薬歴とは
Tags:電子薬歴 2020-12-04
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薬剤服用歴は、薬剤師がその処方を監査し、患者の状況を評価した結果、医薬品の調整や提供した薬剤情報の内容を記載した記録である。また、次回の調剤や処方提案に向けた効果や副作用を把握するための資料であり、薬剤師が「薬の専門家」たることの証明書でもある。薬剤服用歴の内容の充実は、医薬品の適正使用に直結する、まさに「調剤」の根幹である。
薬剤服用歴を記入する際、患者との会話から得られる情報などをただ単に書き加えていくと、それを利用する際に読解に時間がかかる。また、どこに問題点があるのか明確でなくなってしまい、薬局内のスタッフ間で情報の共有ができず、患者の薬物療法に活用されない記録を残すだけの薬剤服用歴となる。次第に増えてくる情報をいかに整理、記録し、患者の薬物治療に役立てるかが重要である。
薬剤服用歴の管理とは、医薬品を適正に活用するために不可欠な患者個々の薬物治療に関する様々な情報を集約し、薬剤師が一元管理したものである。また、その内容は、患者に対して薬剤師の使命である薬物療法の「安全性」と「有効性」を確保するための重要な情報源となる。このため、薬剤服用歴の管理は服薬指導とともに薬剤師業務の中でも、最も基本的な業務の1つである。
薬剤服用歴の管理の記録簿は、患者の薬物治療にかかわる情報を記録したものであり、「薬剤服用歴管理指導の記録」といわれている。これは、医薬品医療機器等法や薬剤師法で定められているわけではなく、厚生労働省令である「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則)の第8条(調剤の一般的方針)第1項及び第二項に規定されている(表2-6)。
保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則
第8条(調剤の一般的方針)
1 保険薬局において健康保険の調剤に従事する保険薬剤師(以下「保険薬剤師」という)は、保険医等の交付した処方せんに基づいて、患者の療養上妥当適切に調剤並びに薬学的管理及び指導を行わなければならない。
2 保険薬剤師は、調剤を行う場合は、患者の服用状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない。
薬剤師法では調剤の記録として調剤録の記載と保管が義務づけられているが、この調剤録では薬物治療に関する情報を時系列で管理することや、患者情報の一元管理をすることは難しい。そのため薬剤服用歴は調剤録とは別に、患者単位でその患者の特性や、薬物治療にかかわる細かな情報を経時的に管理することで、薬学的管理を行いやすくするために考えられたものである。
この薬剤服用歴の管理の有用性が評価され、保険薬局の調剤報酬のうえでも「薬学管理料」のなかで「薬剤服用管理指導料」として算定できるようになった。その調剤報酬算定要件(厚生労働省保険局医療課長通知)を表2-7に示す。
(1) 患者の基礎情報(氏名、生年月日、性別、被保険者証の記号番号、住所、必要 に応じて緊急連絡先)
(2) 処方及び調剤内容(処方した保険医療機関名、処方医氏名、処方日、処方内容、調剤日、処方内容に関する照会の内容等)
(3) 患者の体質(アレルギー歴、副作用歴等を含む)、薬学的管理に必要な患者の生活像及び後発医薬品の使用に関する患者の意向
(4) 疾患に関する情報(既往歴、合併症及び他科受診において加療中の疾患に関するものを含む。
(5) 併用薬(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品及び健康食品を含む。)等の状況及び服用薬と相互作用が認められる飲食物の摂取状況
(6) 服薬状況(残薬の状況を含む。)
(7) 患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)及び患者又はその家族等からの相談事項の要点
(8) 服薬指導の要点
(9)手帳活用の有無(手帳を活用しなかった場合 はその理由と患者への指導の有無)
(10)今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点
(11)指導した保険薬剤師の氏名
従来、薬剤服用歴の管理は紙の薬剤服用歴、すなわち手書きの薬剤服用歴が使用されてきたが、この薬剤服用歴の管理にコンピュータを活用するシステム(いわゆる、電子薬歴)が普及してきている。薬剤服用歴の管理にコンピュータを使用する場合には、厚生労働省から出ている「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を準用することが必要である(表2-8)。
[基準]
法的に保存義務のある文書等の電子保存の要件として、真正性、見読性及び保存性の確保の3つの基準が示されている。それらの要件に対する対応は運用面と技術面の両方で行う必要がある。
1.真正性の確保
(ア)故意または過失による虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止すること。
(イ)作成の責任の所在を明確にすること。
2.見読性の確保
(ア)情報の内容を必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること。
(イ)情報の内容を必要に応じて直ちに書面に表示できること。
3.保存性の確保
電磁的記録に記録された事項について、保存すべき期間中において復元可能な状態で保存することができる措置を講じていること。
(厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版 平成29年(2017年)5月より抜粋)
薬剤服用歴による管理は、患者個別の最適な薬物療法と安全性を確保するために活用するものである。すなわち、患者の情報を、経時的に管理したうえで簡単に参照でき、その患者の薬物療法における問題点や指導内容などを容易に把握し、常時活用できるようにすることが大切である。
薬剤服用歴は、厚生労働省保険局医療課長通知において、通常「最終の記入の日から起算して3年間保存する」と定められている。
(出典:調剤指針 薬剤服用歴の管理)
SOAP形式とは、薬歴の書き方、指導記録の記録様式の一つ。
S Subjective data(主観的情報)
患者が直接訴える症状、意見、感想など家族の代弁も含まれる。
O Objective data(客観的情報)
先のSに関する客観的情報、医療者の観察した変化、症状、行動、検査値、測定値など。
A Assessment(評価)
その問題の観点から、SとOに記述されたデータの持つ意味を分析して判断し、今後どのような方向にケアを進めるか考察する。
P Plan(計画)
Assessment(評価)において検討された方向で具体的にどのように行うかを記載。
EP Education Plan 情報提供、指導など(教えたこと)
CP Care Plan 疑義照会、調剤方法の変更(してあげたこと)
OP Observational Plan 次の薬剤師にしてほしいこと
2024-07-01
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