Communication/コミュニケーション

薬剤師力向上特集

調剤報酬改定に伴う、薬剤師・薬局の役割4

~超高齢社会における医療保険制度・社会保障制度の視点から

山本 信夫(やまもと のぶお)

公益社団法人日本薬剤師会会長
1973年東京薬科大学卒業。薬局勤務を経て、1998年日本薬剤師会常務理事、2006年間会副会長に就任。社会保障審議会医療部会委員、中央社会保険医療協議会委員、チーム医療の推進に関する検討会委員などを歴任。2012年公益社団法人東京都薬剤師会会長に就任。2014年6月から現職。


 お金を減らすという目的もあるので、ジェネリック医薬品をさらに促進する。これまでは使用割合の目標値が30%に定められていましたが、2018(平成30)年3月末までに60%にするという、ある意味途方もない数値が設定されています。

 

 一方で、残薬の確認と医薬品の適正使用の推進も挙げられています。2007(平成19)年の調査で少し古いのですが、薬剤師が介入して患者の残薬を整理したところ、1年分にすると500億円ほどの無駄薬を節減できたというデータがあります。この場合の無駄薬というのは、不要な薬という意味ではなく、飲み残されて使われずに捨てられていく薬のことです。単純に薬を減らすだけではなく、のちのちかかる医療費も考慮するのは、薬剤師として大きく貢献できる部分といえます。

 

 ただし患者は、薬をきちんと飲んでいるか、残薬はないかなど本当のことを言いたがらない傾向がありますので、それらにどう対処するかという課題もあります。

 

 それから薬局のマネージメントの確保も重要です。処方箋通りにただ薬を渡すのではなく、パイタルサインを何のために見るのか、適正に薬を飲めばどうなるか、あるいは飲まなければどうなるのかを患者にきちんと伝える。こうしたことを踏まえて、本当に必要な薬だけを調剤していくことに、薬剤師の今後の存在価値が問われています。今回の改定はそういったことをにおわしている印象を受けます。

 

薬剤師の存在価値が認められるために

 今回の改定で薬剤師が具体的に関わってくる部分として、在宅薬剤管理指導業務の一層の推進が挙げられます。具体的には、24時間調剤と在宅業務ができる体制の整備において、基準調剤加算の評価が見直されています。

 

 とはいえ現場としては、24時間体制はそれなりに大変なことだと思います。とりわけ薬局業務は女性の多い職場ですから、そうしたことも考慮しながら整備をしていかなければいけません。さらに在宅医療における無菌製剤処理の推進、チーム医療の整備、お薬手帳を必ずしも必要としない患者には、薬剤服用歴管理指導料の評価を見直すというふうにもなっています。しかしこれは少々ややこしい表現でして、そもそもお薬手帳は、自分の治療記録なので、不必要な人はいないはずなのですが、ここでは誰が「必ずしも必要としない患者」に相当するのか。反面、お薬手帳を日常的に持ち歩いている人が少ないという問題も挙げられます。

 

 2025年に向けて目指すべき薬剤師・薬局の姿は、図表3のようになると思います。「地域医療提供体制と薬局・薬剤師」という全体のなかで、受診をしたり相談に来る患者に対して、医薬品を一元的に管理する仕組みをつくり上げるのが薬局・薬剤師の役割となります。

 

 

 これから先、持っている薬とそれに伴う情報、患者の手元に蓄えられた情報と、さまざまな調剤に関する情報を評価分析していくことで、必要な薬が適切に提供されることにつながるはずです。単に薬を提供するだけではMedicineになりません。

 

 今言ったようなことを、今後の薬局・薬剤師のあるべき姿として目指して地域のなかで機能していければ、これから先も十分に薬剤師としての存在価値を認められ、薬局の機能も高まっていくように思います。

 

※この記事は2014年6月6日に開かれた「第5期 医薬情報聡略研究会」(弊社主催)の内容をもとに構成したものです。

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