Communication/コミュニケーション

フォトエッセー

[写真と文]星野恒行 (株式会社グッドサイクルシステム開発部長)

 

厳冬期の安達太良山の楽しみ

 古く万葉集にも歌われた安達太良山は、女性的な山体ではあるが、厳冬期には烈風が吹く荒々しい一面がある。

 ゴンドラリフトで登頂する道もあるが、勢至平を経由して、くろがね小屋前から登るルートがお勧め。小屋でひと休みしてから峰ノ辻に登ると、道標に“エビのしっぽ”がびっしりだ。矢筈森の岩稜帯の中を稜線に出れば磐梯山が目に飛び込んでくる。時折吹く突風にあおられながら、大岩を凸形に積み上げたような安達太良山頂に着くと、360度の絶景がひとり占めできる。

 しばらく景色を楽しんだら、凍えきった体をくろがね小屋の温泉で温めたい・・・。


晩秋の那須山麓で、景色と秘湯を楽しむ

 栃木県の那須山麓一帯は、観光客や登山者に人気のスポットだ。登山者のお目当ては、今もなお噴煙を上げる主峰茶臼岳と山岳の秘湯三斗小屋温泉だろう。

 10月下旬ともなると那須連山は晩秋の装いに包まれる。登山口から熊笹と紅葉が織りなす景色を右手に眺めながら峰の茶屋まで登り、そこから下って行けば三斗小屋温泉に着く。すでに紅葉の盛りを過ぎたため登山者は少ない。朝日岳から三本槍岳へ続く稜線にうっすらと夕日が差し込み始める。

 晩秋の山歩きを楽しんだ後、車では行けないランプの温泉宿に泊まれるのは、山屋だけの特権だろう。


雨上がりの尾瀬ケ原を歩く

 唱歌「夏の思い出」であまりも有名な尾瀬ヶ原は、群馬、新潟、福島3県にまたがる大湿原である。水芭蕉の咲く頃になれば大勢のハイカーで湿原の木道は大賑わいだ。

 登山口の鳩待峠から1時間ほど下ると散策基地の山ノ鼻に着く。ビジターセンターもあり、高山植物の宝庫の尾瀬ヶ原を詳しく紹介してくれる。

 雨上がりの午後、尾瀬ヶ原を散策した。上田代を流れる川にかかる橋の上から見る岸一面に咲く水芭蕉が美しい。

 足を留めて眺めていたかったが、次々とハイカーが続くので数枚写真を撮っただけで中田代へ向かうことにした。


奥多摩浅間嶺、春の尾根歩き

 秩父多摩甲斐国立公園内、奥秩父山塊の東端に位置する自然豊かな山域が奥多摩である。古くから人々が自然と共生してきた土地で、昔は交易路として使われていた登山道も多い。奥多摩の南側で東西に延びるこの浅間嶺も奥秩父や甲州への交易路であった。

 武蔵五日市駅からのバスで払沢の滝入口にて下車。緩やかな登山道を経て尾根伝いに数馬まで、日当たりも良くのんびりとした山行が楽しめる。樹木の新緑とフジやヤマブキなどの花が美しい。山頂からは御前山や大岳山が眺められ、桜も多いので春はお花見山行もいいだろう。


北八ヶ岳の天狗岳で雪山登山を楽しむ

 長野県南部に位置する八ヶ岳は、男性的容姿の南八ヶ岳と女性的な山体の北八ヶ岳に分けられる。その北八ヶ岳の盟主といえば西天狗と東天狗の2つのピークを持つ天狗岳だろう。登山口から約3時間で登山者に人気がある黒百合ヒュッテに着く。

 厳冬期でも天候に恵まれれば、この小屋をベースに気持ちいい登山が楽しめる。ヒュッテからは5分も登れば天狗岳を一望できる場所に立てるので、夕刻天狗岳の撮影で上がってみた。そこは烈風の世界。体感温度はマイナス30度。

 厳しい風のため露出していた鼻の頭が、軽い凍傷になってしまうほどだった。


秋の妙義山(みようぎさん)を満喫する

 上毛三山の一つ妙義山は、奇岩の山として知られ、日本三大奇勝に数えられている。 中腹にある中之嶽神社まで車道が整備されており、多くの観光客が訪れる。そこを起点に第1から第4までの大きな石門を巡るコースは人気が高く、ちょっとした岩登りが楽しめる。

 桜の花を前景にした奇岩風景もよいが、紅葉に染まる妙義山は、一層魅力的な被写体となる。

 そんな秋の1日、本格的な縦走コースに行かなくても、岩登りのスリルが楽しめ、点在する奇岩と紅葉の美しさを満喫できる妙義山へ、撮影山行してどうだろう。


小田代ガ原の貴婦人

 奥日光、湯川の西側に広がる周囲約2キロの小田代ガ原。ここに“小田代ガ原の貴婦人”と呼ばれる1本のシラカンバがある。ズミの花咲く頃、朝もやに浮かぶその優雅な姿を撮影しようと、日の出前から多くの写真愛好家たちがやってくる。そして、貴婦人を包む朝もやが消えゆくまでシャッター音が響きわたるのである。

 初夏から夏にかけては、ウマノアシガタ、ホザキシモツケ、ニッコウアザミが花を咲かせて美しい。ハイキングコースも整備されているので、軽い山歩きをしながら貴婦人に逢いに行ってみてはどうだろう。

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