地元コミュニティーにマッチした診療体制づくりに尽力
やわらぎクリニック(奈良県生駒郡三郷町)
2017-10-30
POINT
(1)総合診療医によるトータル・ケアを徹底
医療過疎であった地域事情に応えるため、「断らない、何でも診る」をモットーに総合診療医として家族背景まで考慮した心体全体の問題に幅広く対応。

(2)地域コミュニティーにマッチした診療体制
常に地域のニーズに耳を傾け、日曜診療や診療時間の拡大、小児科の開設など、地域密着型の診療体制づくりに取り組む。

(3)住民向け健康教室を定期開催
2カ月に1回院長による健康教室を開催。医師として、人として伝えたいことを話すほか、参加者が知りたいことにわかりやすく答える。


地域に適応し身体全体 家族全体を診る総合診療へ

奈良県生駒郡三郷町にある医療法人やわらぎ会やわらぎクリニックは「断らない。何でも診る」をモットーに、地域密着型のぬくもりのある医療を追求している。特に重視しているのが、総合診療医によるトータル・ケアだ。

北廣美理事長は、「日本の医療は専門分野に特化したまま現在に至ります。しかし、2つの疾患があれば、2つの診療科にかからなければならないといった弊害もあります。今求められるのは、広く身体全体を、そして家族ごと診ることのできる診療だと考えています」と語る。外来だけでわからないことがあれば、時には北理事長自ら患者の自宅に足を運び、実際の生活を見せてもらうこともあるという。

この姿勢は、地域事情に適応してきた同院の変遷にも表れている。1984年に、北理事長の専門である消化器外科の診療所として開業。しかし当時周辺にはほかの医療機関がなく、「何でも診てほしい」という患者のニーズに対応せざるを得ない状況だった。そこで、内科をはじめほかの領域の患者も診るようになり、実際の診察を通じて総合診療医として研さんを積んだ。

地域のニーズに応える形で規模を徐々に拡大し、一時は病床数101床の北病院として運営していたが、2002年より外来機能に特化するため、現在の無床診療所にリニューアルした。

「結果的に、総合診療医にならざるを得なかったとも言えます。ただ、医療とは患者さんに幸せになってもらうこと。単に治療するだけではなく、その人の人生にどれだけつき合っていけるかが肝心です」と北理事長は振り返る。

建物や設備については病院時代のものをそのまま利用。そのためCTをはじめ、エコー検査、内視鏡検査、X線検査、骨密度測定、肺機能検査などの医療機器も充実し、迅速な検査が可能だという。地域ではいまだに“病院”と認識され、実際に当時の病院機能が残っていることもあり、現在も外来患者数は月当たり約3,500人にも上る。


地域ニーズにコミットした診療所体制を常に考える

地域のニーズに適応した診療所づくりは現在も継続しており、その一つとして、在宅医療がある。北和也副院長は、「超高齢者を、病気か病気ではないかという視点でとらえすぎると、結果的に患者さんにとってよくないことがあります。それぞれの患者さんの価値観に合わせた対応を試行錯誤する倫理観-という視点が必要なのです」と語る。このほか、法人内に介護老人保健施設やグループホームなども整備。「地域で最期まで看る」ことにこだわる。

外来についても、平日に受診できない患者のために日曜診療を行っているほか、今年7月から、午前と夕方以降の診療時間の間に2時から4時までの昼診察を設けるなど、診療時間を拡大。さらに、地域住民からの要望で小児科も新設するなど、地域ニーズに応え続けている。

また診療所内の変革だけではなく、地域住民の健康に関する啓発にも力を入れている。2カ月に1回健康教室を開催し、北理事長自ら地域住民へ医師として伝えたいことを話すほか、長めに質問時間を設け、参加者の知りたいことに真摯に答えるようにしているという。

今後について北副院長は、「より地域ニーズにコミットするため、もっと多職種の勉強会や、地元の集まりに顔を出して、地域のために何ができるかを探り、地元のコミュニティーに合った診療を続けていきたいです」と意欲を見せる。

●医療法人やわらぎ会やわらぎクリニック
奈良県生駒郡三郷町立野南2-8-12
TEL:0745-31-6611
診療内容:内科、胃腸科、肛門科、外科、整形外科、小児科、放射線科(CT読影)、リハビリテーション科、在宅医療、総合診療科(院内標榜)

(クリニックばんぶう2017年8月号)

 

twitter

facebook

ページトップへ戻る