Communication/コミュニケーション

薬剤師力向上特集

ハイリスク薬の薬学管理指導のチェックポイント3

~精神神経疾患の患者対応

富永 敦子(とみなが あつこ)

株式会社医療経営研究所研究員
薬剤師。東北大学薬学部卒業後、製薬メーカーの研究員、医薬品卸の管理薬剤師、OTC薬の販売、病院薬剤師、薬局薬剤師と、薬剤師としてのあらゆる業務を経験。2008年から医療経営研究所に勤務し、薬局向けの研修や指導を担当している。日本薬剤師研修センター認定薬剤師、宮城県薬剤師会認定禁煙支援・指導薬剤師、NPO法人ふぁるま・ねっと・みやぎ副理事長、宮城県薬剤師会理事、東北大学薬学部非常勤講師(薬学概論)、NPO法人医療教育研究所薬剤師生涯研修担当講師。


うつ病患者との向き合い方

患者と直接接するという立場上、薬剤師がその職能の範囲内で行えることは決して少なくないはずです。

 

 具体的にいうと、できるだけ早い時期に、「いなくなったら楽かなと思う気持ちがあっても、それは一時的なものだから絶対にダメだよ、約束できる?」というように、患者自身が「分かった」と答えられるような方法で語りかけ、「自殺はしない」という誓約へと仕向けるとよいでしょう。

 

 さらに、人生に関わる重要事項は延期することをすすめ、病状についても、一進一退すること、少しずつよくなっていくと話してきかせます。

 

 さらに治療には薬の服用が重要で、ただし副作用もいろいろ出てくる可能性があり、そのときは薬剤師が必ず相談に乗るということを知らせておくのも大事です。こうした精神的サポートは治療に不可欠です。

 

統合失調症と薬物治療

 次に統合失調症ですが、その定義は図表6にあるような陽性症状と陰性症状が現れる病気です。

 

 

 この病気の治療については、薬物治療+精神療法さらにリハビリテーションが行われますが、医師と連携して段階を踏んでいくのは、うつ病などと同様です。その治療目標のアウトカムは、図表7のとおりです。

 

 ここでも、アドヒアランスの確認は大切で、(1)飲み忘れ(2)自己判断による自己調節(3)継続の必要性の理解といった点は抗うつ薬と同様です。

 

 統合失調症の患者の場合には、加えて、服用に対しての不安、質問はないか、家族の協力の有無や家族の状況なども忘れずに確認してください。

 

 現在、原則として非定型抗精神病薬が第一選択として使われています。非定型薬は、ドーパミンD2回受容体遮断、セロトニン5‐HT2A受容体遮断、セロトニン5‐HT1A受容体刺激、ヒスタミンH1受容体遮断、アセチルコリン受容体遮断、アドレナリンα1受容体遮断という機能を有し、急性期症状において定型薬とほぼ同等の有効性を発揮することが可能である上に、副作用(錐体外路症状や過鎮静など)が少ないことがメリットだからです。

 

統合失調症患者対応の留意点

 薬学管理のほかに、精神科の患者、特に統合失調症患者への対応で注意すべき点をここに挙げておきます。

 

 (1)患者の興奮を誘発するような刺説的言動は避ける→幻覚とか妄想の話を聞いても驚いて過剰反応せずに、冷静に受け止める
(2)安心を与え、友好的な態度を保つ→いつでもあなたの話を聞くという姿勢を示す
(3)休養や服薬の必要性を説明する
(4)本人が自覚できる問題を取り上げて、服薬の必要性を伝える→例えば、眠れないとか身近な問題を引き合いにして、それを解決する手段として薬を利用する方法を説明する
(5)○○すれば大丈夫と声掛けする→患者が安心できるような行動を奨励する
(6)ポジティブな方向への説明を心がける

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