Communication/コミュニケーション

薬剤師力向上特集

薬局・薬剤師の未来を考えよう!薬局・薬剤師の生き残り戦略2014。 1

~キャリアデザイン&薬局経営

山村 真一(やまむら しんいち)

一般社団法人保険薬局経営者連合会 会長
薬剤師。1979年昭和大学薬学部卒業。1980年プライマリーファーマシー開局。2005年バンビーノ薬局を開局。2011年中小の薬局経営者を中心とした一般社団法人保険薬局経営者連合会を設立。2013年薬事政策に関する調査研究や薬事データの収集と解析、薬局経営などに関するコンサルティング業務を行うシンクタンク組織、株式会社薬事政策研究所を設立。時代の求めに応じ、安全で高品質な医療を低コストで提供できるよう業界の窓口となり、国民の利益に貢献する事を目指し、広範な活動をしている。

 調剤医療費の増大、医薬分業に対する批判など、さまざまな課題を抱えるなか、薬局・薬剤師は国や国民の理解を得て、どのように活路を見出していくべきか。一般社団法人保険薬局経営者連合会会長の山村真一先生に、多様な事例を交えながら、これからの薬局・薬剤師の在り方についてお話していただいた。


薬局ならではの価値を“具体的に示す”ことが必要

 今回は「薬局・薬剤師の生き残り戦略2014」というテーマではありますが、毎年戦略が変わるというわけではありません。ただわれわれを取り巻く環境が当初の予想通りに動いているので、本日はこうした動向を例として交えながら、今後の戦略を考えていく時間にしたいと思います。

 

 さて、多くのセミナーなどでも薬局・薬剤師の生き残りの話題になると、最後は在宅がキーワードで終わる事が多いようです。確かにそれも事実ですが、それだけを答えとしてよいのか、在宅の次に何があるのか、在宅以外にも考えるべきことがあるのではないか、ということを薬局の経営者や薬剤師の方々は多かれ少なかれ感じているのではないでしょうか。

 

 実際既に多くの薬局は在宅に力を入れ、活躍を始めています。しかし、それでもバッシングがなくならないのはなぜなのでしょう。そう考えると、現状の働きだけでは足りないのかなというふうに感じます。

 

 ここで何よりも大事なのは、私たちの環境がどのように動いているのかを正確に察知するアンテナを持つことです。2014年8月25日に日本学術会議と日本薬学会が開いたシンポジウムで、厚生労働省医薬食品局総務課医薬情報室の田宮憲一室長は「医療の質向上への貢献を示すエビデンスの構築が必要だ」と述べています。

 

 医薬分業のメリットを普及啓発していないから、バッシングを受けるのだという解釈もありますが、私はそうは思いません。患者がそのメリットを感じることが大事なのです。薬局・薬剤師ならではの業務を訴求するための、〝見える化運動?などもありますが、むしろ今すべきなのは薬局ならではの価値を“具体的に示す”ことだと思っています。

 

虫の目、魚の目、鳥の目 3つの目で業界分析をする

 ショッキングだったのが2014年7月に公開された経済財政白書です。調剤医療費について書かれること自体が驚きなのですが、「調剤医療費の伸び率抑制策」という項目まであります。とはいえ、薬局や薬剤師を責めている論調ではありません。日本経済にとって社会保障費の増大は最も深刻な課題ですし、とりわけ調剤医療費の増加が大きいのは客観的な事実です。それくらい容易ならざる局面を迎えている問題として捉え、メーンプレーヤーであるわれわれが中心となって解決していかなければいけないステージに立っているという強い認識が必要です。

 

 10兆円に迫る医療用医薬品の市場性について、数字を追ってまで見ることは、薬局・薬剤師の現場の意識として弱い部分かもしれません。しかし医薬品を供給し、医療コストをマネジメントしなくてはならない立場として、例えば<プラビックス>や<ブロプレス>など売上上位の薬剤に関しては、特に責任をもってコストダウンしていく戦略もこの先必要でしょう。

 

 では次にそのような戦略をハンドリングする組織運営というものについて目を移してみます。

 

 ローソンは、介護の必要な高齢者を支援するコンビニを、大都市部を中心に3年で30店ほど出店する計画を発表しました。われわれの領域を脅かしているような感も受けますが、会社の方針として地域のお客さまの変化に機敏に対応することを打ち出しており、そのひとつに健康概念があるわけです。これはまっとうな業界分析であり、取り組みであるといえるでしょう。機敏に反応するという点において、ローソンのような企業はトップダウンが利きます。だからこそ、このような方向転換がスピーディーにできるわけです。

 

 これに対して薬局はどうかというと、仮に日本薬剤師会が何か言ったとしても、そこから県薬、さらに支部に下りて、現場に来る頃には切迫感が薄まってしまい、スピードで負けてしまうのは否めません。

 

 こうした業界分析をする際、大事な視点が3つあります。足元に密着して地道に分析する「虫の目」、潮流を逃さない「魚の目」、そして大局を俯瞰する「鳥の目」です。虫の目で見ると、薬剤師は患者一人ひとりを目の前にして個別に一生懸命真摯に対応している、と映るかもしれませんが、それでもバッシングを受けるのは、大事な何かが欠落しているからかもしれない。そういう意味で、魚の目と鳥の目が足りていないのではないかと私は感じています。

twitter

facebook

ページトップへ戻る