Communication/コミュニケーション

薬剤師力向上特集

薬剤師のための患者クレーム対応3

~クレーム対応に万全を期して、患者満足度アップを狙うコツ

濱川 博招(はまかわ ひろあき)

人材派遣・教育・研修などを行う株式会社ウィ・キャン代表取締役。関西大学法学部卒業。顧客満足、患者満足及びクレーム対応のスペシャリストとして、全国で高い評価を得ている。その実践的なコンサルティングが医療機関、企業、サービス業などで実績を上げるとともに、講演、研修、執筆マスコミ対応にも精力的に取り組む。医療機関における患者クレーム対応についても、広く全国で講演、研修を行っている。主な著書に『どんな患者さんからもクレームがこない接遇のルール』(エクスナレッジ)『できる看護主任・リーダーのコーチング術』『第一印象が良くなるナースのマナー』(2点とも、ぱる出版)などがある。


患者さんに信用される存在に。
そこからクレーム対応開始

 クレームの要素や原因が分かってきたところで、クレーム対応について解説します。そもそも、クレームは図6のとおり、3種類しかありません。その種類と対応例は、(1)クレームの内容が正当+その要求も正当→「対応」誠心誠意、謝罪する(2)クレームの内容が不当+その要求も不当→「対応」その場で断る、曖昧な返事はしない(3)クレームの内容が正当+要求が不当→「対応」結論が明確ならその場で断る、迷った場合は一旦預かる

 

 例えば、薬が足りないというのは、(1)に当たります。(2)や(3)のケースで、毅然と断ることや金銭にからむ要求に対応するのは、とくに現場の若い薬剤師にはムリかもしれません。だから、上司と相談するために一旦預かるという対応が得策でしょう。

 

 次に、クレーム対応に必要な心構えを挙げておきます(図7)。(1)顧客は不満を持っているということが、唯一の事実(2)自分たちが原因で不満を生じさせたことに対する理解と共感(3)先入観は持たない(4)まずクレームを言ってきた相手の言うことをきちんと聞く(5)議論しないで、その人の不満の原因を探る

 

 クレームの1次対応をするときにはこうしたことを念頭に置き、まず顧客に信頼される存在になることが先決です。そのためには、図8のとおり、たった3つの要素を満たせばいいのです。「服装(身だしなみ)」「立ち居振る舞い」「言葉遣い」の3つです。

 

 これらが適切かつ好ましいものであれば、接遇応対の最初のハードルはクリアできたも同然です。

 

 そのうえで、相手の話を優先して聞き、その間3分から5分は相づちを打つなどしながら黙って聞き役に徹して。

 

 次にこちらが話すときは、相手の話を要約して確認し、すぐに回答、解決できることは、その場で実行。できないときはその旨を伝えます。

 

 回答が不明のときはその旨を伝え、いつ回答できるかを伝えておきます。どんなケースにしても、「大変申し訳ありません」とか、「お急ぎのお気持ちはよく分かります」というような謝罪と共感の気持ちを込めた言葉から始めて対応するとよいでしょう。

 

 ただ、こうした対応は一朝一夕では身につきません。業務改革の一環として、日頃から組織として考え、実際に訓練するなどの対策が必要です。

 

 対策ということでいえば、施策やルールの詳細まで決め込んでおくこと、情報の共有化なども重要ですが、納品書の発行や長期服用患者に対する中間チェックシステムなど、クレーム防止のための仕組みづくりも、当然、考え、実施していかなくてはなりません。

 

 これからの薬剤師さんには、いままでのテクニカルスキルの上に安穏としていた調剤薬局の薬剤師という殻を破り、顧客との良好な人間関係を築けるスタッフとして、意識改革を迫られていることを認識していただきたいと思います。

 

 改革を進めるに当たり、一つには、調剤薬局が依然として院内薬局の延長線上にしかないと世間で思われていることへのカウンタープランも考えるべきです。薬剤師の仕事は“指導”ではなく、“商品説明”と心得て、差別化を図る道を探ること。患者にとって苦痛が多い薬の服用に対して共感の気持ちを持って寄り添うこと。

 

 そして、手強い団塊の世代を含む高齢者が薬局に足を運んでくれる施策を考えること。

 

 こうした改革レベルの内容を一つひとつ進めていくことが、調剤薬局の生き残りを左右することでしょう。つまり、新しい道を歩むことで患者から選ばれる存在になれるかどうかが、その決め手にほかならないのです。

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