GooCoユーザーのアクア薬局では、大阪府北摂エリアの在宅訪問サービスに力を入れています。若くしてアクア薬局を立ち上げたのが、同社代表取締役の加藤信幸さんです。GooCo導入の決め手と、アクア薬局はなぜ在宅訪問に力を入れているのかご紹介します。
わずか12坪-雑居ビルの地下で開業
アクア薬局は現在、JR茨木駅の駅前に2店舗を展開しています。創業は2014年。代表取締役の加藤信幸さんは、自らも薬剤師の資格を持っており、27歳のときに薬局を立ち上げました。
加藤さん「独立前はチェーン展開している調剤薬局で、正社員として勤務していました。管理薬剤師を任されていましたが、私の施策によって患者さんが増えても、店舗の利益が従業員や利用される患者さんに還元できないというもどかしさを感じていました。
薬局に患者さんが来てくださるからには、従業員のスキルや薬局のサービスの質を高め、患者さんに喜んでもらえる薬局をつくりたいと思い、起業しました」
一店舗目は茨木駅の目の前にある雑居ビルの地下にオープンしました。同じビル内に旧知の仲だったクリニックがあり、その処方箋を受け付けることから始めたのです。
そのビル地下での開業から現在に至るまで、アクア薬局ではGooCoを利用しています。その導入の決め手はなんだったのでしょうか?
加藤さん 「一店舗目の薬局は 12坪しかなかったため、保管場所の問題で紙薬歴の導入は難しいと感じていました。そこで電子薬歴、とくに省スペースのタブレット型電子薬歴を求めていました。
セミナーへの参加や医薬品卸からの情報収集をしましたが、 iPad対応していたのは当時 GooCoだけでした。また、グッドサイクルシステムはスタートアップ企業のため組織として柔軟性があり、こちらの要望に俊敏に対応いただけると感じたのも大きかったですね」
さらに、グッドサイクルシステムの代表取締役 遠藤とセミナーなどで直接交流し、その企業姿勢に共感できたことも大きかったと加藤さんは付け加えます。
ビルの地下にあった1店舗目は2016年、現在の場所に移転します。前述の旧知のクリニックの移転に合わせるためでした。移転後は地域の基幹店として、漢方薬や生薬の取り扱いにも注力しています。また2018年には、1店舗目があったビルの近くに「アクア薬局 茨木駅前店」を開局しました。
アクア薬局は、3年ほど前から在宅医療にも力を入れています。当初は店舗スペースを考慮してGooCoを導入しましたが、いつでも、どこでも持ち運ぶことができ、患者情報の参照ができるGooCoの機動力は、在宅訪問業務で大いに力を発揮していると言えます。
茨木市で在宅医療の担い手に
アクア薬局が位置する茨木市は、大阪のベッドタウンでもあります。人口は約28万人。子育て世代の流入があるものの、市内北部では高齢化率40%という地域もあります。当然、在宅医療のニーズは高まっています。
一方で、茨木市は市内に中核病院がなく、重症例の場合は半数程度が高槻市や吹田市など隣接自治体の病院に救急搬送されていました。その結果、茨木市内に戻って診療を受けることが難しくなっていたのです。また、末期がんやこれ以上治療しても回復が見込めない患者さんの場合も、慢性期の病院へ転院することが多く、自宅療養を選択することができない状況にありました。
ここ数年でようやく、在宅訪問でがん末期の患者さんにも対応できる加藤さんのような薬剤師や、往診専門の医師など在宅医療の担い手が出てきたことで、徐々に安心して自宅療養をできる環境が整いつつあると言います。
現在、アクア薬局では薬剤師5名が在宅訪問業務を担当しています。ひと月あたり平均100回以上。往診する医師の後をついて、1日10軒回ることもあります。
加藤さん「患者さんは、通院できるうちは薬局に来てくださります。しかし、薬局に来ることができなくなってしまう患者さんも必ずいらっしゃいます。そういった場合は、私たちがご自宅まで伺いケアできればと思っています。
ご本人やご家族が満足して人生の最期を迎えられるように、薬の適正使用はもちろん、健康寿命を延ばすためのアドバイスも日頃から行い、茨木市内でアクア薬局が一番だね、と言ってもらえるようにしたいんです」
従業員に対しても在宅医療や薬物治療に対する専門知識を身に着けてもらえるよう研修への参加を推奨し、費用は会社側で負担しています。
加藤さん「私たちが学習することで、いざ自分が家族の介護する側になったときの準備にもなります。得た知識は自分に返ってきます。日々の業務を通じてというのはもちろん、研修などにも積極的に参加して、学んでもらえればと思っています」
