「科学的に自立支援等の効果が裏付けられた介護の実現を目指し、平成30年度の介護報酬改定においても、自立支援に向けたインセンティブについて検討する」ために行われるものとされており、自立支援等に関する科学論文等のエビデンスの情報収集が図られている。

同事業では排便自立への支援、常食化への支援、胃ろうから経口摂取への支援、車いすから歩行への支援、在宅復帰への支援、認知症症状改善への支援、要介護度改善への支援、処方薬減薬への支援、アセスメントシートの活用などが自立支援例として挙げられており、介入方法や比較対照、得られるアウトカムなどを記載させている。エビデンスレベルはI~VIに分けて報告するようにしている(図表3)。

これらのエビデンスから、次期介護報酬改定における自立支援に取り組む事業者へのインセンティブの指標がつくられるものと考えられる。

自立支援介護への流れは、今や待ったなしの状態だ。厚労省以外でもそうした動きは進んでおり、たとえば経済産業省は「高齢者の自立支援等に資するロボット開発機器の開発・標準化を促進」することを目的に、ロボット介護機器開発・標準化事業を新たに11億円概算要求している。重点分野として挙げられている介護機器としては、以下のものが挙げられている。

・移乗介助(装着・非装着)
・移動支援(屋外・屋内)
・排泄支援
・認知症の方の見守り(施設・在宅)
・入浴支援

また、埼玉県や東京都品川区など、自立支援に取り組む事業者に対し、独自にインセンティブを与えているところもすでにある。

オリジナルの指標を提示している事業者もあれば、模索しているところもある。「要介護度改善」だけではなく、「生きがい創出」「社会参画への後押し」など多様な視点から取り組む各自業者の取り組みから、自事業所で取り入れられるヒントを得ていただきたい。

(ケアビジョン 2017年10月)

 

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