Communication/コミュニケーション

薬剤師力向上特集

患者ケア力を高めるためのアセスメントとプランニング

早川 達(はやかわ とおる)

北海道薬科大学薬物治療学分野教授。病院の薬剤師として薬剤管理指導に従事後、北海道薬科大学講師、助教授、アリゾナ大学留学を経て、2007年に北海道薬科大学教授に就任。POS薬歴の研究に注力し、多数の本を執筆。日本POS医療学会評議員、日本医療薬学会指導薬剤師。ここ数年は『日経DI Premium』にて「早川教授の薬歴添削教室」を連載している。

 薬剤師にいま最も必要とされている患者ケア力を高めるためのアセスメントとプランニングについて、北海道薬科大学で教授を務める早川達先生にその意義と重要性を解説していただいた。


 患者の治療やケアに薬剤師がアセスメントできる環境が整いつつある一方で、目に見える薬剤師の成果が求められています。昔は病気を治すことが主体だったのに対して、今は治らない病気が多い。つまりケア(Care)とキュア(Cure)を統合させて進めなければいけない状況になってきています。しかし病院も薬局も社会的な縛りがいまだ多く、有効に連携機能できていない現実が一方であります。とはいえ患者にとってケアとキュアの差はなく、自分の状態を改善してくれる人が必要なのであって、そこに薬剤師が実質的にどう関わることができるかが大事なことといえます。そう考えると私たち薬剤師は、処方箋が出たから指導を行うとか、何らかの副作用や有害作用が起こったから丁寧に事後対応するというのでは、やはり不十分です。さまざまな状況にある患者の背景を確認して、どのようなケアを行うべきか構築し、その上で介入を行うという患者に寄り添ったプロセスが重要であり、その際に必要なのがまさにアセスメントなのです。

 

 たとえば医師の場合、医師教育の7、8割を診断について学ぶ時間に割くそうです。細かい病名を覚えることが目的ではなく、診断を学ぶ過程での鑑別診断や、症状、検査値などから20、30の病名がすぐに頭に浮かぶようにトレーニングされているのです。病名を絞り込むためには何の検査をすればよいかという次の段階があり、それらを論理的に行っていくことで最終的にひとつの診断という形になって、治療を行う。これがアセスメントのプロセスです。看護においても、看護計画というアセスメントがあります。そういうところに薬剤師が関わることになったとき、患者のどの情報に着目して、いつどのように判断すべきかという基準が不足しているように思われます。この部分を強化することが、ほかの職種と一緒に働いていく上で非常に大切ですし、そういう流れは薬学教育にもできつつあります。

 

 患者ケア力を高めるポイントとしては、処方や薬物使用そのものを監査することが大切です。そして患者の病態や生活も把握して、包括的にアセスメントをする。さらに一般的なガイドラインに照らし合わせて、どのような処方がベストなのかを考えるとともに、今後どんなことを注意してモニタリングし、どんな指導をしていく必要があるのかを考える。そういったことを認識して、薬剤師に必要なコンピテンシーを磨いていただければと思っています。

 

(※この記事は、2013年5月18日に開かれた「第3回 薬剤師力向上セミナー」(弊社主催)の内容を要約したものです。)

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