特集 住み慣れた街でいつまでも暮らす(4)
地域包括ケア病棟の役割
2017-08-24
【ディスカッション】
今必要な「介護の科学化」求められる現場でのエビデンス

シンポジウムの最後には、国際医療福祉大学大学院教授の高橋泰氏を座長とし、ディスカッションが行われた。


高橋 住み慣れた街で皆がいつまでも暮らすためには何がポイントとなるのだろうか。

宇都宮 まず本人が帰りたいか、帰りたい街なのかという確認が必要ではないか。地域に帰っても受け皿がある程度整っていなければ、結局病院に戻ることになる。そのためには、病院や施設が地域に入り込んでサポートしていくことが大事だ。

田中 現在強調していることは、自宅の居心地が悪い場合には、自分が慈しまれる場であれば帰る場所が施設であってもいいということだ。慈しまれる場というのは、私たち専門職であっても作っていけると思う。

安藤 自分の考えが行き詰まったら、アンケートを取るようにしている。地域包括ケアの構築も、地域住民のアンケートを取ってニーズを探り、そこからスタッフと意見交換をしている。

また医療・介護など多職種連携も大事だ。八王子市では、介護事業者連絡協議会などが設立され、先ほどの八高連ともコラボレーションをしている。これは非常によく機能していると思う。皆でアクションしていくことが必要なのではないか。

会場 在宅死の中でも、孤独死の場合ときちんと看取りができた場合がある。住み慣れた街をつくるためにも、きちんとデータを取り、本当の意味での在宅の看取りを増やしていくためにはどうしたらいいと考えるか。

安藤 八王子市の中には非常に高齢化の進んでいる団地があり、孤独死の問題がクローズアップされている。そこで地域の見回り隊を作り、訪問するようにしたという。そのようなご近所パワー、住民パワーをうまく活用していくべきだ。

田中 過疎地の強みは情報が集約しやすいということ。横の連携が密にとられているので、孤独死が防げていると思う。孤独死のリスクの高い人は、何らかの介護で介入できるよう会議がもたれている。

宇都宮 孤独死についてだが、定義自体がむずかしいのではないか。というのは、全ての人が家族に看取られたいと思っているのか、1人で死んでいきたいという覚悟を持った人も、これからは出てくるのではないかという指摘があった。データを取るときには、その辺りを気を付けないとミスリードしてしまうのではないか。

高橋 未来投資会議の中で「介護の科学化」と謳われているが、どのようなイメージをもたれているか。

安藤 介護の科学化というのは、さまざまなシチュエーションを分析し、統合させ、パターンにまとめていくことではないか。それにあった介護サービスを提供していくというのは、分かりやすい。

田中 科学や数字、データを見ていくことは非常に大事だと思う。例えば、相談員やソーシャルワーカーの相談の時間を精査していくと新人は時間がかかり、大事なポイントが聞けていないことが分かった。それを出身校、経験年数、年齢などから見ていくとある傾向が出るだろうなと思っている。どのようなアプローチをすれば、マンパワー不足の中で必要な情報をどのくらい聞き取れるのかなどを研究していかなければならない。

高橋 死に方をデータベース化すると看取りに影響するか。

田中 亡くなり方を支援する私たちとしては、亡くなるまでにどう生きたいかという部分をしっかりとつかんでいくことが必要だ。

宇都宮 科学化は2つの視点がある。1つはITなどの利用。もう1つはエビデンスをどう作り、どう活用していくかということだ。現在現場でやっていることが、実際に効果があるのかという精査やデータの蓄積などはできるのではないか。そこの意識改革が必要だ。

(取材 ● 田川丈二郎/医療タイムス No.2311)

 

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