[特集] 病院団体・会長就任インタビュー(2)日本病院会・相澤孝夫会長
特集 病院団体・会長就任インタビュー(2)(8/22)《厚生政策情報センター》
2017-08-22
 日本病院会の相澤孝夫会長はこのほど、会長就任を受けて編集部の取材に応じ、病院が今後、到来する少子高齢・人口減少社会を乗り切るには、「今まで通りのやり方で上手くいくわけがない」と思い切った改革の必要性を強調。病院関係者の意識改革を促すとともに、地域密着型の病院を中心に地域における病院間の機能分化と連携を推進することを提唱した。
 
団塊の世代が75歳以上になる2025年を見据え、社会保障制度全般の見直しに向けた議論が進められているが、相澤会長はこれまでの自戒の念も込めて、「物事が政府のペースで進んでいるのは違うなと思うが、医療界の側もミクロのところでは反対したり、意見を言ったりしているものの、そもそも医療界はどうしていくべきなのか、何をどう変えるのかという点は、病院団体をはじめとして明確ではないと思う」と分析。「病院団体が自分たちの明確なメッセージを、ミッションとビジョンとしてきちんと提言していくことが重要だ」との認識を示した。
 
 
◆「地域密着型病院」と「広域型病院」を軸に医療提供体制を再編
 
病院経営の方向性については、今後見込まれる64歳以下人口の減少に伴う入院患者数の減少や、医療の高度・細分化の進展で、「自院で手術をし、術後の管理もして、家に帰ってからも具合を診に行く、“赤ひげ的医療”を続けていくことは困難。病院の機能分化と連携は絶対に必要になる」と指摘。ただ、地域医療構想のように病床機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」と細分化する考えには、回復期や慢性期医療中心の病院であっても患者急変時の対応などで急性期の病床が一定数必要であることなどを示し、異議を唱えた。
 
その上で、既存の病院を「地域密着型病院」と「広域型病院」の大きく2つの類型に再編する案を示した。地域密着型病院はいわゆるケアミックス型病院を想定し、急性期を終えた患者や、肺炎や尿路感染症などの比較的軽度の急性期患者の入院医療のほか、在宅復帰支援や地域住民の健康管理、介護予防などに対応。広域型病院は高度医療を担い、広域から患者を受け入れる。相澤会長は、「地域密着型の病院は年に数例しかやっていないような手術は止めて広域型病院にお願いする。広域型病院は在院日数を今よりも短くし、急性期を過ぎたら速やかに地域密着型病院か、地域密着型病院がカバーする地域に患者さんを帰す。そうした役割分担をしていかないと、病院は生き残って行けない」との危機感を表明。「これからは何を捨てるか、止めるかを明確にしなければいけない、『撤退の時代』だ」と、病院関係者に意識改革を求めた。
 
 
◆開業医と連携して地域包括ケアシステムを支えることに期待感
 
高度医療に対応するための設備投資が必要な上、平均在院日数の短縮化によって病床稼働率が低下する、広域型病院は診療報酬上の評価を手厚くする一方、地域密着型病院には日病が養成に向けた準備を進めている「病院総合医」を配置。地域のプライマリケアや在宅医療を支える開業医と協力しながら、地域包括ケアシステムの中で中心的役割を担っていくビジョンを示し、「病院は開業医の先生よりも少しカバーする範囲が広く、入院施設を持つメリットがある。開業医と病院がお互いにできることをし、連携・協働していくことが地域の医療や健康を守っていくことになる」と話した。
 
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