Communication/コミュニケーション

薬剤師力向上特集

在宅医が薬剤師に求めること1

~認知症に対する理解と在宅医療のあり方

髙瀬 義昌(たかせ よしまさ)

信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。麻酔科、小児科研修を経て、以来、包括的医療・日本風の家庭医学・家庭療法を模索するなか、民間病院小児部長、民間病院院長などを経験。2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業。現在、認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。

認知症の高齢者数が年々増加し、在宅医療のニーズが高まるなか、薬剤師は医師や患者、介護者などとどのように連携を図っていくべきか。
たかせクリニックの髙瀬義昌先生に在宅医の立場から、認知症に関する正しい知識とアドバイスをいただいた。


認認介護の時代

 

 厚生労働省や大学などによる各種調査をもとに推計すると、わが国の65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症だと思われます。

 

 私のところで在宅医療を受けている患者さんが、あるとき粗相をしてしまい、奥さまと私が汚れたじゅうたんを片付けたことがありました。翌日奥さまから電話があり「先生大変! うちのじゅうたんが盗まれました」と言ってきました。それを聞いて、介護している奥さまにも認知症の疑いがあることに気がつきました。

 

「認認介護」という言葉は私がつくったのですが、これは認知症の介護をしている人も認知症を患っている状態をいいます。

 

家族のサポーターとして

 

 医師やヘルパー、ケアマネージャー、薬剤師の皆さんとチームワークを組んでいいお看取りをすると、まるで素晴らしい音楽を奏でたあとのような爽快感が生まれます。そういったチームワークの妙を味わうのが、在宅医療の究極のゴールなのかなと思います。そのために必要な在宅医療のビジョンは、よくある病気を生活の場で見つけ、患者さん本人あるいはご家族のサポーターになることです。

 

私が在宅医療支援をしている患者さんに、脊髄小脳変性症という足腰が立たなくなる病気と糖尿病、さらにパニック障害を患っている85歳の男性がいました。

 

 あるとき、開業したいという整形外科のドクター仲間とともに男性のご自宅へ伺い、私が男性を診ている間、整形外科のドクターが奥さまと雑談をしていました。そしたら奥さまが「整形外科の先生なら、ちょっと聞いてほしいんだけど」と、ご自身の体調不良について話し始め、5分歩くと足が痛くなって動かなくなると言ったそうです。それで靴下を脱がせてみたら、足が冷たく紫色になっていた。介護のストレスからタバコもかなり吸っているとのことだったので、閉塞動脈硬化症を疑って、専門医に診てもらったら予想どおりでした。

 

 介護をしているご家族の方も病気になる可能性は常にあり、そこをわれわれがうまくサポートすることで在宅医療が継続できるのだということを忘れてはいけません。

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