自立支援介護が拓く未来(上)
介護の原点
2017-12-25
おむつを替えるだけなら誰でもできる。これに終始している限り、介護職は専門職とは見なされないとすら言われている。自立性を取り戻す自立支援介護を実施することで、介護職の専門性はより必要と認識されるだろう。2018年度の介護報酬改定では要介護度が改善すれば、報酬が上がる新たな仕組みもできる見込みだ。


自立支援の実施で介護報酬増額か

介護保険法の第一章第一条では、介護保険の目的を「(介護を要する人が)尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため」と述べている。2016年11月に開催された内閣府の未来投資会議で自立支援介護が議論の俎上に上げられたことからにわかに注目されているが、自立支援介護自体は介護保険開始当初からめざされるものであることを、今一度確認したい。

現在議論されている2018年度介護報酬改定では、利用者の自立支援に取り組む介護事業者に対し、介護報酬上で評価をするという方向性が示されている。現行の介護報酬では、要介護度が重いほど診療報酬が高くなり、要介護度が軽くなると診療報酬は減額される仕組みとなっている。利用者の自立度を高める取り組みを行うほど、報酬は減額されるため、事業者側のモチベーションが上がりにくいといわれているのが背景にある。

「ケアやリハビリをした結果、利用者の状態が改善する」と、事業者には適切なケアを提供できたという満足感がもたらされる。しかし、得られる報酬は低下するというねじれた状態も存在し、そこに対しては長らく議論されてきた。「自立支援に対しインセンティブを与える」という提案については、関係者からすれば納得いくことではあるだろう。

利用者の自立度を改善することは、社会保障費の減額にもつながる。要介護度改善に取り組む事業者に対しては介護報酬の上乗せがなされるほか、積極的に自立支援介護に取り組まない事業者には報酬を引き下げる仕組みも検討されるなど、自立支援介護は大きな分かれ道にきている。


何が自立支援でどうそれを計るのか

とはいえ、「自立支援をすると介護報酬が上がる」ことに対する議論のポイントとして、「何をもって自立支援となるのか」「自立支援の指標とは何か?」ということにある。すなわち、「何をやることが自立支援なのか」「自立と判断するにはどうすればいいのか」ということだ。

そもそも自立支援には「要介護度の改善」「要介護度の悪化の防止」「介護予防」といったさまざまな意味合いが含まれている。厚生労働省は「自立」の概念に関しては、どこに着目するかによって、捉え方が異なっているため、世界保健機関の国際生活機能分類(ICF)で生活機能と障害を「心身機能・身体構造」と「活動・参加」に分類している点を例示している(図表1)。

(下)につづく

 

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