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コラム

心を動かす薬局広報~脳科学で薬局広報は変わる

2014-01-01

「広報」とは聞き慣れた言葉だが、医療の枠組みにおいて広報はどのような意味を持ち、今後どういった広報活動が求められてくるのか。大分岡病院で広報・マーケティング部顧問を務める山田隆司先生から、医療現場における広報のあり方についてお話ししていただいた。

いま水面下で大きなうねりが起きています。皆さまの勇気で、それを変えていただきたいというムードも出てきているようです。今日の私の話を聞いて、何かを感じ、できたら何か行動に移していただきたいと思います。

「広報」とは聞き慣れた言葉だが、医療の枠組みにおいて広報はどのような意味を持ち、今後どういった広報活動が求められてくるのか。大分岡病院で広報・マーケティング部顧問を務める山田隆司先生から、医療現場における広報のあり方についてお話ししていただいた。

広告と広報の違いがわからないという話は、病院などでもよく耳にします。これらの大きな違いは何かというと、お金を払って情報を伝えるのが広告で、ほとんどお金を払わずに情報を伝える活動が広報と考えていいと思います。広報はすぐに効果が現れるものではありません。出会ったばかりの男女が、いきなり恋愛関係にはなりませんよね。信頼関係が築かれないと、恋愛には発展しにくい。薬局も同様で、いかにお客さんに信頼されて、惚れてもらうかが大事なのであって、そのための手段が広報なのだと思っています。

広報は患者さんとの接点すべてに発生する

私自身はもともと広報マンではなく、医療マーケティングをやっております。その関係で病院の立ち上げや経営などにも関わってきましたが、病院には広告費用というものがほとんどないので、広報としてできることをあれこれ模索してきました。なので今回は、病院マーケティングのケースが主になりますが、薬局、薬剤師さんにも応用していただける内容であると思っています。

お仕事上、広報をやったことのある方はいらっしゃいますか?
改めて聞かれるとなかなか難しいかもしれませんが、実を言うとお客さんと接点を持つところには全て広報が発生しています。広報誌を作ったり、イベントを企画したりするのももちろん広報ですが、チーム医療という言葉が象徴しているように、病院であれば病院全体が広報といえるのです。最近は薬局なんかに行きますと、素敵なところがたくさんありますよね。そういう意味では、建物自体も広報といえます。そして、皆さんの仕事の成果を伝えるのもやはり広報です。だから広報とは何か改まって考えなくても、皆さんは日常的に広報をしているのです。

一方で、素敵な広報誌をたくさん作って配布したとしても、薬剤師の態度が悪ければ広報の形は崩れてしまいます。全てが広報なのだと考えると、接客のしかたや患者さんへの伝え方も変わってくるはずです。たとえば、言葉で伝えるだけではなく、より信頼を得るために紙で伝えようという発想から、新しい媒体が生まれます。さらに進むと、先生を呼んで健康講座を開催してみようということにもなるかもしれません。調剤室から一歩出れば、さまざまな形で広報活動ができるのです。

皆さんはプロフェッショナルとしてたくさんの知識を持っているわけですから、それらを一般の方々に伝えないともったいない。薬剤師がイニシアチブを取ってさまざまなことを教えていくべきなのです。

僕が調剤薬局に行くといつも思うのは、病院よりも“待たせ方が下手だ”ということです。待たせるということは、コミュニケーションを取る非常に大きなチャンスといえます。患者さんは暇だから薬局に来ているわけではありません。忙しいなか病院に行って、検査や診察で待たされて、病院を出て調剤薬局でさらに待たされている。その時間を有効に使わない手はありません。

