地域と自然につながる「自宅の離れ」としての特養をめざす
社会福祉法人小田原福祉会 地域密着型特別養護老人ホーム「潤生園 みんなの家 南足柄」(神奈川県南足柄市)
2017-11-08
金太郎伝説が残る南足柄市に、今年6月に地域密着型特別養護老人ホームが初めて誕生した。手がけたのは、隣の小田原市で40年にわたり高齢者事業を行ってきた社会福祉法人小田原福祉会だ。これまでのノウハウを活かすとともに、地域とのつながりを重視した建物づくりに、注目が集まっている。


40年ぶりの特養新設地域の人も好反応

神奈川県小田原市で40年にわたり「いつまでも住みなれたまちで暮らし続けたい」という願いをサポートしてきた社会福祉法人小田原福祉会(理事長:時田純)。今年6月に隣接する南足柄市に地域密着型特別養護老人ホーム「潤生園 みんなの家 南足柄」を開設した。「当法人では特養の開設は40年ぶり、ユニット型の特養も初めてです。これまで地域での暮らしを支えることを重視し、施設をつくってこなかっただけに、大きな挑戦となりました」と、同法人の時田佳代子常務理事は説明する。

新設にあたっては、地域住民向けの入所説明会を開催。ここには施設に入ることに対する地域住民のハードルを下げる狙いもあったという。「地域交流カフェや足湯などを設置し、地域の方が気軽に立ち寄れる場所にしたいという思いを伝えました。早速、地元の老人会の方からスペースを借りたいという話をいただきました」と、同ホームの我妻秀明事務長は地域住民からの反響を語る。

同ホームは29室・3ユニットで構成されている。ユニット名は一丁目、二丁目、三丁目とし、元の住所が近い入居者同士を同じユニットに集めるようにしている。ここには、同じ生活圏にいたことが入居者間の親近感の醸成になるとともに、「『施設』ではなく、『自宅の離れ』という感覚で入居してもらいたい」という同法人の思いがある。


地域の人が常にいる新しい特養の形を模索

同ホームができたことで、雇用の創出にもつながったと、我妻事務長は指摘する。職員募集の応募者の多くは地元の主婦層で、介護の資格をもっていない人も少なくなかった。「職住接近していることで、働きやすいと感じて応募されたのではないかと思います。なかには、一度帰宅して子どもの保育園の送迎や夕食づくりをしてから、戻って勤務を再開する職員もいるなど、柔軟な働き方が可能になっています」。そう話す我妻事務長自身も、同法人の別の事業所から異動したことで、通勤時間が4分の1に短縮されたという。「新たな拠点ができたことで、職員の働き方にも変化が生まれました。今後は、この拠点で介護職員初任者研修の講座を設けるなど、介護人材の育成も行っていきます」(時田常務理事)

併設する小規模多機能型居宅介護サービスでの在宅現場のサポートも行っている同ホームにとって、キーとなるのは地域との連携だ。たとえば、「ホームはまちの一部である」と地域の人に意識してもらえるように、地域の人が宿直員として勤務するといったアイデアを、自治会を通じて検討してもらっている。また、入居者の家族は自由に出入りできるようにもしており、地域の目が途切れない施設づくりに力が注がれている。「地元の方が常に当ホーム内にいることで、入居者の方も安心されます。何よりも生活の場ですから、職員と入居者だけで完結するのではなく、地域の人が自然に集えるような空間にしていきたいです」と、我妻事務長は今後の展望を語る。



●社会福祉法人小田原福祉会 地域密着型特別養護老人ホーム「潤生園 みんなの家 南足柄」

[所在地] 神奈川県南足柄市広町530番地
[TEL ] 0465 - 34 - 6001
[ホームページ] http://junseien.jp/

(撮影:関口宏紀)

 

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