在宅と薬局調剤を展開する「くるーず薬局」は、薬剤師と他のスタッフが連携することで、患者さんへの手厚いフォローを行っています。同薬局が導入する電子薬歴「GooCo」は、お薬のカルテとしてはもちろん患者さんとの関係構築に一役かっていると言います。どのように患者主義を実現しているか紹介します。
チームで協力し合い、ていねいな患者さん対応を実現
大阪市住吉区の「くるーず薬局」は2014年7月、薬剤師の芳川 卓司さんが開局しました。開局翌年に法人化し、現在は薬剤師をはじめとする約60名のスタッフが働いています。在宅医療にも力を入れており、毎月600人ほどの患者さんを診ています。がん末期の患者さんから認知症、難病まで対象疾患は多岐にわたります。
「くるーず薬局」は分業体制をとっています。スタッフは、薬剤師、レセプト、セーラー(ドライバー)、クラーク、管理部、在宅と6つのチーム構成から成り各セクションが連携し仕事を進めていきます。
チーム制により薬剤師が専門的な業務に集中でき、それぞれが尊重し合い仕事を進められる環境にすることで、一人ひとりのスタッフがやりがいを感じやすくなります。この取り組みは、在宅医療に対する芳川さんの強い想いから始まったものです。
芳川さん「独立前は調剤薬局に勤務し薬局内だけでなく在宅もやっていました。経験を重ねるうち、もっと在宅のサービスを充実させたいと思うようになっていきました。でも、当時在籍していた薬局では経営的な判断からそうした方向性にはならず、自分が理想とするような在宅ができませんでした。
それで自分で薬局をつくって勝負しようという気持ちが芽生えたんです。診療報酬の点数がつくかどうかという基準だけでなくて、医療人として『人の役に立ちたい』という想いを尊重できるようにするにはどうしたらいいのか。
非効率かもしれないけれど、状況によっては患者さんとの対話が必要なときもあります。ビジネスと医療のホスピタリティの両立を実現するにはどうしたらいいのか。チームでやればできるのではないかと思ったんです」
独立当初は少なかった患者さんが少しずつ増えていき、パートタイムで手伝っていた、芳川さんのパートナーである薬剤師の文恵さんもフルタイムで関わるようになりました。今、「くるーず薬局」は、航海を意味するその名の通り変化を楽しみながら前に進んでいます。
患者さん情報「GooCo」で共有し在宅薬剤師をフォロー
「くるーず薬局」では創業以来、電子薬歴の「GooCo」を使っています。芳川さんは勤務薬剤師時代にも電子薬歴を使っていましたが、訪問先には持ち出せず、紙で出力しなければならないことに不便さを感じていました。その経験から、場所の制約を受けずに薬歴を確認し記入したいと探す中で「GooCo」を知り、導入を決めます。
芳川さん「訪問先でも患者さんの背景や過去の投薬歴などの情報を見て、業務ができるのは在宅薬剤師にとって大きなメリットです。移動中に薬歴の記入ができるのも便利です。また、iPadに対応したシステムというのも魅力のひとつです。他のアプリや便利なツールを使うことができます」
薬剤師や複数のスタッフが協力して、たくさんの患者さんに対応しなければならない中で、「GooCo」は単なる薬歴管理というだけでなく、いわゆる、CRM(顧客管理)ツールのような、患者さんとのコミュニケーション基盤として役立っているとも言います。
芳川さん「在宅は薬局に来てもらうのではなく、患者さんのご自宅や住居などプライベート空間で仕事することになります。初めての訪問など、慣れない場所でどんな患者さんと接するのかわからないというのは、薬剤師にとっても心理的な負担になります。患者さん情報を少しでも記録して残すことでそうした不安を払拭しているんです」
文恵さん「たとえばGooCoは画像を残せるので、患者さんのご自宅の玄関を撮らせてもらって記録することや、もう少し踏み込み、同意を得た上で患者さんのお顔を撮らせてもらうこともあります。GooCoは薬歴管理としてだけでなく患者さん情報を共有するツールとしてとても便利です」
患者さんと円滑にコミュニケーションを取ったり、正しく薬を飲んでもらったりするには、患者さんの背景をしっかり把握して共有することが大切です。「くるーず薬局」では、患者さんのことを知り、医療に生かすサイクルが「GooCo」によって生まれています。