ラーメン屋さんの場合は、少々遠くてもおいしかったら食べに行きたいと思うけれども、遠くの調剤薬局に足を運ぶようなことはなかなかありませんよね。だけど行く楽しみができたら、違うかもしれない。一方で病院の場合は、先生を信頼してついていく方はいらっしゃいますけれども、薬剤師が変わったから薬局も変えるという話はあまり聞かない。このことはつまり、薬剤師はドクターよりも患者さんとコミュケーションを取っていないというふうにも考えられるのではないでしょうか。とはいえ薬局は、どんな些細なことでも何かあったときはそこへ行けばいいと思えるような馴染みの場所に、病院よりもなりやすいような気がします。薬局がそんなふうになれたら最大の広報といえますよね。

そもそも広報というのは、コミュニケーションによって説明をして、必要性を作り出すことが大きな役割といえます。隣に人がいても声をかけなければ、何も起こらないように、こちらから働きかけなければコミュニケーションは発生しません。日本に千人の看護師をリクルートしている人がいます。その人はどこにいっても、出会った人に「あなたの知り合いに看護師さんはいませんか?」と声をかけるそうです。そして「いる」と答えた場合は、「今度、看護師さんも含めてご飯にでも行きましょう」とお誘いをしておく。そうやって自分から働きかけることで、変化が生まれるのです。

今日セミナーに出席している皆さんは、何かしら思うところがあっていらっしゃったのでしょう。しかし私の話を聞いただけでは、何も起こりません。自分自身でチラシ1枚作ってみるなど行動を起こすことから、はじめて何かが動き始めるのです。一般的にイベントには、撒いたチラシの3%くらいしか人が集まらないといわれています。撒きに撒いて、ようやくある程度の効果が生まれるものなのです。ですから、自ら「必要性を作り出す」ことがとても大切なのです。

心を動かすマーケティングとは

私が広報・マーケティング顧問を務めている大分岡病院は、大分市の鶴崎というところにありまして、病院の広報誌では鶴崎町内のお店を長い間紹介し続けています。なぜかというと患者さんや家族の方が、かねてから病院の近所にお店やお昼を食べるところがないと言っておりまして、町の飲食店を取材して紹介しようということになったのです。そしたらそれを読んだテレビ局から電話がかかってきて、ローカル番組で鶴崎の町を取り上げることになった。

他にも毎年夏休みに、子どもたちを25人ほど募集して、病院探検隊と称してさまざまな体験をしてもらっています。たとえば電気メスで鶏肉を切ってそれを縫い合わせてみたり、高学年になると心臓マッサージの仕方を学んだりもします。皆さんも医療に携わっているわけですが、もしも薬局の中で心筋梗塞で倒れた人がいたら、適切な処置ができますか? もしできなかったら恥ずかしいですよね。薬剤師も医療のプロフェッショナルなわけですから、一般の方より蘇生の知識があって当然です。私はよく銀行の店舗で心臓マッサージのトレーニングを行っていますが、薬局から呼ばれたことは一度もない。私ども薬局では、心臓マッサージのトレーニングをしていますとPRすれば、それだけで見方が変わりますよ。そしてもしものときに患者さんを蘇生させたら、これはニュースになりますよ。

結局のところ、自分たちで種をまかない限り、何も生えてきませんし、まいたものしか刈り取ることはできないのです。しかし種をまけば何かしら反応が返ってきます。

心を動かすということは、プラスにしろマイナスにしろフラストレーションの結果です。患者さんが薬局で待たされている状態は、マイナスのフラストレーションといえます。そのとき「今日はお待たせして申し訳ございません。混んでいますが、ひとつずつ丁寧に調剤していますので、お待ちください」と声がけをしたり、待っている間に広報誌を読んでもらったりすれば、フラストレーションを緩和させることができます。人はフラストレーションがあることによって、その行動を記憶します。いい記憶は頭に残りますが、悪い記憶は体の反応として残って、足が向かなくなってしまいます。

記憶に残るような仕組みを作るために

皆さんは、物事の“いい悪い”をどこで考えていると思いますか? 最近の大手広告代理店などは、品物を見せたり、ラッピングを見せたりしたときの脳波を測定して、マーケティングを行うそうです。いい悪いという判断は、感情による部分が多くを占めているのです。

