Communication/コミュニケーション

薬剤師力向上特集

薬剤師のための患者クレーム対応2

~クレーム対応に万全を期して、患者満足度アップを狙うコツ

濱川 博招(はまかわ ひろあき)

人材派遣・教育・研修などを行う株式会社ウィ・キャン代表取締役。関西大学法学部卒業。顧客満足、患者満足及びクレーム対応のスペシャリストとして、全国で高い評価を得ている。その実践的なコンサルティングが医療機関、企業、サービス業などで実績を上げるとともに、講演、研修、執筆マスコミ対応にも精力的に取り組む。医療機関における患者クレーム対応についても、広く全国で講演、研修を行っている。主な著書に『どんな患者さんからもクレームがこない接遇のルール』(エクスナレッジ)『できる看護主任・リーダーのコーチング術』『第一印象が良くなるナースのマナー』(2点とも、ぱる出版)などがある。


サービスへの期待度が患者満足度に反映される

 ここで簡単に顧客満足度に触れておきます。ある「調剤薬局の患者満足度調査」において、「薬剤師の説明内容にどの程度満足しているか」という設問に10段階で回答してもらったところ、10点の「非常に満足している」という回答が18%でした。9点の12%を加えても30%。

 

 実は、本当の意味で満足しているのはこの30%の人たちだけで、あとはどこの薬局でも同じというのが本音なのです。しかも、この10点(非常に満足)の18%の人たちが全体の7~8割にならないと、その薬局に対するロイヤルティ(信頼)を得たことにはないものなのです。ですから、「やや満足」という回答は、満足していないに等しいと思ってください。

 

 で、この顧客満足度が曲者で、実は同じサービスの提供を受けても、受け手の感じ方によって満足度が異なります。その満足度の鍵を握っているのは、「患者さんが調剤薬局に対してどんな、あるいはどの程度、期待をしているか」ということです。

 

 残念ながら、いまの調剤薬局は院内薬局が外に出ただけのようなところがほとんどで、そういう薬局に対して患者さんが期待することがらは、決して多くありません。「なるべく早く薬を出してほしい」「待ち時間を短くしてほしい」「説明なんか必要ない」くらいではないでしょうか。

 

 とはいえ、なにかあればクレームは発生するわけですよね。しかも、患者さんというのは、いつでも期待したサービス以上のことをさらに期待するので、不満な人にはいつまでたっても不満が残るものなのです。

 

 それでも、例えば立地が悪くても、患者さんにきっちり説明のできるような調剤薬局として矜持のある薬局になろうと考えるのも一つの患者満足度対策といえると思います。その場合、逆に、患者さんにどんな期待を持って来ていただこうかという施策が必要で、そのためには業務フローも変わってくるでしょうし、薬剤師さんの立ち居振る舞いも変化するはずです。そうやって、自分たちも変革しながらサービス提供することが、満足度の高いへとつながる可能性が望めます。

 

4つの欲求と5つの要素。
それを満たすクレーム対策

 次にクレームについてですが、クレームは利用者が期待したサービスが提供されないと感じることで発生します。では、期待したサービスとは何か?

 

 それは図2のような、患者さんの4つの欲求と言い換えることができます。(1)機能・品質欲求=「できて当たり前」「満足できて当然」のサービス内容、医療の場合では治療技術や看護技術、処方技術(2)経済欲求=サービスと対価が見合っているかどうか(3)愛情欲求=自分の気持ちを分かってほしい、理解してほしい(4)尊厳欲求=人として大切にしてほしい

 

 この4つのどれかについて不満がたまり、自分で思っているレベルより下回るとクレームという形をとって発散される、というわけです。

 

 この4つの欲求、すなわち期待するサービスには、その満足度を測る5つの要素(図3)があります。「信頼性」「安心性」「有形性」「共感性」「迅速性」の5つです。これらは患者満足度をアップさせるために、薬剤師さんにはぜひ身につけてほしい内容ばかりです。

 

 以上の<4つの欲求と5つの要素>を関係づけることによって、薬局がすべきクレーム対策が浮かび上がってきます。これをまとめたのが図4で、それぞれのポイントは次のとおりです。(1)信頼性→専門技術と調剤薬局としての責務を果たすこと(2)安心性→分かりやすい説明、親切な対応、インフォームドコンセントを実施すること(3)有形性→ハード(清潔な店舗や器機)の充実と職員の“らしさ”=きちんとした身だしなみ、立ち居振る舞いなどが主張されていること(4)共感性→服薬の面倒さへの理解を示し、それを接遇、応対の際に表す(5)迅速性→不測の事態が発生した際、スピーディな対応能力を発揮する。

 

 こうしたポイントを踏まえ、何かクレームが寄せられた場合、この<4つの欲求と満足度を測る5つの要素の関係>の表(図5)を利用して、何が足りないのか見つける、あるいは対策を講じる一助としてください。

 

 例えば、狭い店内のカウンターというオープンスペースで病状を説明するのはプライバシーがない、というクレームがあるとします。その場合、この患者さんの欲求は何かを考えます。患者が自分たちはプライバシーが守られるのが当然だと思っているなら、機能品質欲求に○がつきます。もしくは、「私のプライバシーをなんだと思っているの!」と怒っているケースなら尊厳欲求に○となります。この表の中で○がついたところの要因や欲求を掘り下げて検討していくことで、クレーム対応の道筋が見えてくるでしょう。

 

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