チームとして医療のためにできることを追求
ユーザービリティや機能面で日々進化を続けている「GooCo」ですが、一方で、チームでどう使いこなすか、という点で課題を感じていると文恵さんは話します。
文恵さん「GooCoにはいろいろな機能がありますが、使い方はスタッフによってそれぞれです。形式的に薬歴として記録を残すというのはクリアしていますが、チームとして情報を活用するという点では、記録方法やどの機能を使うのかなど検討し、運用のルールをまとめる必要があると感じています。そういうときに、個々の使い方についてまとまった事例集などがあると便利かもしれませんね」
個々がチームとして力を発揮できる環境のため「くるーず薬局」では、薬局方針や、行動指針なども言語化して共有しています。芳川さんは、地域の方々にとって身近な存在になりたいと考えています。
芳川さん「僕らは、町の薬局として地域の人々の生活に役立つ存在でありたいんです。必ずしも病気でなくてもつながれる、 “お気に入り”の薬局になることを掲げてます」
さらに、患者さんと接する際には“同じ方向を見ること”を大切にしたいと話します。
芳川さん「患者さんと向き合い、寄り添うことはだいたいどんな薬局でもできると思うんですよ。でも、同じ方向を見るというのは難しい。たとえば、痛み止めの効きがいい薬 Aと、マイルドな薬 Bがあったとします。でも、患者さんから『 Aは全然効かなくて。 Bが効くから、 Bの薬の方がいい』と言われたとしたら、医学的に正しい Aをすすめるというだけが答えじゃないな、と。
薬剤師の仕事は、医学的根拠に従って指導するだけでなく、患者さんの気持ちを受け止め、同じ方向を向いてあげることにもあると思うからです。同じ方向を向くことで、患者さんの安心感にもつながります。病院はあくまでも治療するところかもしれませんが、とくに在宅は日常生活の一部であり、そのニーズは医療に限られません。そういった面から気配りできる薬局でありたいんです」
治療だけでなく生活の質を高める上で、薬剤師や薬局は頼りになる存在です。
在宅医療の充実に向け新たな挑戦へ
芳川さん「最近、僕の祖母が亡くなったんですけど、自宅で看取ることができませんでした。そのこともあって、やっぱり、最期に家で過ごせるような環境をつくってあげたいと、そういうことにより挑戦したいという気持ちが強くなっているんです」
厚生労働省や内閣府が実施した調査からも、国民全体の半数が自宅で最期を迎えたいと希望しているのに対して、実際には、そのほとんどが病院で最期を迎えているといった現状が明らかになっています。こうした中で、介護が必要な状態であってもサポートを受けながら、住み慣れた地域で暮らせるように選択肢を増やしていくために在宅医療の充実が求められています。
また、日本全体の高齢化は着実に進行していて、老化にともなって身体の機能が下がると、通院すること自体が難しくなります。そのため、高齢者に病気や健康管理の側面から在宅医療の提供が求められるようになってきています。
「くるーず薬局」も少しでもそうしたニーズに応えようと準備を進めていると言います。
文恵さん「最近は、病院内でなくても医療を提供できるレベルが上がってきています。一般的に、点滴をする場合は、病院で過ごすというイメージがあると思うんですけど、今は、自宅で点滴をして過ごすこともできるようになってきているんです。
しかし、点滴を自宅に供給する環境が整わず、自宅に戻れないという方が多いんです。そこで、『くるーず薬局』では、2020年にクリーンベンチを設置した新しい店舗を立ち上げて、輸液の調剤にも対応できるようにしようとしています」
ここでもまたチームの力が欠かせないと芳川さんは強調します。
芳川さん「どんなにいいことをしていても、継続できなかったら意味がないですよね。ひとりで頑張っていても疲弊してしまって、継続はできないんです。だから、チームで力を合わせてやっていくことが大事です」
高齢化や人口減少が進む地域のコミュニティで薬局や薬剤師はどう貢献していくのか。時代や社会の変化を楽しみ、少しでも貢献するために、「くるーず薬局」のチームでの挑戦は続きます。
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