Communication/コミュニケーション

薬剤師力向上特集

自ら考え、行動し、力を蓄えることで、生き残りの活路が拓ける 3

山村 真一(やまむら しんいち)

一般社団法人保険薬局経営者連合会会長。薬剤師。1979年、昭和大学薬学部卒業。1980年、プライマリーファーマシー開局。2005年、バンビーノ薬局を開局。安全で高品質な医療を低コストで提供できるようにという理念のもと、2011年、中小の薬局経営者を中心とした、一般社団法人保険薬局経営者連合会を設立。現在はその会長としてさまざまな活動に従事している。このほか、日本アプライド・セラピューティクス学会監事、日本ジェネリック医薬品学会評議員、日本薬剤師会薬局薬剤師部会幹事なども務めている。


お薬のライフガード 薬剤師が担う新しい役割

 皆さんは昨年『調剤指針』が改訂されているのをご存じですね。いままでは適正に薬を渡すということまでしか書かれていなかったのですが、今回の改訂で、その後の経過観察や結果を確認するということが加えられていて、薬を出したあとの確認をするところまでが調剤である、という考え方が示されたわけです。

 

 実は、ここがとても大事なポイントで、私たちの活路につながるのではないかと思っています。国民を有害事象から守り、薬を出したあともちゃんと見守っています、というアピールをすることが大事ではないのかと考えています。つまり、私たちにとって、疑義照会以外の新しい武器になるのではないでしょうか。

 

 言い換えると、私たち薬剤師は「お薬のライフガード」ということですね。海やプールのライフガードは事故がないか常に監視を怠らず、もし事故が発生したら迅速かつ適切な対応で救助する。お薬のライフガードも、市民の皆さんを静かに見守り、健康被害がないかどうかチェックし、問題があればできる範囲で対処します。これを基本に、今後は、市民の皆さんのお薬ライフガードとして機能する薬剤師という切り口でわかりやすく広報していくことを計画しています。

 

 薬剤師の仕事というのは、いままでの戦略を見直した結果、有害事象から患者さまを守る必要不可欠な社会インフラといえるのです。その点をアピールしていくことで、薬剤師、薬局の活路が拓けると確信を持っています。そのために必要なのが、有害事象察知能力、情報収集能力、フィジカルアセスメント力。加えて情報提供力も欠かせません。こうして必要な力を蓄えていけば、国民の皆さまからインフラとしての存在を認められる日も近いでしょう。

 

 具体的なインフラ機能の一つとして、薬経連では、有害事象報告アプリを開発しました。その名も「プレーリードッグ」。非常に臆病で、危機に敏感なプレーリードッグという動物からつけた名前です。薬剤師が接した患者さんからの有害事象報告をスマホなどを使ってあげていくという仕組みで、現在は、iPhoneのみですが、ゆくゆくはアンドロイドやパソコンにも展開していく予定です。

 

 健康被害から国民を守ること。実はこれこそが医薬分業の本質になるのではないかと考えています。私たちは直接患者さまに薬を渡す重要な立場にあって、いわば薬物治療の最終ゲートキーパー(門番)であります。だから、当然、その責任を負います。ところが、OTCのような薬を患者さまが買うような場合、それはあくまで自己責任なのです。そこで、私たち薬剤師がそのサポートをかって出るという方法が浮上します。むしろ、薬剤師のサポートを得て薬を手に入れることがどんな薬でも服用の安心につながるはずです。その点も今後のアピールポイントとなるでしょう。

 

 私たちの具体的な行動の積み重ねにより、医薬分業の本質を示したいと考えました。そこで、私たちは意見書提出という形で行動に出ました。医療分野が経済成長に寄与できる側面を明確に示したのです。一つは、元気に働ける国民を増やすこと。もう一つは、医薬品や医療機器を国外に輸出することで外貨獲得に資すること。この二点を明らかにしました。OTCのインターネット販売を解禁してもせいぜい6500億円産業。しかも横ばいビジネスで経済に貢献する見込みが低いという理由から、それを重視する意味はないと判断しました。しかも、インターネット販売による高リスクを危惧するなら、OTCは医科向けに戻したらどうかというのが、私たちの主張です。

 

 今後も、幅広い視野からの提案を重ねて、議論を誘発し、問題を正しい方向に導くというのも私たちの仕事だと自負しています。そのために新しいシンクタンクの設立やフォーラム活動なども計画しています。国民にとって、さらに国にとって必要な提案を続けていきます。皆さんも、こうした私たちの活動を興味を持って見守っていただくとともに、まだまだマンパワーが足りないので、ぜひご協力をお願いしたいと思います。

 

(※この記事は、2013年7月13日に開かれた「第5回 薬剤師力向上セミナー」(弊社主催)の内容をもとに構成したものです。)

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