薬剤師としては、患者さんに対して論理的な説明が必要だと思うかもしれません。しかし受け取る側は、論理的なことばかり言われても感動することはできません。冷蔵庫や炊飯器などの家電を選ぶとき、最終的には機能よりも、色やデザインで決めませんか?
病院だっていいか悪いかは、実際にかかってみないと分からない。でも汚い病院ときれいな病院だったら、きれいな病院に行きたいと思いますよね。イメージキャラクターが広報に非常に役に立つのも同じ理由で、キャラクターのあるほうが親しみやすく、記憶しやすいからです。大分岡病院でも、「オカピ」という動物をイメージキャラクターにしており、多くの人に認識していただいています。広報は感情に訴えていかに記憶させるか、ということが大事なのです。このことは普段からみなさんも、生活のさまざまな場面で経験されているはずなので、その経験を仕事のなかで生かせば、いろんなことができると思います。

人の五感は影響を受けやすい、つまり記憶に残りやすいもののひとつです。年齢が上がってくると薄い紙をめくりにくくなって、指をなめてからめくる人が多いと思います。しかし個人の持ち物ならまだしも、病院に置かれている広報誌でそれをやると、衛生上よろしくないので、私たちはめくりやすいように少し厚めの紙を使っています。大分岡病院の『おかのかお』という広報誌は、前から読んでも後ろから読んでも同じタイトルで、覚えやすさを意識しています。表紙の絵は、同じ作家さんに毎回描いてもらっています。表紙を検討する際、いろんな人の作品を見たのですが、病院で待っている方が手に取ったとき、優しい印象を与えるような雰囲気の絵を採用しました。デザインでは、どの色を使うのかも大切です。赤視症や青視症の人たちにはどんなふうに見えるのか必ずチェックして、誰が見ても違和感のないような色使いを考えています。文字も同じく、ストレスのないものがいいですね。これらのことは、脳科学のマーケティングの本などを読むと参考になると思います。

私どもの広報誌を持ち帰る人は多くいらっしゃいます。家の中でできるリハビリの情報は特に人気があって、なくなるとコピーを取ってほしいという人もいるほどです。「栄養士のメディカルレシピ」という体にいいレシピを紹介するページを見て、「料理を作ってみました」と言ってくださる方も結構います。そういった形で広報誌を通して、いろんなコミュニケーションが取ることができるのです。

広報の一番大きな役割は、中の成果を外に知らせるということです。薬局でいろいろなことをやって成果が出た場合、それを外に伝えるのはとても大事なことなのです。どんなに有名な医者がいても、患者さんが来なければ腕の発揮のしようがありません。薬局も同じで、どんなにいい調剤をしても、患者さんが来てくれなければ皆さんの能力は十分に発揮できないわけです。外に成果を伝えれば、メディアなどがそれを取り上げてくれる可能性もあります。広報誌を新聞社にずっと投げ込んでいたら、30号目に新聞に載って大きな広報になりました。新聞は発行部数も多いので、広告費に換算するとかなりの効果になります。記憶してもらうための仕組みをどうやって作るか。薬剤師が積極的に前へ出て、地域とコミュニケーションを取ることで、競争の中で優位になれるのだと思います。

(※この記事は、2013年10月12日に開かれた「第7回 薬剤師力向上セミナー」(弊社主催)の内容を要約したものです。)

山田 隆司(やまだ たかし)氏
NPO法人メディカルコンソーシアムネットワークグループ理事長。1955年生まれ。国家公務員共済組合連合会虎の門病院臨床検査部、診断薬会社、動物実験研究所などを経て、亀田総合病院附属幕張クリニックで事務長、管理部長を務める。2007年から社会医療法人敬和会大分岡病院にて広報・マーケティング部顧問として現在に至る。多摩大学医療・介護ソリューション研究所副所長。

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