起業して、患者さんや従業員に利益を還元したいという想いは、現実のものとなっています。
在宅医療の連携プレーに欠かせない情報共有
在宅医療に積極的に取り組んでいるアクア薬局。そこで欠かせないツールとなっているのがGooCoです。アクア薬局は茨木市および隣接市全域の在宅訪問をカバーしているため、移動の時間もばかになりません。
そういった移動の間に、iPadで計画書や報告書が書けるのは業務の効率化につながっていると加藤さんは言います。また、在宅医療の薬歴は薬局内と微妙に書き方を変え、工夫をしているそうです。
加藤さん「社内での薬歴は、薬剤師間で情報共有をするという意味合いが強いです。一方、在宅医療の場合は、訪問医師や訪問看護師、ケアマネージャーといった多職種間とのやりとりにも用いられます。
在宅医療に関わっている方々は皆さん多忙なので、ムダがなく必要な情報をきちんと共有していくことが大切です。社内の場合は、多少、情報が溢れていてもいいとしても、在宅医療の場合は読んでもらえないでしょう。ですので、在宅医療の薬歴に関しては、算定要件を満たしながらも簡潔にまとめるように気を付けています」
加藤さんは在宅訪問を行った際に、単に薬の服薬状況だけでなく、患者さんの困り事を聞くことで、ケアマネージャーにケアプランやサービスの連絡なども行っています。また、夜間休日において患者さんからの問い合わせがあったときや、患者さんの退院が急に決まったり、容態が急変したりした場合でも、医師からの緊急訪問要請にも応えられる体制を整えています。
こうした訪問医師や訪問看護師、ケアマネージャーといった多職種との情報共有は、LINEWORKSやMedical Care Stationのチャットでやりとりをしているそうです。今のところ、薬歴や在宅訪問の計画書・報告書はFAXで送っていますが、今後は、そうしたチャットツールから情報の共有ができるような時代がくるのではと期待しています。
加藤さん「紙でのやりとりが算定要件になっているため、致し方ない面もあるのかもしれませんが。電話や FAXから、より簡単な手段へと移りつつありますので、将来的には、薬歴や計画書関連のものも、 FAXではなくインターネット上でやりとりされるようになっていくのかなと思います」
父の看取り経験が仕事の原点
イレギュラーな対応も少なくない在宅訪問業務。なぜ、加藤さんは大変な仕事に取り組むことができるのでしょうか?3年前に亡くした父親の看取りの経験が原体験になっていると加藤さんは考えています。
加藤さん「私の父は大のお酒好き。反面教師と言えるほど病院には行かないたちでした。体の調子が悪いと聞いたときは肝硬変かなのかと思っていたのですが……。
定年まであと数日というところで仕事中に急に倒れて、救急搬送されたんです。私はちょうど学会に参加するため東京に来ていて、母から倒れたことを聞かされました。倒れたのは脳腫瘍が原因。てんかん発作を起こして、意識を消失したということだったのです。間もなく、それが胃がんから転移した腫瘍ということがわかりました。
がんとわかったときには、すでにあちこちに転移していたため、治療も手遅れで、最期をどう過ごすかという話にもなりました。それから、実家には母と父しかおらず、母だけでは介護をしきれないということで、自宅での療養はせず、病院で看取ることになったのです。
自分自身、そういう経験をしたこともあって、ご自宅で療養されている方や、その介護するご家族のことは他人事ではなくて、少しでも役に立てたらと思っています」
アクア薬局では“天寿”-人は皆齢100まで生きることができる-という中国思想に基づき、健康寿命を延ばして、一人ひとりが天寿をまっとうできるように、医薬品の服用だけでなく生活習慣のアドバイスができる薬局づくりを目指しています。
今、加藤さんは忙しい業務のかたわら、MBA(経営学修士)の取得に向けて大学院にも通っています。自分が本当に良いと思ったサービスをより多くの患者さんに届けられるよう、多店舗展開を計画しているからです。
加藤さん「これから組織が大きくなっていったとき、私がぶつかるであろう壁について、少しでも勉強しておきたいと思って……」
「他の薬局ではやってくれないけど、ここでならやってくれる」そんな患者さんにとって心強い存在として、アクア薬局を広めるためのチャレンジが始まっています。
グッドサイクルシステムの「薬局業務の効率化」や「サービスの向上」を図る製品サービス
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