骨粗鬆症治療剤「アクトネル」アドヒアランス向上のための活動が奏効した
2014-01-01
2014-01-01
2013年2月、月1回投与製剤が発売された骨粗鬆症治療剤「アクトネル」。そのアドヒアランス向上のためにエーザイ株式会社が作った「アクトネルお知らせカード」を薬局の協力を得て配布したところ、飲み忘れ防止に奏効しました。製薬会社と薬局がタッグを組むことで、さらなる効果が期待できそうです。この活動に関わったエーザイ株式会社の鈴木良則氏にお話を伺いました。
推定患者数が1,280万人もいるといわれている骨粗鬆症。しかし、そのうちの推定200~250万人にしか治療薬が行き届いていないという報告があります。この1,000万もの差を埋めるためにも、また治療薬アドヒアランス向上のためにも、骨粗鬆症治療の課題解決に製薬会社と薬局が一緒になって取り組んでいく必要があるでしょう。
その対策の1つは、疾患啓発を行っていくこと。具体的には骨密度測定検査の普及があげられます。そもそも骨粗鬆症は自覚症状のない病気で、骨折してはじめて気がつくケースがほとんどです。しかも、骨密度測定機器を備えた医療機関が限定されるためか、対象となる閉経後の(おもに50代~70代の高齢)女性たちが確定診断を受ける機会が少ないうえに、一度骨折すると、その部位によっては寝たきりになってしまう可能性が高いというのが問題点です。そこで弊社でも、オムロンコーリン社の協力を得て骨密度が測定できる市民公開講座を各地で開催するなど、骨粗鬆症治療の重要性とその薬剤の啓発活動に努めております。
そしてもう1つの対策が、治療薬のアドヒアランス向上です。最近では、多種類の錠剤のほかに、注射剤が揃ったことで、医師や患者さまが有効な治療薬を選べる可能性がぐっと増えてきたといえます。
その中で、弊社では「アクトネル」というビスフォスフォネート系薬剤を、2002年に1日1回服用型、2007年に週1回型、本年2月に月1回型を発売。どれも安全性や有効性といった製剤的特徴は同じで、錠剤は小さなフィルムコーティング錠の服用しやすいものです。「アクトネル」はまだ種類の少ない月1回型を発売したことでビスフォスフォネート系薬剤では初めて3つの剤型を揃えることができました。安価であることからも、飲みやすさの点でも、今後のマーケットシェアとアドヒアランス双方の向上が期待されるところです。
ただし、「アクトネル」を含むビスフォスフォネート系薬剤には服用方法が煩雑という側面もあります。起床後すぐに水で服用し、その後30分間は横になること、水以外の飲食を避けることなど、実生活において難点があるためか、月1タイプでも1年間で50%の服用者が脱落しているという報告もあります。また、胃腸障害などの副作用も患者さまが医師や薬剤師を通じて知らされておくべきでしょう。とはいえ、服用し忘れたり、自己判断でやめてしまえば、骨密度は下がり、骨折の可能性が高まります。
そこで、弊社では薬を飲み続けるためのサポートツールの1つとして、薬を飲む日にアラームが鳴る「アクトネルお知らせカード」を作成。グッドサイクルシステムの協力によって薬局に配布した結果、カードの有用性が証明され、薬局・薬剤師を巻き込んだ積極的な対策が奏功する実例となりました。
今後も、薬局・薬剤師の皆さまが、潜在する患者さまを発見する最初の砦として骨粗鬆症について解説をする、骨密度測定をすすめるなど、アドヒアランス向上のための活動といった前線での役割を期待するとともに、私ども製薬会社も一緒に何ができるか追求していきたいと考えております。
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