地域医療連携システムへの応用 電子お薬手帳の可能性はここにあると思っています
2015-01-01
2015-01-01
iPadが使えるスマート薬歴GooCo(グーコ)。そしてGooCoと連携した電子お薬手帳pharumo(ファルモ)。今回は神奈川県横浜市の「アイ調剤薬局」を訪ね、電子お薬手帳のこれからの可能性を探る現場ルポをお届けします。
神奈川県横浜市金沢区の住宅街にある「アイ調剤薬局」。入ってまず目を引くのが待合ロビー右手にある緑と赤のカラフルなボックス型投薬カウンターです。
「当薬局は処方箋応需枚数月平均約1600枚のうち、5割以上が精神神経科です。プライバシーに配慮し、投薬カウンターをボックス型にしました」と説明する薬局長の成井繁先生。ボックス内の会話を外から聞き取りづらくするサウンドマスキング装置も設置されています。
薬歴は、昨年7月からGooCoで管理・運用しています。導入のきっかけについて、成井先生は次のように説明してくれました。
「昨年4月から『基準調剤加算2』の算定ができるようになったのですが、申請した際、ヒアリング項目をもっと充実させるよう厚生局から指摘がありました。項目数を増やして細かく記載するには紙薬歴の手書きでは限界だろうと思い、電子薬歴へ切り替えることにしました。ただ、PCモニターが患者との間に立ちふさがるスタイルは回避したかったので、必然的にGooCoにたどり着きました。ヒアリング項目を充実させるなど、カスタマイズしています」
導入メリットについて成井先生は「ヒアリングのとき、iPadなので入力が楽なこと、入力内容をすぐサマリに転記でき、過去の薬歴も簡単に参照できる点は電子薬歴ならではの利点ですね」と評価。
一方、日々の服薬指導に当たっては、紙のお薬手帳の持参率が低いのがずっと悩みの種だったとか。
「そんな折、目にとまったのが電子お薬手帳pharumoでした。40代以下ですとほとんどの方がスマートフォンを持っていますし、アプリを入れればすぐ使える点は魅力。GooCoの薬歴から自動的にpharumoお薬の情報が入るし、メッセージも送受信できますから、数あるお薬手帳の中でも、利便性は抜群です。今年4月、さっそく導入しました。iOSに加え9月にAndroid版がリリースされてからは20代30代のユーザーが一気に増え、現在ユーザー数は37人。患者さんの評判はかなりいいと感じています」と成井先生。
服薬している薬について調べられる機能もあるため、セルフメディケーションの面からも有効だといいます。また、アドヒアランス向上のため、イラストなどを多用した服薬指導コンテンツを自作し、GooCoに登載してpharumoでも閲覧できるようにしています。
成井先生は、初めての患者にはpharumoで「どんなことでもいいですから聞いてくださいね」といった内容のメッセージを必ず送り、コミュニケーションを深めるきっかけにしているとのこと。
電子お薬手帳の可能性について、成井先生はどうお考えでしょうか。
「地域医療連携システムへの応用ですね。電子お薬手帳の可能性はここにあると思っています。pharumoがあれば、救急時も安心、入院しても安心、地域に戻って在宅でも安心、といえるようなみんなで利用できる情報インフラになるような電子薬歴のカルテシステムの構築を考えています。実は金沢区の高齢化率は今年1月発表の数値を見ても24.9%と高く、在宅を含めた地域医療の充実は待ったなしの課題です。pharumoを提供するグッドサイクルシステムが神奈川マイカルテの認証事業者になったこともあり、行政や関係団体、大学などを巻き込みやすくなったと思います」と成井先生。
電子お薬手帳は、アドヒアランス向上ツールにとどまらず、地域におけるこれからの医療連携を担う情報基盤になっていくことが期待されているといえそうです。
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